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うつ病【うつびょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

うつ病
うつびょう
depression
元来は,統合失調症とともに内因性精神障害の代表的なものである躁うつ病 manic-depressive illnessのうち,うつ症状が強く出てくる病相をさした。うつ症状というのは心が沈んで,ことば少なくなり,意気消沈した状態をいうが,その正反対の症状である躁状態 (心がはずみ,多弁,多動で落ち着きのない状態) も本質的には同一であるという認識から,「躁うつ病」と呼ばれていた。その後,躁うつ病は単一の病気ではなく,双極性うつ病 (うつと躁の両方の病相がみられるもの) と単極性うつ病 (うつの病相だけが反復し躁を示さないもの) に分けるようになった。前者は若年に発病することが多いが,後者は中高年に多発し,発病前に環境的な誘因のみられることが多く,俗に昇進うつ病とか引っ越しうつ病などともいわれる。抑うつ気分のほかに,不安,行動や思考の制止,不眠,食欲不振などの身体的症状も強く,就労や勉学が不可能になることが多い。適切な治療を行なわないと,発作的に自殺をすることもある。世界保健機関 WHOの推定によると,人口の3~5%がうつ病に罹患しているとみられ,日本でも急増している。なお,うつ病という用語は一般的に使われる場合には,抑うつ気分と病的悲哀を特徴とする感情障害の状態 (うつ状態 depressive state) を漠然と意味することも多い。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

うつ病
主な症状として、抑うつ気分(気持ちが沈む、自信を失う等)、精神運動制止(注意が集中できない、簡単な決断ができない等)、不安焦燥感(落ち着きがなくなる、焦り等)、自律神経症状(睡眠困難、食欲不振等)がある。朝が不調で、夕方になると少し楽になるという日内変動もある。子供から老年までの幅広い年齢層で見られ、子供や青少年の場合は身体症状が出たり、ひきこもる(ひきこもり)など、行動で症状を表すことがある。他人への配慮が過剰だったり、全てに完璧を目指すような性格傾向との関連性の研究もある。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)など、抗うつ薬の効果が大きく、認知療法などの心理療法も支えとなる。日照時間が短くなると発症する季節性うつ病、出産後に発症する産後うつ病、身体症状が前面に現れる仮面うつ病、さらに引っ越しうつ病、昇進うつ病などという命名もある。なお、うつ状態とは逆に、気分の高揚や活動性の亢進する躁(そう)状態が、単独に生じる躁病と、うつ状態と周期的に交代する躁うつ病がある。うつ病を含め、これら全体を気分障害(mood disorder)という。
(田中信市 東京国際大学教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

栄養・生化学辞典

うつ病

出典:朝倉書店
Copyright (C) 2009 Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
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日本大百科全書(ニッポニカ)

うつ病
うつびょう

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
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六訂版 家庭医学大全科

うつ病
Depression
(こころの病気)

どんな病気か

 私たちは、生活のなかのさまざまな出来事が原因で気持ちが落ち込んだり、憂うつな気分になったりすることがあります。しかし、数日もすると落ち込みや憂うつな気分から回復して、また元気にがんばろうと思える力をもっています。

 ところが時に、原因が解決しても1日中気持ちが落ち込んだままで、いつまでたっても気分が回復せず、強い憂うつ感が長く続く場合があります。このため、普段どおりの生活を送るのが難しくなったり、思い当たる原因がないのにそのような状態になったりするのが、うつ病です。

原因は何か

 うつ病は、まだわからないことが多い病気です。脳の神経の情報を伝達する物質の量が減るなど脳の機能に異常が生じていると同時に、その人がもともともっているうつ病になりやすい性質と、ストレスや体の病気、環境の変化など、生活の中のさまざまな要因が重なって発病すると考えられています。

●うつ病が起こりやすい性格

・生真面目

・几帳面

・仕事熱心

・責任感が強い

・気が弱い

・人情深く、いつも他人に気を配る

・相手の気持ちに敏感

●誘因となるストレス

 うつ病は、何らかの過度なストレスが引き金になると考えられています。さまざまなストレスのうちでとくに多いのは、人間関係の変化と環境の変化です。たとえば身近な人の死や、リストラなどの悲しい出来事だけではなく、昇進や結婚、出産といった嬉しい出来事がきっかけでうつ病になることもあります。

●体の病気や薬が原因となることもある

 慢性の病気の場合はとくに、体の不調や痛み、社会生活の変化、経済的な負担などがストレスとなり、抑うつ症状がみられることがあります。

 また、薬のなかには副作用として抑うつ症状が現れるものがあります。ウイルス性肝炎の治療に使われるインターフェロン、抗がん薬、ステロイド、抗潰瘍薬などが、うつ病を引き起こすことがあります。

●体の中の変化

 人間の脳の中には、神経伝達物質と呼ばれる物質があり、無数の神経細胞に情報を伝達するはたらきをしています。うつ病の時は、神経伝達物質のうちの、気分や思考、意欲などを担当するセロトニン、ノルアドレナリンの量が減っていることがわかっています。

 また、言語、運動、精神活動を担っている脳の前頭葉を中心に、脳の血流や代謝が低下していることもわかってきています。

症状の現れ方

 うつ病の症状には精神症状と身体症状があります。また、これらの症状が、1日のなかで時間とともに変化するのも、うつ病の特徴です。多くの場合は、朝が最も悪く、夕方にかけて回復していきます。

●精神症状

・抑うつ気分

 気分が落ち込む、憂うつ、理由もなく悲しい気持ちになる、何の希望もない。

・興味や喜びの喪失

 今まで好きだったことや趣味をやる気になれない、テレビや新聞を見てもおもしろくない、性的な関心や欲求も低下する。

・精神運動の障害(強い焦燥感・運動の制止)

 体の動きが遅くなる、口数が少なくなる、声が小さくなる。また、逆に、じっと座っていられない、イライラして足踏みをする、落ち着きなく体を動かす。

・思考力や集中力の低下

 頭がさえない、考えがまとまらない、決断力や判断力が低下する、反応が遅くなる、仕事の能率が落ちる、注意力が散漫になって、人のいうことがすぐに理解できない。

・意欲の低下

 人と会ったり話したりするのが面倒になる、何をするのも億劫。

・自責感

 何でも悪いほうに考える、必要以上に自分を責める、まわりの人に申し訳ないと思う。

希死念慮(きしねんりょ)

 生きていくのがつらい、死んだほうがましだ。

・精神病症状

 自分が重大な罪を犯したと思い込む罪業妄想、貧乏になったと確信する貧困妄想、がんなどの重い病気になったと信じ、検査結果で心配ないと話しても訂正できない心気妄想などがみられることがある。

●身体症状

・睡眠の異常(不眠または睡眠過多)

・食欲の低下または増加

・疲労、倦怠感

・ホルモン系の異常…月経の不順、性欲の低下、勃起の障害

・その他の症状…頭痛(すっきりしない鈍い痛み)、頭重。肩、腰、背中などの痛み

検査と診断

 うつ病に特徴的な症状が複数認められると、うつ病と診断されます。医療面接を行い、症状、ストレスになるような出来事、他の病気、自分の性格、家族のことなどを詳しく聞きます。また、患者さん本人からだけでなく、家族からも話を聞くことがあります。これらの情報を総合して、医師はうつ病の診断を行います。

治療の方法

 うつ病の治療の基本は、十分な休養によって心と体の疲れをとることと、薬によって神経伝達物質の異常を改善することです。さらに、考え方などを見直す精神療法を組み合わせることもあります。

●十分な休養

 休むことに抵抗や罪悪を感じ、何とか頑張って休まないようにしようと思いがちですが、うつ病が病気であることを理解し、医師に休むことをすすめられた場合は、思い切って仕事や家事や学校を休み、治療に専念しましょう。

●薬物療法

 抗うつ薬が薬物療法の中心となります。抗うつ薬は、脳の中のセロトニンやノルアドレナリンという物質のはたらきを高めて、抑うつ気分を取り除いて気分を高め、意欲を出させ、不安や緊張、焦燥感を取り除く、といった効果を現します。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、三環系、非三環系といったタイプがあり、症状や状態によって使い分けます。

 服薬を始めてすぐに効果が現れるわけではなく、一般に1週間から3週間の期間が必要です。通常、治療を始めてから2カ月から半年くらいである程度よくなりますが、症状が改善したあとも服薬を続けることが必要です。

 再び悪くなるのを防ぐため、通常の生活に戻ってからも半年~1年くらい治療を続けることがすすめられます。うつ病の再発率は高いのですが、効果が出た時と同じ量の薬を服薬し続けていると再発率が低くなります。

 ですから、初めてうつ病になった場合には改善後半年から1年、同じ量の抗うつ薬を服用することがすすめられます。また、2回以上再発している場合などには、数年にわたって服薬することが望ましいとされています。

●精神療法

 精神療法の中心となるのは、支持的精神療法です。患者さんの話を聞き、不安な気持ちをよく理解したうえで、症状をよくしていくためのアドバイスをしていきます。このほか、抑うつ気分につながりやすい考え方や行動の特徴に気づき、これを修正する認知行動療法も広まっています。

●電気けいれん療法

 頭皮に電極をつけ、電流を流します。薬物療法で効果が得られない場合や、薬物が使えない場合に用いられます。電気けいれん療法は最近では麻酔をかけ、体にけいれんが起こらないような方法で安全に行われることが多く、症例によっては極めて効果的です。

病気に気づいたらどうする

 大切なことは、「最近おかしいな」と思ったら、早めに医師に相談することです。うつ病は、きちんと医師の診察を受け適切な治療を受ければ、治すことが可能な病気です。

田中 宏一, 本橋 伸高

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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EBM 正しい治療がわかる本

うつ病
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 身体的な異常がないのに、気分が落ち込んで、元気がでなくなる病気です。誰でも疲れるとこのような状態になりますが、ふつうは十分な栄養と睡眠をとれば回復します。ところが、うつ病では気分の落ち込みが長く続き、自力では回復できません。
 初期症状として注意したいのは、寝つきが悪かったり、夜中や早朝に目が覚めてしまったりする睡眠障害です。食欲も低下し、好物を食べてもおいしいと感じません。その結果、体重も減ります。倦怠感(けんたいかん)や疲労感があり、性欲が低下、頭痛、肩こり、腰痛といった症状もしばしばみられます。
 精神症状としては、気分が沈み込み、なにごとにも悲観的になります。思考力も減退し、非常にささいなことでも、なにかを決断する力が鈍くなります。友人と会うのもおっくうになって、趣味も楽しめません。買物、入浴といった日常生活さえ面倒になってしまうことがあります。自分を卑下(ひげ)し、「生きていても仕方ない」と思いつめて自殺を図ることも少なくありません。身体症状、精神症状とも朝から午前中にかけて強く現れ、夕方から夜になると、いくぶん楽になるのが大きな特徴です。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 多くの場合、精神的な強いストレスがきっかけで抑うつ状態になります。進学、就職、結婚、出産、転居、退職といった人生の節目で、新しい生活環境や人間関係に早くなじもうと努力するあまり、強いストレスを感じて発病することがしばしばあります。職場では異動、転勤、昇進などがきっかけとなる場合があります。
 失恋、近親者との死別など悲しいできごとだけでなく、家の新築や子どもの結婚・独立といった慶事のあとに発病することもあります。
 うつ病は几帳面(きちょうめん)な性格で、真面目(まじめ)にコツコツ働くタイプの人がなりやすい病気といわれています。責任感が強く、周囲への気配りも忘れないことから、職場でも地域でも高い評価を受けていることが多いのですが、完璧(かんぺき)にやり遂げようとするあまりに柔軟性に欠け、ストレスを抱え込んでしまう傾向があります。
 直接の原因ははっきりわかっていませんが、うつ病になると脳の神経伝達物質(セロトニン)が減少してしまうと考えられています。

●病気の特徴
 現在わが国の人口の2.2パーセントが、うつ病にかかっていると考えられており、生涯に1度でもうつ病を患う人は6.5パーセントといわれています。全国では100万人近くの患者さんがいます。うつ病は精神的に発達した成人でよくみられますが、最近では子どものうつ病も注目されています。
 またお年寄りにみられるうつ病は、妄想的な言動を伴うものが多く、脳梗塞など脳の血管障害が原因でうつ病を引きおこしている可能性もあり、現在研究が進められています。このように、誰でもかかりうる心の病気といえます。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]仕事・家事から離れて休養する
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] ストレスの原因を明らかにし、それに対してアプローチする(仕事が原因であれば仕事を休む、または職場内で異動するなど)ことの有効性は報告されています。(1)

[治療とケア]心理療法を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 心理療法とは、薬や物理的な治療を行わず、対話や訓練、教示によって精神状態を安定させる治療です。心理療法を行うことでうつ病の状態をよくすることが、多数の研究で証明されています。(1)

[治療とケア]認知行動療法を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 不安や気分の落ち込みなどを引きおこす元となっている、患者さん本人の認知(ものごとのとらえ方)の歪(ゆが)みを修正していくのが認知行動療法です。認知行動療法は、軽症から中等症のうつ病患者さんに行われ、急性期の効果も、再発予防の効果もあることが知られています。(2)(3)

[治療とケア]対人関係療法を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 家族や親しい友人などの、重要な他者とのコミュニケーションを通じて、うつ病の治療を行うのが対人関係療法です。対人関係療法の効果は非常に信頼性の高い臨床研究によって確認され、社会的な活動機能が改善することも証明されています。(4)

[治療とケア]かかりつけ医でカウンセリングを受ける
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 患者さんの症状や悩みを十分聞き、それらを理解、受容してくれるかかりつけ医の元でカウンセリングを受けます。カウンセリングによる治療は、とくに短期的に効果が得られることが、非常に信頼性の高い臨床研究によって示されています。(5)(6)

[治療とケア]抗うつ薬による薬物療法をする
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 三環系(かんけい)抗うつ薬・四環系抗うつ薬やSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の効果は、非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。(7)~(9)


よく使われている薬をEBMでチェック

抗うつ薬
[薬用途]SSRI
[薬名]パキシル(パロキセチン塩酸塩水和物)(10)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]デプロメール/ルボックス(フルボキサミンマレイン酸塩)(10)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]レクサプロ(エスシタロプラムシュウ酸塩)(10)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]ジェイゾロフト(塩酸セルトラリン)(10)
[評価]☆☆☆☆☆

[薬用途]SNRI
[薬名]トレドミン(ミルナシプラン塩酸塩)(10)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]サインバルタ(デュロキセチン塩酸塩)(10)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] これらのSSRI、SNRIの有効性は、非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。

[薬用途]四環系
[薬名]テトラミド(ミアンセリン塩酸塩)(6)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]ルジオミール(マプロチリン塩酸塩)(6)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬用途]三環系
[薬名]アモキサン(アモキサピン)(7)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]ノリトレン(ノルトリプチリン塩酸塩)(2)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]トフラニール(イミプラミン塩酸塩)(2)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]トリプタノール(アミトリプチリン塩酸塩)(2)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]アナフラニール(クロミプラミン塩酸塩)(2)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 三環系および四環系抗うつ薬の有効性は非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
ストレスの元をさぐり、減らすこと
 うつ病は正しく治療すれば治る病気です。治療を始めるにあたって医師は、いまはつらくても適切な治療を続ければ、いずれは以前と同じような生活ができることを患者さんに話し、病気を理解してもらいます。
 うつ病になる人は責任感が強く、周囲への気配りも忘れないといった几帳面で真面目なタイプの人が多く、ストレスを抱えこんでしまう傾向があります。まずは、このストレスを減らす必要があります。
 最近のできごとを話してもらいながら、家庭や職場でなにか変化はなかったか、ストレスを増すできごとがなかったかなどをともに考えていきます。また、「がんばれ」などと安易に励ますことはかえって本人の負担になって症状を悪化させることが多いため避けるべきでしょう。

時間はかかるが、服用を続ければ薬の効果は確実に現れる
 非常に信頼性の高い臨床研究によって効果が認められている薬が多数開発されています。しかし、いずれも即効性があるものではなく、効果がでるまでには2カ月程度かかります。また、アルコール摂取はうつ症状を悪化させたり、薬物の効果を妨げたりする可能性があります。うつ病と診断された患者さんは、これらのことをよく知っておくことが大切です。
 多くの種類がある抗うつ薬のなかでも、比較的最近になって使われるようになったのがSSRIと呼ばれる選択的セロトニン再取り込み阻害薬のパキシル(パロキセチン塩酸塩水和物)、デプロメール/ルボックス(フルボキサミンマレイン酸塩)、レクサプロ(エスシタロプラムシュウ酸塩)、ジェイゾロフト(塩酸セルトラリン)や、SNRIと呼ばれるセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬であるトレドミン(ミルナシプラン塩酸塩)、サインバルタ(デュロキセチン塩酸塩)などです。その効果、安全性から、第一選択薬になることが多くなっています。
 しかし、患者さんによっては従来から用いられている抗うつ薬のほうが好ましい場合もあります。いずれにしても、効果がでるまでにある程度時間がかかることを理解して、服薬を続けることが必要です。

精神科医のもとで精神療法が必要な場合も
 うつ病の患者さんの多くは、いろいろな体の不調を訴えて内科を受診することが多いので、ほとんどは内科医が診断し治療しますが、ある程度の期間治療を続けても症状が改善しなかったり、自殺を具体的に考えたりするような場合は、精神科医による診察が必要です。精神科医によって行われる支持的精神療法や認知療法も効果的であることが、非常に信頼性の高い臨床研究によって認められています。

(1)Cuijpers P, van Straten A, van Schaik A, et al. Psychological treatment of depression in primary care: a meta-analysis.Br J Gen Pract. 2009 Feb;59(559):e51-60.
(2)Blackburn IM, Moore RG. Controlled acute and follow-up trial of cognitive therapy and pharmacotherapy in out-patients with recurrent depression. Br J Psychiatry. 1997;171:328-334.
(3)Vittengl JR, Clark LA, Dunn TW, et al. Reducing relapse and recurrence in unipolar depression: a comparative meta-analysis of cognitive-behavioral therapy's effects. J Consult Clin Psychol. 2007 Jun;75(3):475-88.
(4)De Silva MJ, Cooper S, Li HL, et al. Effect of psychosocial interventions on social functioning in depression and schizophrenia: meta-analysis. Br J Psychiatry. 2013 Apr;202(4):253-60.
(5)Bower P, Knowles S, Coventry PA, et al. Counselling for mental health and psychosocial problems in primary care. Cochrane Database Syst Rev. 2011 Sep 7;(9):CD001025.
(6)Mynors-Wallis LM, Gath DH, Lloyd-Thomas AR, et al. Randomised controlled trial comparing problem solving treatment with amitriptyline and placebo for major depression in primary care. BMJ. 1995;310:441-445.
(7)Anderson IM. SSRIS versus tricyclic antidepressants in depressed inpatients: a meta-analysis of efficacy and tolerability. Depress Anxiety. 1998;7(Suppl 1):11-17.
(8)Williams JW Jr, Mulrow CD, Chiquette E, et al. A systematic review of newer pharmacotherapies for depression in adults: evidence report summary. Ann Intern Med. 2000;132:743-756.
(9)Moller HJ, Riehl T, Dietzfelbinger T, et al. A controlled study of the efficacy and safety of mianserin and maprotiline in outpatients with major depression. Int Clin Psychopharmacol. 1991;6:179-192.
(10)American Psychiatric Association. Practice Guideline for the treatment of patient with major depressive disorder. Am J Psychiatry. 2010.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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