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いびき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

いびき
snore
睡眠中,呼吸に伴って軟口蓋咽頭側壁粘膜が振動するため,や口から出る雑音をいう。鼻,副鼻腔,咽頭,舌などの疾患によることもあるが,異常が特に認められないことも多い。疲労したときとか,飲酒後は起りやすい。また,脳卒中による昏睡の際にも生じるので注意を要する。原因疾患を治療するほか,臥床の体位工夫で軽減することもある。ときには軟口蓋,口蓋垂などの形成手術も行われる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)

いびき
いびき / 鼾

睡眠中の呼吸によっておこる荒く、さわがしい雑音をいう。もっとも多いのは軟口蓋(こうがい)の振動であるが、咽頭(いんとう)や鼻などの壁や分泌物などに由来するものもある。覚醒(かくせい)時の安静呼吸は鼻を通して行われるが、睡眠中はこれに口呼吸がすこし加わる。一方、睡眠中には筋の緊張が緩み、軟口蓋が下垂し、舌も奥のほうに落ち込み、気道が狭くなるため、呼吸気が通るときに壁面が振動して音を出すようになる。吸気のときよりも呼気のときに音が大きくなることが多い。睡眠が深くなると、その傾向がさらに大きくなる。高齢者では筋の緊張が弱く、いびきをかきやすい。また、睡眠中にときどき呼吸が短時間停止する睡眠時無呼吸症候群でも、いびきが大きいことが多い。いびきの中断(無呼吸)などの諸症状により睡眠時無呼吸症候群と診断されるが、通常のいびきと間違われることもあるので注意が必要である。ほかにも鼻呼吸を妨げる疾患、たとえばアデノイドや鼻炎があるといびきをかきやすい。したがって治療は、これらの疾患があればその治療を行うのが先決である。睡眠中の姿勢によっても、いびきをかきやすくなることがあるので、枕(まくら)の高さや姿勢を直すだけでも止めることができる。いびきがひどいときには軟口蓋の形成手術を必要とすることもある。

[河村正三]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

いびき(症候学)
概念
 いびきは睡眠時に特徴的な呼吸状態であるが,研究が進むにつれ,睡眠呼吸障害を生じるようないびきを主症状とするいびき症(snoring disease)が,重要な病態としてさまざまな疾患に関連することが明らかになり,注目されている.日本人はその顎顔面形態により欧米人に比べて,いびき症が発生しやすいと考えられている.そのため,肥満が少ないわりに,睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)の有病率が,30歳以上の男性の4%,女性の2%である欧米なみといわれている.いびきは睡眠時無呼吸症候群に最も頻繁に現れる症状であるが,睡眠時無呼吸症候群は,ほかに無呼吸や低呼吸,眠気を呈する疾患であり,近年の居眠りによる交通事故や作業事故などとの関連から社会問題としてとらえられているだけではなく,循環器障害や脳血管障害や内分泌代謝障害や精神障害などさまざまな合併症との関連も指摘され,患者自身にとっても大きな影響をもたらしうる.
病態生理
 図2-32-1に上気道の解剖図を示す.いびきは,咽頭軟部組織や顎顔面形態などによって,上気道が狭くなること,また,その狭くなった上気道を空気が通過することにより生じる.上気道狭窄が発生する機序としては,覚醒時は呼吸と同時に収縮し咽頭腔を開大する頤舌筋や口蓋帆張筋などの上気道開大筋群の保腔力が,睡眠時に低下し弛緩すること,また,咽頭腔は,頸椎以外は軟部組織によって構成されているため,特に仰臥位では,舌根,軟口蓋,口蓋垂が重力の作用により後方へ下降し,狭窄が増大すること,吸気時の陰圧で狭窄した部分がさらに狭小化することなどがあげられる. 狭窄部の空気の通過に関しては,睡眠時も覚醒時と同じように必要な換気を安静呼吸により維持しようとするが,気道の狭小化のために十分な換気が確保できず,呼吸努力により強い気流が生じることによって,弛緩した喉頭軟部組織が振動したり引き込まれたりする際の音,あるいは空気が狭まった気道を通過する際の狭窄音として,いびきを発生することになる.軟口蓋,喉頭蓋では比較的低音の振動型いびきとなり,扁桃,舌根,声帯ではやや高音の狭窄型いびきを生じる.このように,いびきの発生は,扁桃,舌根,軟口蓋,喉頭蓋,声帯などさまざまな部位から観察される. 上気道が狭小化する原因としては,大別すると,局所的因子と全身的因子とがある.前者としては,鼻中隔弯曲症,鼻アレルギー,鼻茸などの鼻疾患,アデノイド増殖症,口蓋垂肥大,舌扁桃肥大,口蓋扁桃肥大,軟口蓋形態異常などの咽頭疾患,喉頭軟化症,ポリープ様声帯,喉頭狭窄,反回神経麻痺による声帯麻痺などの喉頭疾患,巨舌症,小顎症などの口腔・顎疾患などがあげられる.後者としては,肥満症,脳梗塞,球麻痺,筋ジストロフィ,ポリオなどの神経筋疾患,糖尿病,甲状腺機能低下症などの内分泌疾患などがあげられる.
 前述のような生理学的な上気道の狭窄に加えて,形態学因子と機能的因子の関与が重要であるとされている.つまり,肥満や扁桃肥大などの軟部組織因子,小顎症などの頭蓋顔面骨因子,体位の因子の3つに分類される形態学因子として,覚醒時でも咽頭腔の狭小化をきたしやすいこと,筋ジストロフィや球麻痺などの神経筋疾患のような機能的因子の観点から,上気道開大筋群の保腔力の低下が著明であることなど,複数の因子により狭窄の程度が増して,習慣性いびき症となる.さらに,上気道の閉塞が起こると,無呼吸や低呼吸が反復され,睡眠時無呼吸症候群となる【⇨7-11-3)】.
鑑別診断
 いびきの鑑別診断にあたって,まず,問診での体重の増加,アルコール摂取や睡眠薬の服用の聴取がきわめて重要である.前述のように,肥満はいびきと密接に関係するので,体重の増加といびきの出現の時期などはおさえておくべき事項である.また,いびきはアルコールや睡眠薬などにより増強されるので必ず確認する.さらに,就寝,起床を含めた生活習慣を十分に聴取する.問診では,生活習慣上の問題を明確にし,改善を促していくことが非常に重要である. 習慣性のいびきを認める場合は,単純性いびき症,閉塞型睡眠時無呼吸低呼吸症候群(obstructive sleep apnea-hypopnea syndrome: OSAHS),上気道抵抗症候群(upper airway resistance syndrome: UARS),を鑑別する必要がある.これらはいずれも上気道の狭窄を原因として,慢性のいびきを生じる点で共通しているが,単純性いびき症は,いびきのみが主症状で,病的意義は乏しい.閉塞型睡眠時無呼吸低呼吸症候群と上気道抵抗症候群は,頻回な覚醒反応がみられるため,睡眠障害により日中の過眠傾向を生じる.しかしながら,閉塞型睡眠時無呼吸低呼吸症候群では,無呼吸/低呼吸指数(apnea-hypopnea index: AHI,睡眠中1時間あたりの無呼吸/低呼吸の回数)を一定数以上認めるのに対して,上気道抵抗症候群では,上気道狭窄に伴う呼吸努力によって覚醒反応が多く,日中過眠といびきを訴えるにもかかわらず,経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下がごく軽度で,AHIも5以下である.いびきに関して,睡眠時無呼吸症候群の閉塞型と中枢型を比較すると,閉塞型に比べて中枢型では,呼吸努力を伴わないので,いびきは大きくなく,音圧の変化も緩やかである.[小賀 徹・三嶋理晃]

出典:内科学 第10版
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