@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

アトピー性皮膚炎【アトピーせいひふえん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

アトピー性皮膚炎
アトピーせいひふえん
atopic dermatitis
一定の物質に対して,先天的に過敏なアトピー性体質の人にみられる皮膚炎アトピー性体質の人は体外から進入する抗原 (アレルゲン) に対して過敏に反応し,特異的な抗体 (レアギン) をつくり出す。そうした素因のうえに慢・反復的に生ずる,かゆみの強い,皮膚湿疹性病変がアトピー性皮膚炎である。多くは生後2~6ヵ月頃の乳児期に発病し,症状年齢とともに大きく変化していくので,別の病気のようにみえる。乳児期 (2歳まで) は主として顔,頭に急性に湿潤性の湿疹状病変ができ,それが次第に手足や体の中心部に拡大していく。幼児期 (2~12歳) は乳児期と次の成人期との中間または移行型といえる状態で,病変部の皮膚は乾燥してアトピー皮膚といわれる丘疹のできた状態になってくる。成人期に進むにつれて,主として肘や膝などの屈曲部に,丘疹が集って苔癬化という状態になり,皮膚はますます乾燥し肥厚してくる。いずれの段階でも激しいかゆみを訴える。普通,幼児期までに治癒することが多いが,成人にまで移行すると重症になる。治療ステロイド外用を中心にして,特定の食物を除去する食物制限などが行われることも多い。さらにダニ,ほこり,カビなどの発生を抑えるよう生活環境の整備も重要とされる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

知恵蔵

アトピー性皮膚炎
アトピーとは、花粉症鼻アレルギー、気管支ぜんそくなどのアレルギー疾患(I型アレルギー)のうち、遺伝的素因を持ったものをいう。乳幼児期に乾燥した皮膚、排泄障害、皮脂分泌障害など、特有の症状が見られる。皮膚のかゆみを訴え、多くは皮膚炎を起こす。
(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

朝日新聞掲載「キーワード」

アトピー性皮膚炎
かゆみを伴う発疹が、顔や、ひじやひざなどに繰り返し出るアレルギー疾患。一般的に、「ステロイド」を塗って炎症を抑える薬物療法と、炎症予防のため皮膚を清潔にし保湿する治療を併用する。ステロイドを使いすぎると、皮膚の萎縮(いしゅく)など副作用もあるため、日頃から十分に保湿して炎症を起こりにくくすることが治療の基本とされる。
(2008-08-21 朝日新聞 夕刊 2社会)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

アトピーせい‐ひふえん【アトピー性皮膚炎】
atopic dermatitisアトピー体質の人に生じる湿疹(しっしん)。乳児型は顔や頭に湿潤性の湿疹ができ、かゆい。小児型はひじ・ひざの屈側部に乾燥性の湿疹ができるもの、四肢の伸側部にできるものがあり、成人型ではさらに頸部(けいぶ)・額(ひたい)・まぶた・前胸部・手関節部などにもできる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

とっさの日本語便利帳

アトピー性皮膚炎
遺伝性の素因のある即時型アレルギーをアトピーという。アトピー性皮膚炎患者の家族は、アトピー性皮膚炎はもとより、喘息、花粉症、胃腸アレルギー蕁麻疹(じんましん)などアレルギーを起こすことが多い。

出典:(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」

食の医学館

あとぴーせいひふえん【アトピー性皮膚炎】

《どんな病気か?》


〈アレルギーだけでなく皮膚の性質も大きく関係〉
 アトピー性皮膚炎は、強いかゆみをともなう湿疹(しっしん)をおもな病変とし、症状がよくなったり悪化したりをくり返す病気です。湿疹ができる場所に特徴があり、ひたい、目や口のまわり、耳たぶの下、首や手足の関節部などに現れます。
 アトピー性皮膚炎の子どもの多くは、体質的にアトピー素因をもっています。アトピー素因とは、本人に気管支(きかんし)ぜんそくやアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎(けつまくえん)、アトピー性皮膚炎の既往歴があるか、または家族にそれらの病気にかかった人がいること、そしてアレルギー反応の元となるIgE(免疫グロブリンE)という抗体(こうたい)をつくりやすい素因をもっていることをいいます。
 つまりアレルギーを起こしやすい体質をもっているために、食べものやダニ、カビ、ホコリなどがアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす原因物質)となって症状を引き起こしてしまうことがあるわけです。
 ただし、アトピー性皮膚炎の原因はアレルギーだけでなく、皮膚の性質も大きく関係していることがわかっています。
 アトピー体質の子どもの皮膚は乾燥しやすく、刺激に弱い性質のため、汗をかいたり、皮膚を刺激する毛糸の衣類を着ると湿疹が悪化してしまうのです。
 またストレスによって、実際にはかゆくないのにかきむしり、湿疹を悪化させているケースもみられます。
 したがって、スキンケアとあわせて、心のケアもたいせつな要素になります。

《関連する食品》


〈ビタミンC、ナイアシン、IPAでかゆみを緩和する〉
○栄養成分としての働きから
 アトピー性皮膚炎は、強いかゆみをともなうことが特徴の1つです。
 たとえばアレルギーが原因となっている場合、かゆみは次のようなメカニズムで起こります。
 ダニやカビなどのアレルゲンが体内に入ってくると、IgE抗体がつくられ、肥満細胞というヒスタミンをはじめとするさまざまな体内物質を抱えた細胞と結合します。そして次に同じアレルゲンが侵入すると、IgE抗体がアレルゲンと接合し、それを合図に肥満細胞は抱えていたヒスタミンなどの物質を外にばらまきます。これらの体内物質により、アトピー性皮膚炎のかゆみや炎症が引き起こされるのです。
 ビタミンCやナイアシンには、このヒスタミンの生成を抑える効果があり、かゆみや炎症の緩和に働きます(ただし、ナイアシンを多く含む肉類、魚類がアレルゲンとなることも多いので、その場合はサプリメントでとる方法もあります)。
 また、ビタミンCはストレスに対抗するホルモンの生成にもかかわっています。アトピー性皮膚炎の子どもは、かゆみで夜も眠れないなど、日常的にストレスにさらされており、それだけビタミンCも多く消費されてしまいます。ビタミンCを多く含むコマツナ、カリフラワーなどの野菜をしっかりとりたいものです。魚の脂(あぶら)に多く含まれるIPAにも、かゆみや炎症を鎮める働きがあります。魚がアレルゲンとなっている場合は、α(アルファ)―リノレン酸を含む植物油(シソ油、エゴマ油など)をとると、体内でIPAにかわり、アレルギー症状を緩和します。なおかつ、リノール酸と異なり、アレルゲンにはなりません。
〈免疫機能を正しく調整するB6 、乳酸菌、DHA〉
 免疫機能を正常に保つうえで欠かせないのが、ビタミンB6や乳酸菌、DHAです。
 もともとビタミンB6は、皮膚炎を予防することから発見されたビタミンで、不足すると湿疹やじんま疹(しん)などができやすくなります。強い抗アレルギー作用があり、ビタミンB6をとることでアレルギー症状が改善されたという報告もあります。
 またビタミンB6は、ナイアシンの合成能力も高めてくれます。ビタミンB6を含むバナナやサツマイモなどで補給を心がけてください。
 一方、プレーンヨーグルトなどに含まれている乳酸菌は、アレルギーを引き起こすもととなるIgE抗体が体内でつくられるのを抑制して免疫機能を修正します。
 この効果を高めるためには、乳酸菌を毎日、習慣的に摂取することがポイントになります。なお、甘味料が入ったヨーグルトは、アレルギーを誘発する可能性があり、適しません。乳製品がアレルゲンとわかっている人も、当然ながら避けなければなりません。
 DHAは、α―リノレン酸を含む食品からとることができます。α―リノレン酸は体内でIPAにかわったのち、DHAに合成されます。
 最近、ベニバナ油などリノール酸を多く含む食品をとりすぎるとアレルギー症状が悪化することがわかってきました。これは、アレルギーの原因となるロイコトリエンという物質が肥満細胞から放出されるのをうながすためだと考えられています。したがって、リノール酸の多い油は避け、シソ油やアマニ油など、α―リノレン酸を多く含む油を使うといいとされています。
〈α―リノレン酸の油は加熱しないで使う〉
 α―リノレン酸を含んでいる油からDHA、IPAをとる場合には、揚げものや炒(いた)めものなどといった、加熱する料理で使うよりも、サラダドレッシングなどで利用したほうが有効に摂取することができます。というのもα―リノレン酸はとても酸化しやすいためです。
 保存の際も、冷暗所に置くようにしてください。
 また、α―リノレン酸もとりすぎには注意が必要です。

出典:小学館
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。食品は薬品ではありません。病気にかかったら、かならず医師の診察を受けてください。

世界大百科事典 第2版

アトピーせいひふえん【アトピー性皮膚炎 atopic dermatitis】
語源はギリシア語で〈奇妙な皮膚炎〉を意味する。1923年にA.コカが提唱した〈アトピー〉性の素因による皮膚炎という意味で名づけられた。典型的な経過をとる場合,まず乳児期に顔面,頭部にかゆみの強い赤い発疹が現れ,かきこわすとが出てくる。やがてこのかゆい発疹は全身の皮膚に広がり,悪化と改善のをくりかえすようになる。改善したときには,皮膚には赤みはなくなり,梨の肌のようなぶつぶつがにみられる程度になる。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

アトピーせいひふえん【アトピー性皮膚炎】
アトピー体質の人にいろいろな刺激が加わって生じる湿疹。かゆみが強い。年齢によって現れる症状が異なり、乳児では顔面・頭部が赤くただれて湿性、成人では主に関節屈側に丘疹が集簇しゆうぞくし、乾燥している。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

アトピー性皮膚炎
あとぴーせいひふえん
アトピー性体質のある人に生ずるかゆみの強い、慢性に繰り返す湿疹(しっしん)である。喘息(ぜんそく)、アレルギー性鼻炎、花粉症、じんま疹(しん)のできやすい遺伝的アレルギー性体質(アトピー性体質)をもっている人は、生まれつき、いろいろな物質に過敏で、草木の花粉やダニ、家の中のほこり、カビの胞子などに触れたり吸い込んだり、そのほか生活環境のいろいろなものが刺激となってこの皮膚炎をおこす。年齢によって症状が多少変わるのも特徴で、乳児型、小児型、成人型の3型がある。
(1)乳児アトピー性皮膚炎 生後2か月前後を経過するころからみられる。最初は、頬(ほお)に赤い斑点(はんてん)やぼつぼつ(丘疹)ができ、ついで小さい水ぶくれ(水疱(すいほう))が現れ、やがて頬から前額、下顎(かがく)が冒され、進行すると頭部にまで及び、広範囲にわたって赤くなり、滲出(しんしゅつ)液がじくじくとしみ出し、これが乾燥してかさぶた(痂皮(かひ))をつくる。かいたり、こすったりするといっそう赤みを増し、液の滲出もひどくなって悪化する。
(2)小児(幼児)アトピー性皮膚炎 満1歳過ぎのころからみられるが、もっとも多いのは4~7歳である。できやすい部位は肘(ひじ)や膝(ひざ)のくぼみで、皮膚が厚くなるのが特徴で、乾燥してかさかさしている。表面の皮膚の線(皮溝)が深くなってはっきりみえ、触れると厚ぼったくざらざらしている。かゆみが非常に強くて患部をかきむしるように強くかき、ひっかき傷ができて血がにじみ出るようになり、症状がどんどん悪くなる。
 小児乾燥型湿疹は小児アトピー性皮膚炎の比較的軽症な場合の特徴をとらえた診断名である。満1歳以上7歳くらいまでの間におこる。胴体、肩、腕、大腿(だいたい)(ふともも)などにできやすい。患部の皮膚は乾燥してざらざらしている。よく見るとアワ粒くらいの大きさの皮膚と同色の小さいぼつぼつ(丘疹(きゅうしん))がたくさん固まってできていたり、広範囲にわたってできていたりする。表面が白い粉を振りまいたようにみえるところもある。赤みはあまり強くない。冬季にひどくなる性質があり、夏季の汗をかくころは、かゆみもなく、よくなっていることが多い。
(3)成人アトピー性皮膚炎 思春期以降になると、肘と膝のくぼみにみられた症状、すなわち皮膚が厚くなり、乾燥してかさかさとなり、皮溝が深まる症状がさらに広がり、頸部(けいぶ)、顔面を好んで冒し(成人顔面型)、さらに悪化すると全身にみられるようになる。
 この皮膚病は季節の変わり目にとくに再燃してかゆくなる。外用治療が重要で、副腎皮質ホルモン剤を含んだ軟膏(なんこう)・クリームの塗布が原則である。滲出液が出る場合は患部に細菌が増殖して治りにくくなっているので、抗生物質を必要とすることもある。副腎皮質ホルモン含有外用剤の長期連用による副作用を防止するため、改善時には保湿・保護を目的とする外用剤に変更し、あるいは細胞性免疫抑制剤含有軟膏に変更し、これらを症状にあわせて適切に使い分けることが重要である。治療の際に注意するべきことは、かゆみを止めて患者に患部をかかせないようにすることで、かくとかゆみがいっそう強くなり、皮膚の症状も悪化する(かゆみと掻破(そうは)の悪循環)。かゆみを止めるには、全身療法として抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤を内服させる。[伊崎正勝・伊崎誠一]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

アトピーせい‐ひふえん【アトピー性皮膚炎】
〘名〙 (アトピーはatopy) 激しいかゆみを伴う湿疹が生じる皮膚疾患。気管支喘息(ぜんそく)、鼻炎などアレルギー性疾患を起こしやすい体質の遺伝的な素因によると考えられ、乳児型、小児型、成人型それぞれに発症の部位と症状が異なる。アトピー性湿疹。

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

内科学 第10版

アトピー性皮膚炎(その他のアレルギー性疾患)
定義・概念
 アトピー性皮膚炎は,増悪・寛解を繰り返す,瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり,患者の多くはアトピー素因をもつ.アトピー素因とは,①家族歴・既往歴(気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎,アトピー性皮膚炎のうちいずれか,あるいは複数の疾患)があること,または②IgE抗体を産生しやすい素因を指す(古江ら,2009).
病態
 アトピー性皮膚炎では水分保持能・バリア機能の低下,かゆみの閾値の低下,易感染性などの皮膚の機能異常が認められ,これにさまざまな発症・悪化因子が関与して,アレルギー性炎症が引き起こされると考えられている.発症・悪化因子としては食物,汗,乾燥,掻破,物理化学的刺激,ダニ,ほこり,細菌・真菌,ストレスなどがあげられる.なお,表皮の分化に関与し皮膚バリア機能に重要な役割を果たしている蛋白であるフィラグリンをコードする遺伝子が,アトピー性皮膚炎の疾患感受性遺伝子の1つであることが明らかとなった.
臨床症状
 皮疹は湿疹病変で,急性病変と慢性病変が混在する.皮疹は左右対側性に分布し,年齢によって好発部位に特徴がある.
1)乳児期(2歳未満):
アトピー性皮膚炎の症状の始まりは,被髪頭部と顔の紅斑と鱗屑で,丘疹・漿液性丘疹が混在することも多い.顔面の症状にやや遅れて頸部や腋窩に滲出性紅斑が生じ,さらに胸腹部・背部・四肢にも紅斑・丘疹が生じてくる.
2)幼小児期(2~12歳):
皮膚の乾燥傾向が強くなり,また瘙破により皮膚が厚くなり,苔癬化局面を形成するようになる.肘窩・膝窩などのいわゆる屈曲部に苔癬化局面や紅斑・丘疹を生じやすい.眼囲を掻破すると,眉毛の外側部が脱毛する(Hertoghe徴候).
3)思春期・成人期(13歳以上):
思春期以降の成人では,顔面・頸部・胸部・背部(図10-34-2)など上半身に皮疹が強い傾向がみられるようになる.また,皮疹が顔面から頸部に顕著である顔面型や,孤立性で瘙痒の強い丘疹が体幹・四肢に多発する痒疹型の患者は成人に特有であり,難治性になることもある.
診断・検査成績
 日本皮膚科学会の診断基準に基づき,①瘙痒,②特徴的皮疹と分布(皮疹は湿疹病変,左右対側性の分布,年齢による好発部位の特徴),③慢性・反復性経過(乳児では2カ月以上,その他では6カ月以上)の3基本項目を満たすものを,アトピー性皮膚炎と診断する.
 検査値ではIgE値の上昇や好酸球数の増加が患者の約80%に認められる.また乳児期には卵白やミルクなどに対する特異的IgE抗体が陽性となりやすいが,1歳以降になるとダニ抗原の陽性率が急増する.なお,血清TARC(thymus and activation-regulated chemo­kine)値は短期的な病勢をきわめて鋭敏に反映することが示された.
治療
 「発症・悪化因子の検索と対策」,「スキンケア」,「薬物療法」を適切に組み合わせて行う.本症では保湿薬によるスキンケアがきわめて大切である.
 薬物療法ではステロイド外用薬,タクロリムス外用薬,抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬が主要な治療薬である.ステロイド外用薬は強さにより5ランクに分かれており,皮疹の重症度に応じて使い分ける.タクロリムス外用薬は特に顔面や頚部の皮疹に有用である.なお,成人の重症・難治性患者に対する短期的な寛解導入療法として,シクロスポリンの内服が保険適用された.[佐伯秀久]
■文献
古江増隆,佐伯秀久,他:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン.日皮会誌,119: 1515-1534, 2009.

出典:内科学 第10版
©Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は原書刊行時(2013年)の時点での最新のものです.常に最新の内容であることを保証するものではありません。また,権利関係の都合で一部表示できない図や画像があります。

六訂版 家庭医学大全科

アトピー性皮膚炎
アトピーせいひふえん
Atopic dermatitis
(子どもの病気)

どんな病気か

 アトピー性皮膚炎は、増悪(ぞうあく)寛解(かんかい)を繰り返し慢性的に経過する、かゆみのある湿疹と定義されています。患者さんの多くはアトピー素因をもっています。乳幼児から成人まで、あらゆる年齢層で発症する病気です。

原因は何か

 アトピー素因(アトピー体質)とは、気管支喘息(きかんしぜんそく)アレルギー性鼻炎結膜炎(けつまくえん)、アトピー性皮膚炎などの病気にかかりやすい体質のことをいいます。家系内にこれらの病気にかかっている、またはかかったことがある人が多く、また、ダニやハウスダスト(家のホコリ)、食物などの環境中のアレルゲン(アレルギー反応の原因となる物質)に対してアレルギー反応を起こしやすい体質のことを指します。

 このアトピー素因に加え、皮膚の()刺激性、乾燥肌そして環境因子などが複雑に(から)みあって関与し、病変をつくっていると考えられています。皮膚の乾燥傾向が基本となり、そこにアレルゲンやさまざまな刺激が加わり、慢性の湿疹がみられます。

症状の現れ方

 かゆみを伴った湿疹病変が慢性に経過し、左右対称性に分布します。年齢などにより湿疹のできやすい場所は違ってきます。

 乳児では顔面・頭部にできやすく、乳児脂漏性(しろうせい)湿疹と区別が付きにくい時があります。成長すると次第に(ひじ)(ひざ)関節の曲がる部分に湿疹病変が分布するようになります。幼児期になると、かき傷を伴って皮膚の乾燥が目立ちはじめます。空気が乾燥する冬に症状が悪化することが多いようです。

検査と診断

 アトピー素因などのアレルギー検査として、血液の検査と直接皮膚で行う検査があります。

 血液の検査では、白血球数などの検査のほかにIgE抗体を測定します。IgEは血液のなかに作られる抗体の一種で、アレルギー反応に関与します。さらにIgEがどのようなものに対して作られているかを調べるRAST法という検査も行われます。ダニ、ハウスダスト、卵の白身、牛乳などに陽性を示す人が多いとされています。また最近、アトピー性皮膚炎の重症度の指標となるTARC値の測定も行われるようになっています。

 皮膚の検査では、パッチテストが有用です。原因あるいは増悪因子の可能性がある生活環境中の物質を背中に貼り、2~3日後に反応をみて判定します。ヒョウヒダニ、家のホコリ、カンジダ(カビ)などで高い陽性率がみられます。

治療の方法

 治療の基本方針として、環境の整備、湿疹病変の薬物による治療、乾燥肌に対するスキンケアの3つが重要です。

 生活環境に増悪因子がある場合が多いので、それらへの対策を立てるとともに、湿疹をステロイド外用薬、免疫抑制薬、その他の外用薬で治療します。かゆみに対しては抗ヒスタミン薬などの内服も効果があります。皮膚が過度に乾燥しないように保湿効果のある外用薬を入浴後などに使用して、皮膚の調子を整えます。

 繰り返し起こる、あるいは慢性に続くのが特徴の湿疹なので、症状がないか、あっても気にならない程度で、日常生活に何ら支障がない状態か、症状は軽度で長引いているが急に悪くなることはなく、たとえ悪くなっても治療ですぐ落ち着くといった状態を保つことが重要です。

病気に気づいたらどうする

 皮膚科または小児科を受診し、各人で異なる増悪因子を探して対策を立てるとともに、薬で湿疹を治療します。

安元 慎一郎

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
(C) HOUKEN CORP. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

アトピー性皮膚炎
アトピーせいひふえん
Atopic dermatitis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 乾燥肌による刺激に対する過敏さ(敏感肌)とアレルギー反応に関係するIgEをつくりやすい体質(アトピー素因)に、さまざまな環境要因がきっかけになってかゆみのある皮膚炎が生じ、軽快と悪化を繰り返す慢性の病気です。

原因は何か

 皮膚の表面をおおう角質層のセラミドなどの油の膜には、皮膚の内側の水分の蒸発を防ぐはたらきと体の外からの刺激をブロックする防御壁のはたらきがあります。また、角質層の天然保湿因子は水分を結びつけて、角質層の水分を保つはたらきがあります。アトピー性皮膚炎ではセラミドなどの油分やある種の天然保湿因子が少ないために乾燥肌になって防御壁のはたらきが低下し、日常生活でのさまざまな刺激に過敏に反応して皮膚炎を起こしやすくなります。また、食物やダニ・花粉などに対するアレルギーが悪化の原因になることもあります(図2)。

症状の現れ方

 かゆみのある皮膚炎が、年齢に応じて特徴的な場所に生じます。

検査と診断

 血液検査でIgE濃度を調べることによって、アレルギー反応による悪化の原因の見当をつけることができます。しかし、血液検査でIgEが陽性でも必ずしもその物質が実際の皮膚炎の悪化につながっているとはかぎらないので、皮膚炎の悪化に関係があるかどうかは、医師と相談しながら慎重に判断する必要があります。

治療の方法

 治療ガイドラインに沿って、発症・悪化の原因の検索と対策、スキンケア、薬物療法を適切に組み合わせます。乾燥肌による敏感肌が最大の問題なので、肌に水分と油分を補給するスキンケアは、皮膚炎のある時だけでなく調子のよい時にも必要です。また皮膚炎があると、汗や摩擦(まさつ)などの刺激にますます敏感に反応して一段と皮膚炎を起こしやすくなり、かゆいところをかくことで皮膚炎がさらに悪化するといった悪循環が起こりやすいので、抗炎症作用のある薬を使って皮膚炎を十分に軽快させることが大切です。

 現在、最も効果的な抗炎症薬として、ステロイド外用薬が世界中でいちばんよく使われています。また、免疫調整薬という新しい塗り薬や、かゆみを和らげる抗ヒスタミン作用のあるのみ薬も症状に応じて使用します。

病気に気づいたらどうする

 アトピー性皮膚炎の悪化の原因は人によってさまざまで、季節・年齢などによっても異なります。医師と相談しながら、皮膚炎を悪化させる原因とその対処法をよく理解し実践することが大切です。

加藤 則人

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
(C) HOUKEN CORP. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

アトピー性皮膚炎
アトピーせいひふえん
Atopic dermatitis
(アレルギー疾患)

どんな病気か

 かゆみの強い慢性の湿疹で、増悪(ぞうあく)や軽快を繰り返します。多くの場合、アトピー素因(気管支喘息(ぜんそく)アレルギー性鼻炎結膜炎、アトピー性皮膚炎などを生じやすい体質)をもつ人に生じます。主に小児期に発症し、成人では軽快することが多いのですが、成人になって再発したり、重症になることもあります。

原因は何か

 多くは環境中のダニや食べ物などの成分がアレルゲン(アレルギーの原因物質)となり、それらに対する免疫グロブリンE(IgE)抗体がつくられて、皮膚にアレルギー性の炎症を起こします(表7)。

 小児では、卵、牛乳、小麦などの食物が原因として多くみられます。その他、イヌ、ネコなどのペットのフケや毛、体内や皮膚の表面にすんでいる真菌(しんきん)(カビ)などの成分もアレルゲンになります。

 また、皮膚の最上層である角層(かくそう)内の天然保湿因子やの細胞間物質(セラミドなど)の異常などにより皮膚のバリア機能が損なわれ、冬の乾燥や夏の発汗、衣類などの刺激に対して皮膚が弱く、炎症を起こしやすい状態になります。炎症を起こした皮膚の表面には細菌が増殖しやすく、さらに悪化させる要因になります。

 成人では、これらにより生じた皮膚の炎症が職場や家庭内の精神的ストレスで悪化することがあります。家族にアトピー素因のある人が多く、他のアトピー疾患の合併も多くみられます。

症状の現れ方

 年齢によって症状が異なります。乳児期には滲出液(しんしゅつえき)の多い紅斑が顔面や体幹、四肢にみられ、幼小児期になると首や四肢の関節部などに乾燥性の病変がみられます。

 思春期や成人になると全身、とくに顔面、くび、胸背部などに紅斑や丘疹(きゅうしん)(ぶつぶつした隆起)などの症状が強くみられます。ざらざらした黒ずんだ乾燥肌(アトピー皮膚)のことが多く、かゆみが強いために掻破(そうは)による傷(かき傷)がみられます。眼のまわりの症状が強い場合には、アトピー性白内障(はくないしょう)や網膜剥離(もうまくはくり)を起こすことがあります。

 アトピー性皮膚炎に単純ヘルペスが感染すると顔面や上半身などに小さな水疱(すいほう)(直径が数㎜の水ぶくれ)が多発し、ぴりぴりした痛みを伴います。これはカポジ水痘様発疹症(すいとうようほっしんしょう)と呼ばれ、感染が広範囲に及ぶと発熱を伴います。

検査と診断

 多くはそれぞれのアレルゲンに反応する免疫グロブリンE(IgE)抗体が上昇し、血液中の総IgE抗体量も上昇します。皮膚炎の悪化時には、白血球のうちアレルギー疾患で増加する好酸球の割合が増えています。しかし約20%はIgEが上昇しないアトピー性皮膚炎として存在します。

治療の方法

 皮膚のかさつきを抑える目的で白色ワセリンや尿素などを含んだ保湿剤を、炎症を抑える目的でステロイド軟膏を用います。免疫抑制薬の軟膏タクロリムス(プロトピック)も有効ですが、刺激感や感染症などの副作用に注意が必要です。

 内服薬では抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を用います。抗炎症作用のある漢方薬が有効なこともあります。細菌や単純ヘルペスの感染症を伴った時には、それらに対する治療が必要になります。

病気に気づいたらどうする

 原因対策を行います。家のなかのダニ対策や小児では原因食物の除去を行います。ただし、過剰な食物除去は成長障害を来すため注意が必要です。皮膚の清潔を保つことは重要ですが、石鹸の使用により皮膚は乾燥するので、入浴後は保湿を十分に行います。

 掻破によるびらんが著しい場合には、軟膏を塗った上にガーゼや包帯を巻いて掻破から皮膚を守ります。十分な睡眠をとることや胃腸の調子を整えること、精神的安定を図ることも重要です。

相原 道子

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
(C) HOUKEN CORP. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

EBM 正しい治療がわかる本

アトピー性皮膚炎
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 遺伝的な要因がもとになって、慢性的に湿疹(しっしん)がみられる病気です。かゆみを伴うため、かきむしって症状を悪化させることが少なくありません。気管支喘息(ぜんそく)、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎(けつまくえん)といったほかのアレルギーの病気を合併することもあります。
 アトピー性皮膚炎は年齢によって症状が少し異なります。乳幼児ではあごやほおなど顔面に小さなぶつぶつ(丘疹(きゅうしん))ができます。この丘疹はじくじくすることもあります。頭部に黄白色のフケのようなかさぶた(痂皮(かひ))ができることもあります。多くは乳幼児期で自然に治りますが、一部は幼少児期に移行します。
 幼少児期ではひじや膝(ひざ)の裏、手、足などの皮膚がごわごわした状態(苔癬化(たいせんか))になったり、耳たぶが切れたりします。皮膚は乾燥しているのが特徴です。多くは自然に治りますが、やはり一部は思春期および成人での成人型に移行します。顔、首、前胸部などが赤く、あるいは赤黒くなります。
 アトピー性皮膚炎になりやすい要因は遺伝的なもので、なくすことはできません。症状もよくなったり悪くなったりをくり返すので、成人型の場合、治療の目標は症状を抑えることとなります。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 病気の原因はくわしくわかっていませんが、遺伝的にアレルギー体質の人が、家の中のホコリやダニ、体の汗やフケ、アカなどの外的な刺激を受けると皮膚に発症すると考えられています。また、皮膚のバリア機能が低く、皮膚が乾燥した状態にあることも引きがねになっています。
 皮膚の一番表面にある角質層には、セラミドという脂質があります。アトピー性皮膚炎の症状に悩む人は、このセラミドが減っていることがわかってきました。一方、食物アレルギーによって症状がでるとの考え方もあります。しかし、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎は別物だとする考え方もあり、結論を得ていません。また、心理的なストレスが症状を悪化させているとの指摘があります。

●病気の特徴
 患者数は約40万人です。男女の差はあまりありません。幼少児期が多く、年齢が上がるにつれて患者さんは少なくなります。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]ハウスダストやダニを除去する
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 非常に信頼性の高い臨床研究で、その効果は確認されています。ただし、その効果はそれほど大きくないようです。(1)

[治療とケア]皮膚の清潔を保ち、保湿剤を使用する
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 洗顔や入浴によって皮膚を清潔に保つことや皮膚保湿剤の使用によって乾燥を防ぐことは、いくつかの臨床研究によって効果が確認されています。(2)(3)

[治療とケア]入浴時、石けんの使用を制限する(皮膚を乾燥させないタイプに限定する)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 臨床研究でその効果は確認されていないようですが、専門家の意見や経験から支持されています。

[治療とケア]かゆみを抑えるために目の周りを叩(たた)いてはいけない
[評価]☆☆
[評価のポイント] 目の周りを叩くことの危険性については、臨床研究などは見あたりませんが、症状の悪化、網膜剥離(もうまくはくり)や白内障(はくないしょう)を招くので、やはりこの行為はやめたほうがいいでしょう。

[治療とケア]副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬(やく)の外用薬で皮膚炎を抑える
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 副腎皮質ステロイド薬を塗ることで皮膚の炎症が抑えられることが、非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。(4)

[治療とケア]皮膚炎鎮静後は保湿剤を使用して皮膚のバリア機能を保つ
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 保湿剤を使うことで症状が軽減し、副腎皮質ステロイド薬の効果が強まることや副腎皮質ステロイド薬を減量できることが、非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。(2)~(5)

[治療とケア]副腎皮質ステロイド薬で十分な効果が得られない場合は、外用の免疫抑制薬を用いる
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 外用の免疫抑制薬は比較的安全で効果があることが、非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。ただし、副腎皮質ステロイド薬との優劣は比較されておらず、どちらのほうがより高い効果が得られるのかは、いまのところわかっていません。(6)(7)


よく使われている薬をEBMでチェック

副腎皮質ステロイド薬の外用薬
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 外用ステロイド薬には効果の程度によって弱い(ウイーク)から最強(ストロンゲスト)までのランクがあります。ステロイド外用薬の効果の高さと局所性の副作用のおこりやすさは一般的には平行することから、必要以上に強いステロイド外用薬を選択することなく個々の皮疹の重症度に見合ったランクの薬剤を適切に選択することが重要とされています。(8)
 軟膏、クリーム、ローション、テープ剤などの剤型の選択は、病変の性状、部位などを考慮して選択することになります。
 顔面、頸部(けいぶ)には、高い薬剤吸収率を考慮して、原則としてミディアムクラス以下のステロイド外用薬を使用します。


保湿剤
[薬名]グリセリンカリ液(グリセリンカリ液)(10)(11)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]ウレパール/ケラチナミンコーワ(尿素)(10)~(13)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 尿素はグリセリンカリ液よりも保湿効果は強い反面、皮膚刺激作用がやや強いとの非常に信頼性の高い臨床研究があります。

[薬名]ヒルドイド(ヘパリン類似物質)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 1日2回の外用が炎症の再燃を抑制するという効果について、信頼性の高い臨床研究があります。(14)

外用免疫抑制薬
[薬名]プロトピック(タクロリムス水和物)(6)(7)(9)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] タクロリムス水和物の治療効果については、非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。ただし、副腎皮質ステロイド薬との比較では、どちらがより効果的なのかという点は明確になっていませんが、体幹、四肢を対象とした本剤(成人用 0.1パーセント)の有効性はストロングクラスのステロイド外用薬とほぼ同等であるという臨床研究があります。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
基本の治療は3本柱
 まず、患者さん自身ができるケアとして、原因と考えられるハウスダストやダニの除去があります。これは、できる範囲で行ったほうがよいでしょう。
 基本的な治療としては、保湿剤、副腎皮質ステロイド外用薬、それに抗菌薬による二次感染巣(そう)の治療などがあります。

保湿剤で皮膚のバリア機能を高める
 もともと、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚は乾燥しているのが特徴であり、それがさまざまな症状の引きがねともなっています。
 できるだけ皮膚のバリア機能を高め、うるおいを保てるように、入浴時には、石けんの使用を制限します。万が一、用いるときでも皮膚を乾燥させないタイプのもの(ニュートロジーナなど)が勧められます。季節や気候、あるいは冷房といった外的な環境の影響などによって、皮膚の乾燥がとくに強いときにはうるおいをもたせるため、保湿剤のウレパール/ケラチナミンコーワ(尿素)あるいはグリセリンカリ液(グリセリンカリ液)などを用います。

副腎皮質ステロイド外用薬は適切な種類を適切な量だけ使う
 副腎皮質ステロイド外用薬の種類は、作用の強弱によって、弱い、中程度、強力、かなり強力、最強の5段階に分かれています。もっとも強力なものは顔には用いないよう注意が必要です。
 副腎皮質ステロイド外用薬を使う場合、不適切な種類のものを用いたり、不適切な量を用いたりすれば、効果がなかったり、あるいは副作用で苦しんだりするということがおこりえます。そうした危険性だけに注目するためか、絶対に用いてはいけないという極端な意見も一部にはありますが、それは誤りです。
 適切な種類の副腎皮質ステロイド外用薬を適切な量だけ用いれば、非常に効果的な薬です。その効果を十分に引きだすためには、皮膚科専門医の指示に従う必要があります。

皮膚感染症がおこった場合は抗菌薬を
 アトピー性皮膚炎では、黄色(おうしょく)ブドウ球菌による皮膚感染症がおこりやすくなります。感染症に対しては早期にペニシリン系あるいはセフェム系の抗菌薬を用いて、進行させずに治療するようにします。

(1)Tollefson MM, Bruckner AL, Section On Dermatology. Atopic dermatitis: skin-directed management. Pediatrics. 2014; 134:e1735.
(2)Langan SM, Williams HC. What causes worsening of eczema? A systematic review. Br J Dermatol. 2006; 155:504.
(3)Langan SM, Bourke JF, Silcocks P, Williams HC. An exploratory prospective observational study of environmental factors exacerbating atopic eczema in children. Br J Dermatol. 2006; 154:979.
(4)Eichenfield LF, Tom WL, Berger TG, et al. Guidelines of care for the management of atopic dermatitis: section 2. Management and treatment of atopic dermatitis with topical therapies. J Am Acad Dermatol. 2014; 71:116.
(5)Lucky AW, Leach AD, Laskarzewski P, et al. Use of an emollient as a steroid-sparing agent in the treatment of mild to moderate atopic dermatitis in children. PediatrDermatol. 1997;14:321-324.
(6)Ashcroft DM, Dimmock P, Garside R, et al. Efficacy and tolerability of topical pimecrolimus and tacrolimus in the treatment of atopic dermatitis: meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2005; 330:516.
(7)Rikkers SM, Holland GN, Drayton GE, et al. Topical tacrolimus treatment of atopic eyelid disease. Am J Ophthalmol. 2003; 135:297.
(8)古江 増隆他.アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(日本皮膚科学会ガイドライン).日皮会誌.119(8),1515-1534,2009.
(9)FK506 軟膏研究会.FK506 軟膏第Ⅲ相比較試験-アトピー性皮膚炎(躯幹・四肢)に対する吉草酸べタメタゾン軟膏との群間比較試験-.西日皮膚.59 : 870-879, 1997.
(10)Smethurst D, Macfarlane S. Atopic eczema. ClinEvid. 2002;8:1664-1682.
(11)Loden M, Andersson AC, Andersson C, et al. Instrumental and dermatologist evaluation of the effect of glycerine and urea on dry skin in atopic dermatitis. Skin Res Technol. 2001;7:209-213.
(12)Loden M, Andersson AC, Anderson C, et al. A double-blind study comparing the effect of glycerin and urea on dry, eczematous skin in atopic patients. ActaDermVenereol. 2002;82:45-47.
(13)Åkerström U, Reitamo S, Langeland T, et al. Comparison of Moisturizing Creams for the Prevention of Atopic Dermatitis Relapse : a Randomized Double-Blind Controlled Multicentre Clinical Trial.ActaDermVenereol. 2015 Jan 16. doi: 10.2340/00015555-2051. [Epub ahead of print]
(14)川島眞,林伸和,乃木田俊辰,柳澤恭子,水野惇子.アトピー性皮膚炎の寛解維持における保湿剤の有用性の検討.日皮会誌.117 : 1139-1145, 2007.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
(C) HOUKEN CORP. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

アトピー性皮膚炎」の用語解説はコトバンクが提供しています。

アトピー性皮膚炎の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation