●ぶどう膜炎【ぶどうまくえん】
家庭医学館
ぶどうまくえん【ぶどう膜炎 Uveitis】
ぶどう膜とは、虹彩(こうさい)、毛様体(もうようたい)、脈絡膜(みゃくらくまく)の総称です。ぶどう膜に炎症のおこるのがぶどう膜炎であり、虹彩・毛様体が炎症の主体である場合を虹彩(毛様体)炎(前部ぶどう膜炎)、脈絡膜炎が主体である場合を後部ぶどう膜炎と呼びます。また、ぶどう膜全体が炎症を生じている場合を汎(はん)(全)ぶどう膜炎あるいは眼内炎(がんないえん)と呼びます。
脈絡膜の炎症は網膜(もうまく)、硝子体(しょうしたい)におよんだり、また、網膜血管炎をともなったりする場合があります。その結果、硝子体が混濁(こんだく)したり、黄斑部(おうはんぶ)(ものを見る中心)の網膜が浮腫(ふしゅ)や循環障害をおこすために、かすんだり、ものがゆがんで見えたりするようになります。
[検査と診断]
細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)で前房(ぜんぼう)や硝子体(しょうしたい)に炎症細胞が認められます。また、眼底検査により、硝子体の混濁、網膜の浮腫、滲出斑(しんしゅつはん)、出血などが見られます。
[治療]
虹彩炎をともなう場合はステロイドや散瞳薬(さんどうやく)の点眼が行なわれます。脈絡膜や網膜の炎症が著しく、視力低下をきたしている場合や、その恐れがある場合は、眼球結膜下(がんきゅうけつまくか)へのステロイド注射やステロイドの全身投与(内服、静注)が必要となります。しかし、ぶどう膜炎の原因(コラム「ぶどう膜の病気の原因」)によって治療方法は異なりますので、眼科医の診察を受ける必要があります。
出典:小学館
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世界大百科事典 第2版
ぶどうまくえん【ぶどう膜炎】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
ぶどう膜炎
ぶどうまくえん
ぶどう膜は虹彩(こうさい)、毛様体、脈絡膜の三つからなり、色素と血管に富むので遮光に役だち、眼球の栄養をつかさどる。毛様体には調節を行う毛様体筋も含まれている。これらぶどう膜の炎症を総称してぶどう膜炎という。ぶどう膜炎は病変の存在部位により虹彩毛様体炎を前部ぶどう膜炎、脈絡膜炎を後部ぶどう膜炎といい、両者はともに、または相前後して発症し、単独でもおこる。ぶどう膜炎の原因の多くは、外傷を除くとなんらかの全身的異常が背景にあると考えられ、そこから起炎因子が血行を介してぶどう膜に到達し、ぶどう膜炎となる。ぶどう膜炎はベーチェット病、原田病、サルコイドーシス、結核、梅毒、アレルギー性疾患、リウマチその他の全身病でおこり、ウイルス、細菌、真菌、原虫、寄生虫など多くの原因でおこる。原因不明のものも多い。眼底の黄斑(おうはん)や視神経を含む後極部の病変では、視力低下は著しい。高度の炎症では消炎後も眼底に萎縮(いしゅく)巣や変性、血管の白線化、視神経萎縮などを残し、硝子体(しょうしたい)混濁、併発白内障、続発緑内障その他の合併症の数も多く、なかには眼球癆(ろう)となって失明するものもある。
原因の明らかなものには原因療法を行い、前部ぶどう膜炎にはアトロピンその他の散瞳(さんどう)薬とステロイド剤を点眼する。視力障害が高度な脈絡膜炎や前部ぶどう膜炎でも重症なものには、ステロイド剤の球結膜下注射や内服をする。ぶどう膜炎にはステロイド剤がよく用いられるが、副作用も多いので慎重に使用する。
[小暮美津子]
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六訂版 家庭医学大全科
ぶどう膜炎
ぶどうまくえん
Uveitis
(代謝異常で起こる病気)
ぶどう膜は虹彩、
細隙灯顕微鏡検査で診断されます。症状としては充血、
出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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