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くりこみ理論【くりこみりろん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

くりこみ理論
くりこみりろん
renormalization theory
場の量子論では計算がしばしば無限大となる。この困難を回避するため,無限大の量から物理的に意味のある有限な量を抜き出す処方をくりこみまたは再規格化という。 1948~49年朝永振一郎,J.S.シュウィンガー,R.P.ファインマン等により提唱された。量子電磁力学合,相互作用の結果生じた無限大の量をすべて相互作用のないときの電子の質量および電荷との和にまとめることができる。そこで,無限大の補正を含む質量と電荷を観測量で置き換えると,すべての物理量の計算値は有限になり,実験値と高い精度で一致する。くりこみ可能な相互作用は4次元時空ではゲージ理論湯川相互作用など少数に限定される。くりこみの可能性を1つの指針として素粒子理論は長足の進歩をとげた。しかし,くりこみは無限大を有限値で置き換える処方であって,発散の困難を完全に解決する理論とはいえない。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

くりこみ理論
量子電磁力学で、電荷や質量などの計算値が無限大になる困難(発散の問題)を切り抜ける理論。たとえば、真空中に電子を1つ置いたとき、周りには電子と陽電子の対がたくさん現れる。これらは、真ん中の電子をのように取り囲み、中心の電荷を打ち消そうとする。このため、もとのの電荷は無限大でなければならなくなる。この理論では、裸の電荷はひとまず度外視し、実際に測定される電荷で物理現象を考える。朝永振一郎、J.シュウィンガー(米国)、R.ファインマン(米国)らが、この理論づくりに貢献した。
(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

世界大百科事典 第2版

くりこみりろん【くりこみ理論 renormalization theory】
場の量子論で,例えば電荷や電子の質量を求める場合,高次の補正を行うとその値が無限大となってしまう。これを発散の困難divergence difficultyといい,発散の困難を防ぐために,第2次世界大戦後まもなく,朝永振一郎,R.ファインマン,J.シェウィンガーによって独立に考案された処法をくりこみ理論という。古典論においてもすでに点電荷としての電子が自分自身に及ぼす力が無限大になってしまうという発散の困難に直面していたが,この困難は本質的な解決をみることなく物理学量子力学形成,さらに相対論的量子論の建設へと進んだ。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

くりこみ理論
くりこみりろん
場の量子論において、場の反作用と真空の分極などの効果を質量や電荷に取り入れることを質量・電荷のくりこみという。くりこまれた質量・電荷(または結合常数)を使って理論を構成する処法をくりこみ理論または再規格化法という。
 相対性原理の要請により力の伝達は近接作用しか許されず、それは場(波動を担うもの)の伝播(でんぱ)として表現される。また量子論によれば波動は粒子でもある。このようにして相対論的量子力学の世界(素粒子の世界)は場の量子論によって記述される。場が局所的に(点で)自己または他の場と影響を及ぼし合っている理論を局所相互作用理論とよぶ。相対論の要請は局所相互作用しか許さない。
 場の量子論においては、場の反作用、真空の分極などのため、これらの効果を無視したときの粒子の質量・電荷(裸の量とよぶ)は直接観測にかかることはなく、これらの効果を含めた(くりこんだ)量が現れる。このゆえに、くりこまれた量のみを使って理論が構成できれば便利である。これを行う処法がくりこみ理論である。形式的には任意の理論において可能である。局所相互作用理論においては、反作用・分極に有効に寄与する場の振動数に限度がないため発散して、理論として成立しなくなる。これを場の理論の発散の困難という。しかし、量子電磁力学(QED)においては、この種の発散は裸の質量・電荷と、それらのくりこまれた量の間の関係にしか現れない。ゆえに、くりこまれた量が有限に計算できたと仮定して、くりこまれた量で理論をつくれば、発散のない理論ができあがる。この事実を朝永(ともなが)振一郎とJ・シュウィンガーが独立に発見した。QEDのようにくりこんだ質量・電荷で表した理論が発散を含まないとき、理論に現れた発散を質量と電荷にくりこむことが可能であることから、くりこみ可能な理論とよぶ。ワインバーグ‐サラムの理論、クォークの力学である量子色(いろ)力学(QCD)はくりこみ可能である。物性理論においては発散はないが、くりこみ理論の考え方が大きな成果をあげている。[益川敏英]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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