●アムハラ族【アムハラぞく】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
アムハラ族
アムハラぞく
Amhara
エチオピアの中央高原に居住する民族。ほぼ前6~1世紀にかけて,アラビア南部から移住してきたセム語系の征服民族と,先住のクシ語系諸族とが混血して形成されたと考えられる。人口は 2000万をこえると推定され,エチオピアではクシ語系のガラ族と並ぶ規模をもつ。定着以来長くエチオピアの支配を維持した。王朝を頂点として階層社会を形成し,大地主制度を発達させたが,1974年2月の軍事革命後,皇帝は廃され,土地制度もかなり改革された。アムハラ語は,アフロ=アジア語族のセム諸語に属し,13世紀以来エチオピアの公用語である。住民の大多数は,貧困な小作農として主食のテフをはじめ,小麦,大麦,とうもろこしなどの穀類を栽培し,牛,羊などの家畜も飼養する。しかし,階層間移動が比較的容易であったことが社会制度を安定させた主要因とされる。保護者,被保護者の関係が社会のすみずみまで浸透している。宗教は,コプト教の流れをくむエチオピア正教を信仰する。隣接するティグレ族とは,文化,宗教,言語および形質的に近縁であり,競合しながらも,歴史観に基づく一体感を共有している。
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世界大百科事典 第2版
アムハラぞく【アムハラ族 Amhara】
エチオピアの主要部族。北部のエリトリア地方に住むティグリニヤ族などとともにアビシニア人とよばれていた。それは,ともに古アクスム王国の主要な住民ハバシャ(アビシニアの語源)の子孫だからであるが,アビシニアという語は現在ほとんど使われなくなった。アムハラ族は母語をアムハリニヤ,ティグリニヤ族はハバシャとそれぞれよんでおり,両者の基礎語彙は56%も共通している。ともにアフロ・アジア語族のエチオ・セム系言語に属し,古代ゲーズ語に由来する。
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