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その他の原虫感染症

内科学 第10版

その他の原虫感染症(原虫感染症)
(2)その他の原虫感染症
a.脳赤痢アメーバ症(cerebral entamebiasis)【⇨4-15-2)】
病原体
 Entamoeba histolytica.脳アメーバ症は赤痢アメーバの部分症の1つである.中枢神経障害をきたすのは全赤痢アメーバ症の1~8%といわれており,脳赤痢アメーバ症のほぼ全例で肝膿瘍を合併している.頭痛,嘔吐,痙攣,意識障害,局所症状など脳膿瘍としての所見や髄膜刺激症状がみられ,本症に特異的なものはない.髄液は正常ないし非特異的所見を示す.免疫血清学的検査は本症のほとんどの場合,全身性アメーバ感染を伴っているので陽性となり,診断の参考になる.脳CTでは造影剤増強効果のみられない不整形な病巣がみられる.確定診断は組織学的にアメーバの検出からなる.治療としては可及的早期のメトロニダゾールの投与とともに頭蓋内圧亢進に対する外科的除圧術を行う.
b.原発性アメーバ性髄膜脳炎(primary amoebic meningoencephalitis)
病原体
 Naegleria fowleri.病原体は鼻腔内より直接頭蓋内に侵入する.2~5日の潜伏期の後,突如として劇症型の化膿性,ときに出血性壊死性脳底髄膜炎の病像を呈する.臨床的特徴は嗅覚異常,味覚異常,高熱,激しい頭痛,項部硬直,痙攣や意識障害などをとり,急激に死に至ることが多い.脳CT/MRIでは,脳溝や脳槽の閉塞,髄膜の造影がみられ,脳皮質の一部にも造影がみられることがある.髄液所見は膿性であり,出血性変化を伴う.圧の上昇,好中球主体の細胞数の高度増加,蛋白増加,糖の著明減少がみられる.髄液の直接鏡検で運動性を有するアメーバを同定することが診断につながる.治療としてはアムホテリシンBの最大耐容量静注が勧められているが,進行が早く,数週間で死亡する.
c.アメーバ性肉芽腫性髄膜脳炎(granulomatous amoebic meningoencephalitis)
病原体
 アカントアメーバ属アメーバによる.AIDS,腎移植,ステロイド治療,化学療法など免疫能の低下した患者にみられる.限局性かつ多発性の慢性脳脊髄炎,脳膿瘍あるいは脳腫瘍の病像を呈する.数カ月から1年の経過で進行する.髄液所見は無菌性髄膜炎の所見を呈するが非特異的である.脳CT/MRIで局所病変がみられる.経過中に診断がつくこともあるが,有効な治療法がなく,対症療法に終始しつつ死に至る.
d.脳マラリア(cerebral malaria)【⇨4-15-1)】
病原体
 熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)は全熱帯地域に広く分布している.雌ハマダラ蚊の吸血により感染する.脳マラリアは熱帯熱マラリア患者の1~3%に合併し,死亡率は5~20%にのぼる.熱帯熱マラリアは典型的には5~10日の潜伏期の後に悪寒,発熱,頭痛,譫妄など一般の感染症と同様の症状で発症し,さらに1~2週間にわたりさまざまな神経精神症状を呈する.神経症状として,傾眠から昏睡に至る意識障害,痙攣,錯乱,失見当識,急性精神症状,不随意運動,局所神経症状,軽度な髄膜刺激症状,網膜出血などがみられる.神経学的検査では通常上位運動ニューロン徴候を示す.髄液検査は通常正常であるが,まれに細胞数と蛋白増加をみる.脳MRI T2強調像で高信号の脳浮腫や脳梗塞と思われる所見の報告がある.
診断
 流行地滞在歴を有する発熱患者で,末梢血塗抹標本のGiemsa染色で病因原虫を認めれば診断が確定される.熱帯熱マラリア原虫感染赤血球の特異的蛋白を検出するdip stick法が迅速性,特異性.簡便性にすぐれ,有用である.
治療
 以下の3点に配慮すべきである.
1)抗マラリア療法:
重症マラリアに対しては,塩酸キニーネの点滴投与が有効である.軽快したら経口療法に切り換える.
2)全身管理:
抗痙攣薬,低血糖の是正,代謝性アシドーシスの是正,貧血に対する輸血,腎不全に対する透析などが必要である.
3)敗血症あるいは誤嚥性肺炎など細菌感染症に対する治療を行う.[三浦義治・岸田修二]
■文献
Cegielski JP, Warrel DA: Cerebral malaria. In:Infection of the Central Nervous System, 2nd ed (Scheld WM, et al eds), pp 765-784, Lippincott-Raven, Philadelphia, 1997.
Durack DT: Amebic infections. In: Infection of the Central Nervous System, 2nd ed (Scheld WM, et al eds), pp 831-844, Lippincott-Raven, Philadelphia, 1997.
Fairhurst RM, Wellems T: Plasmodium species (Malaria). In: Principles and Practice of Infectious Diseases, 6th ed (Mandell GL, Bennett JE, et al eds), pp3121-3144, Elsevier Churchill Livingstone, Philadelphia, 2005.

出典:内科学 第10版
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