●ゆ【ユ】
デジタル大辞泉
ゆ[五十音]
2 平仮名「ゆ」は「由」の草体から。片仮名「ユ」は「由」の末2画の変形によるもの。
[補説]「ゆ」は、また、「きゅ」「しゅ」「ちゅ」などの拗音の音節を表すのに、「き」「し」「ち」などの仮名とともに用いられる。現代仮名遣いでは拗音の「ゆ」は、なるべく小書きにすることになっている。
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
ゆ[助動]
1 受け身の意を表す。…れる。
「手束杖腰にたがねてか行けば人に厭(いと)はえかく行けば人に憎まえ」〈万・八〇四〉
2 可能の意を表す。…ことができる。
「日な曇り碓氷(うすひ)の坂を越えしだに妹(いも)が恋ひしく忘らえぬかも」〈万・四四〇七〉
3 自発の意を表す。自然に…となる。→らゆ
「大君の継ぎて見(め)すらし高円(たかまと)の野辺見るごとに音(ね)のみし泣かゆ」〈万・四五一〇〉
[補説]「る」に先行する助動詞。2の意味で用いられるときは、打消しの語を伴い、不可能の意を表すことが多い。平安時代以降は「る」が使われたが、「聞かゆ」「思はゆ」などは音変化して一語化し、「聞こゆ」「おもほゆ」(さらに転じて「おぼゆ」)の形で用いられた。平安時代以降では、連体詞「あらゆる」「いわゆる」などに連体形「ゆる」の形をとどめている。
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
ゆ[格助]
1 動作・作用の起点を表す。…から。
「朝に日(け)に見まく欲りするその玉をいかにせばかも手―離(か)れずあらむ」〈万・四〇三〉
2 動作の移動・経由する場所を表す。…を通って。
「川沿ひの岡辺(をかへ)の道―昨日こそ我が越え来(こ)しか」〈万・一七五一〉
3 比較の基準を表す。…に比べて。…より。
「衣手葦毛(あしげ)の馬のいなく声心あれかも常―異(け)に鳴く」〈万・三三二八〉
4 動作の手段・方法を表す。…によって。…で。→ゆり →よ →より
「小筑波(をづくは)の繁き木(こ)の間よ立つ鳥の目―か汝(な)を見むさ寝ざらなくに」〈万・三三九六〉
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
日本大百科全書(ニッポニカ)
ゆ
五十音図第8行第3段の仮名で、平仮名の「ゆ」は「由」の草体から、片仮名の「ユ」は「由」の終画からできたものである。万葉仮名では「由、遊、喩、愈、瑜、踰、臾(以上音仮名)、湯(訓仮名)」などが使われた。ほかに草仮名としては「(由)」「
(遊)」「
(游)」などがある。
音韻的には/ju/で、舌面と歯茎硬口蓋こうがいとを狭めて発する摩擦音[j]を子音にもつ(母音の[i]と非常に近い音なので半母音ともいう)。
[上野和昭]
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
精選版 日本国語大辞典
ゆ
出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
ゆ
(2)語源上、「見ゆ」「燃ゆ」「消ゆ」「絶ゆ」など、いわゆる他動詞を対応形にもつヤ行下二段動詞の語尾と同じもので、作用を自然に発動する変化またはその状態としてとらえるのが原義と考えられる。それが、「見ゆ」にも「人に見ゆ」(見られる意)などの用法のあるように、受身の意味を明らかにするために用いられ、一方、否定を伴うと、不可能の意を示すことになった。
(3)四段活用動詞の未然形に付くものを助動詞として取り扱うが、「思ふ」「聞く」に付いた場合のように、早く「思ほゆ」(さらに「おぼゆ」)「聞こゆ」となって、一動詞の語尾として扱われるものがある。
(4)上一段活用動詞「射る」について、「射ゆ」の受身用法の例があり、これを普通に助動詞の「ゆ」と説く。「書紀‐斉明四年五月・歌謡」の「射喩(ユ)獣(しし)を認(つな)ぐ川上(かはへ)の若草の若くありきと我が思(も)はなくに」や「万葉‐三八七四」の「所射(いゆ)鹿を認ぐ川辺のにこ草の身の若かへにさ寝し子らはも」など。そのほか枕詞に用いた「所射(いゆ)ししの」もある。これらはすべて「ゆ」の形を連体法に用いており、しかも「しし」につづく固定的な表現であるが、「見ゆ」に合わせて、古くは上一段動詞にも「ゆ」が付いたとすることができよう。
(5)中古には、漢文訓読に「地蔵十輪経元慶七年点‐七」の「当来に有ら所(エ)む罪咎を防護すべし」のように、多少引き継がれ、また、「あらゆる」「いはゆる」のように連体詞として固定したものが後世まで用いられたほかは、一般に「る」に代わった。なお、ラ変動詞「あり」に付くのは、漢文の「所有」の訓読のために生じた語法か。
出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
「ゆ」の用語解説はコトバンクが提供しています。
●ゆの関連情報