●にて【ニテ】
デジタル大辞泉
にて[格助]
[格助]《格助詞「に」+接続助詞「て」から》名詞、活用語の連体形に付く。
1 場所を表す。…において。…で。「面接は本社にて 行います」
「わづかに二つの矢、師の前―一つをおろかにせんと思はんや」〈徒然・九二〉
2 時・年齢を表す。…の時に。…で。「本日は午後五時にて 閉館します」
「長くとも、四十(よそぢ)にたらぬほど―死なんこそ、めやすかるべけれ」〈徒然・七〉
3 手段・方法・材料を表す。…によって。…で。「飛行機にて 任地へ赴く」
「すべて、月、花をば、さのみ目―見るものかは」〈徒然・一三七〉
4 理由・原因を表す。…によって。…で。「病気にて 欠席いたします」
「御物の怪(け)―、時々悩ませ給ふこともありつれど」〈源・若菜上〉
5 資格を表す。…として。
「ただ人(うど)―おほやけの御後見(うしろみ)をするなむ、ゆく先も頼もしげなめる」〈源・桐壺〉
[補説]中世以降「で」に音変化して現代語に及ぶ。なお、「にて」は、現代語でも文語的表現あるいは改まった表現に用いる。
1 場所を表す。…において。…で。「面接は本社
「わづかに二つの矢、師の前―一つをおろかにせんと思はんや」〈徒然・九二〉
2 時・年齢を表す。…の時に。…で。「本日は午後五時
「長くとも、四十(よそぢ)にたらぬほど―死なんこそ、めやすかるべけれ」〈徒然・七〉
3 手段・方法・材料を表す。…によって。…で。「飛行機
「すべて、月、花をば、さのみ目―見るものかは」〈徒然・一三七〉
4 理由・原因を表す。…によって。…で。「病気
「御物の怪(け)―、時々悩ませ給ふこともありつれど」〈源・若菜上〉
5 資格を表す。…として。
「ただ人(うど)―おほやけの御後見(うしろみ)をするなむ、ゆく先も頼もしげなめる」〈源・桐壺〉
[補説]中世以降「で」に音変化して現代語に及ぶ。なお、「にて」は、現代語でも文語的表現あるいは改まった表現に用いる。
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
に‐て[連語]
[連語]
《完了の助動詞「ぬ」の連用形+接続助詞「て」。上代語》…てしまって。…てしまっていて。
「老い―ある我(あ)が身の上に」〈万・八九七〉
《断定の助動詞「なり」の連用形+接続助詞「て」》
1 …であって。…という状態で。
「望月の明(あか)さを十あはせたるばかり―、ある人の毛の穴さへ見ゆるほどなり」〈竹取〉
2 (下に補助動詞「あり」「おはす」などを伴って)…で。…として。
「大路見たるこそ、祭り見たる―はあれ」〈徒然・一三七〉

「老い―ある我(あ)が身の上に」〈万・八九七〉

1 …であって。…という状態で。
「望月の明(あか)さを十あはせたるばかり―、ある人の毛の穴さへ見ゆるほどなり」〈竹取〉
2 (下に補助動詞「あり」「おはす」などを伴って)…で。…として。
「大路見たるこそ、祭り見たる―はあれ」〈徒然・一三七〉
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
精選版 日本国語大辞典
に‐て
〘格助〙 (格助詞「に」に接続助詞「て」の付いたもの) 口語の「で」に当たる。
(イ) 場所や時を指示する。
※平家(13C前)一「忠盛三十六にてはじめて昇殿す」
(ロ) 手段・方法・材料などを示す。
※更級日記(1059頃)「深き河を舟にて渡る」
※徒然草(1331頃)九「女のはける足駄にて作れる笛には」
(ハ) 原因・理由を示す。
※竹取(9C末‐10C初)「竹の中におはするにて知りぬ」
[語誌]中世初に「にて」が変化して「で」の形を生じ、現代語の「で」にいたる。→で(一)
出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
に‐て
[1] (断定の助動詞「なり」の連用形「に」に接続助詞「て」の付いたもの)
① 「なり」の叙述を中止して、下に続ける。…で。…であって。
※万葉(8C後)一・二二「河上(かはのへ)のゆつ岩群(いはむら)に草生(む)さず常にもがもな常娘子(とこをとめ)煑手(にて)」
※徒然草(1331頃)一一三「数ならぬ身にて、世の覚えある人を、へだてなきさまに言ひたる」
② (「あり」「なし」「はべり」「候ふ」などの補助用言を伴って) 断定的な陳述を表わす。…で(ある)。
※伊勢物語(10C前)二一「二条の后の、まだ帝にも仕うまつり給はで、ただ人にておはしましける時のこと也」
③ (多く「…を…にて」の形で) …として。…にして。
※伊勢物語(10C前)七七「けふのみわざを題にて、春の心ばへある歌たてまつらせ給ふ」
[2] (完了の助動詞「ぬ」の連用形「に」に接続助詞「て」の付いたもの。中止に用い、また、「あり」などに続ける) 動作・作用が完了したままの状態にあることを表わす。…してしまっていて。…していて。→にたり。
※万葉(8C後)一四・三四八一「あり衣(きぬ)のさゑさゑしづみ家の妹に物言はず来(き)爾弖(ニテ)思ひ苦しも」
※源氏(1001‐14頃)明石「みづから、かく田舎(ゐなか)の民となりにて侍り」
[語誌](一)は「にして」と同義と認められるが、上代では用例が少ない。中古では「にして」が主として漢文訓読系に、「にて」は和文系に多く用いられた。
出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
「にて」の用語解説はコトバンクが提供しています。
●にての関連情報