●たり【タリ】
デジタル大辞泉
たり[助動]
1 動作・作用の継続・進行を表す。…ている。…てある。
「おもしろく咲きたる桜を長く折りて」〈枕・四〉
2 動作・作用が完了し、その結果が状態として存在する意を表す。…た。…ている。…てある。
「くらもちの皇子(みこ)おはしたり、と告ぐ」〈竹取〉
3 動作・作用が完了する意を表す。…た。…てしまう。
「春風に一もみ二もみもまれて、海へさっとぞ散ったりける」〈平家・一一〉
[補説]中世以降は、他の完了の助動詞「つ」「ぬ」「り」および過去の助動詞「き」「けり」などの用法をしだいに吸収し、「たる」を経て現代語の「た」に引き継がれる。→た →つ →ぬ →り
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たり[助動]
「けふは人のうへたりといへども、あすは我が身のうへたるべし」〈平治・下〉
[補説]断定の「たり」は平安時代以後の漢文訓読文や和漢混交文に用いられた。
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たり[接助]
1
㋐動作や状態を並列して述べる。「泣い
㋑反対の意味の語を二つ並べて、その動作・状態が交互に行われることを表す。「暑かっ
2 (副助詞的に用いられ)同種の事柄の中からある動作・状態を例示して、他の場合を類推させる意を表す。「車にひかれ
3 (終助詞的に用いられ)軽い命令の意を表す。「早く行っ
[補説]「たり」は中世以降、文語的な「…ぬ…ぬ」に対し口語として動詞の連用形だけに付く形で用いられた。1は、並立助詞として扱われる場合もあるが、近世後期からはあとのほうを省略して「…たり…」の形をとる場合もみられる。
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精選版 日本国語大辞典
たり【
】
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たり
(2)①は、動詞の連用形中止法が持つ、事態を同等に接続する機能からの類推と、「平家物語」など中世の語り物に多い終止形の中止的用法とが作用して生じたもの。この用法は、極めて近似的な意味の語を列挙(通常二つを並立)することで、類似した事態の継続・反復を強調するものであったが、二つの事態の並立という機能として認識されるようになることで、接続助詞として固まっていった。これが、並立される二つの事態が近似的なものだけでなく、互いに何らかの関連性を持つという程度の事態にも広がり、さらには対義的な語の並立にも用いられるようになって、その使用範囲が広まった。
(3)③の用法が派生した要因は、形態的には、一九世紀頃から、前・後件の動詞が「を」格を含む形をとりはじめ、構文が長くなっていくことで並立性が希薄になる場合が生じたこと、意味的には、一五世紀頃より朧化(ろうか)用法の「なんど(「など」の前身)」等としばしば共起したことによって、その朧化機能が、隣接する「たり」に転位していったことなどが考えられる。
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たり
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たり
(2)中世には「き」「けり」に続く場合「たっし」「たっける」のように促音便形「たっ」が用いられた。
(3)バ行マ行の動詞が「たり」を伴うとき、動詞の語尾が撥音便化またはウ音便化するとともに、「たり」が「だり」となることが多い。
(4)並列を表わす「…たり…たり」は、「…ぬ…ぬ」が文語的であるのに対し、口語として長く用いられ、固定化したものは助詞として扱われる。固定するまでの例として、「平治‐中」の「ふとりせめたる大の男の、大鎧はきたり、馬は大きなり、乗りわづらふうへ」のような中止用法が、中世以後に多くみられる。→たり〔接助〕①
(5)命令形「たれ」は古くは用いられたが、中世以降は衰え、代わってもとの形「てあれ」が復活。連体形「たる」の「る」は鎌倉時代から脱落の傾向を生じて「た」となり、現代の口語の助動詞「た」の終止・連体形となる。
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