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アンズ

栄養・生化学辞典

アンズ
 [Prunus armeniaca].バラ目バラ科サクラ属の植物アンズの果実.乾燥して食べたり,ジャムにする.アプリコットともいう.ビタミンA,Cに富む.ナイアシンのよい給源でもある.からは,アーモンド油をとる.

出典:朝倉書店
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食の医学館

アンズ

《栄養と働き》


 アンズはバラ科の喬木(きょうぼく)で、原産地は中国です。リンゴやモモに似た白または薄ピンクの花を咲かせ、春の訪れを告げるようすは可憐(かれん)で、詩にもうたわれているほどです。
○栄養成分としての働き
 アンズはくだもののなかでは、100g中に含まれるカロテンが飛び抜けて多いのが特徴です。カロテンは抗酸化作用があり、がんや老化の予防に効果が高いことが知られています。さらにアンズの色素は、カロテンの仲間で強い発がん抑制作用をもつβ(ベータ)―クリプトキサンチンが含まれています。
 酸味の主成分はクエン酸やリンゴ酸などの有機酸で、糖質の代謝や鉄の吸収をよくする働きがあるため、疲労回復や貧血予防、食欲増進に有効なのです。また食物繊維も豊富なため、便秘(べんぴ)予防にもいいでしょう。
 女子栄養大学の研究では、アンズは糖質消化酵素グルコシアターゼの働きを阻害することが判明しています。糖質の消化吸収が抑えられるため、ダイエットや糖尿病に効果があるのではと考えられます。
〈呼吸器系の不調を緩和し便通をよくする薬効がある〉
○漢方的な働き
 アンズには肺を潤す働きがあり、鎮咳(ちんがい)、去痰(きょたん)、のどの痛みの緩和に効果的です。体の水分バランスもととのえるので、かわきをいやすほか、むくみの解消にも有効です。アンズ酒にするとより効果が高まります。
 これらの薬効は種子の中にある杏仁(きょうにん)に、より顕著に認められます。漢方では苦杏仁(くきょうにん)を用い、せき止め、去痰、便秘などの薬に処方します。中華料理でおなじみの杏仁豆腐(あんにんどうふ)には甜杏仁(てんきょうにん)が使われますが、これもせきやのどの乾燥をやわらげます。
○注意すべきこと
 アンズの種には青酸(せいさん)が含まれているので、生食しないでください。またアンズを多食すると、できものがでることがあるので、毎日食べる場合は干しアンズ2~3個に。

《調理のポイント》


 アンズの旬(しゅん)は初夏の一時期です。日もちが悪く、摘んで3、4日で味が落ちるため、店頭にはあまりならびません。しかし生産地などで購入するときは、オレンジ色が鮮やかで実のかためのものを選びましょう。
 生の果実は酸味が強いため、ジャムや砂糖漬け、果実酒などにすることがほとんどです。干しアンズは通年入手できるうえ、ミネラル、食物繊維が凝縮されて、生果より高い薬効があります。
 お菓子作りに使ったり、アンズ酒にしたり、ダイコンおろしに甘酢を加えて和えものにするとおいしく食べられます。

出典:小学館
(C)Shogakukan Inc.
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日本大百科全書(ニッポニカ)

アンズ
あんず / 杏子
apricot
[学] Prunus armeniaca L.

バラ科(APG分類:バラ科)の落葉中高木。カラモモともいう。果実を食用とするため古くから栽培されている。染色体数は2n=16である。放任樹では高さ15メートルにも達するが、栽培下では整枝剪定(せんてい)により5メートル前後が普通である。葉は互生し有柄で卵円形または広楕円(こうだえん)形、7~8センチメートルあり、小鋸歯(しょうきょし)がある。花は淡桃色ないしは桃色で、早春に開き、基本的には5弁花であるが、品種によっては重弁もある。雌しべは1本、雄しべは多数。自家自殖する。果実はウメに似て球形で、3~4センチメートル、初夏に乳白色ないしは黄色に熟す。多くは離核で、核は堅く灰褐色。

 原産地は中国東部で、紀元前3000~前2000年より栽培され、アジア系を分化した。一方、古く中国西部を経て西アジアに伝わった系統は、紀元前からアルメニアで栽培され、二次的な遺伝的変異の中心をつくり、中央アジア系、イラン・コーカサス系、ジャンガラ・ザイル系、ヨーロッパ系などの4系統を分化した。ヨーロッパ系は地中海気候を好む。アメリカには18世紀に伝わり、カリフォルニアは大産地となった。日本へは中国から古く伝わり唐桃(からもも)といわれた。現在栽培されている代表的品種は、平和号、新潟大実、甲州大実、山形3号などで、長野県千曲(ちくま)市、長野市安茂里(あもり)が有名な産地である。

 ウメ、モモ、スモモとは近縁で、接木(つぎき)のほか交雑もでき、プラムコットplumcotはスモモとの雑種である。フランスのアルプス山中のブリアンコンbriancon (P. brigantina)、中国東北区のP. sibiricaP. mandshuricaはともに野生で、アンズに近縁である。

[飯塚宗夫 2019年12月13日]

利用

2016年の全世界のアンズ果実生産量は年388万トン、そのうちトルコが73万トンを生産する。果実は生食のほか、乾果、缶詰、ネクター、アイスクリーム、ジュースとし、さらにジュースから強壮剤やリキュールをつくる。乾燥種子を杏仁(きょうにん)といい、杏仁豆腐(シンレントウフ)(杏仁を使った寒天よせ)、杏仁湯(シンレンタン)(杏仁の飲み物)など中国料理では広く利用されている。また、杏仁油、杏仁水の原料ともなる。

[飯塚宗夫 2019年12月13日]

薬用

核のなかに1個入っている種子(杏仁)は、青酸配糖体アミグダリンと脂肪油を含有しているので、漢方では鎮咳(ちんがい)、去痰(きょたん)、利尿剤として喘息(ぜんそく)、咳嗽(がいそう)(せき)、呼吸困難、便秘の治療に用いる。脂肪油を肌や顔につけると皮膚は潤沢になる。中国ではモウコアンズP. sibirica L.の仁も同様に用いる。昔、董奉(とうほう)という仙人が、病気を治した謝礼に金を受け取らず、アンズを植えさせ、やがてアンズの林になったと『神仙伝』に書いてあることから、のちに医者を杏林というようになった。

[長沢元夫 2019年12月13日]

民俗

アンズは杏子の唐音で、その名は『万葉集』にはなく、『和名抄(わみょうしょう)』に「加良毛毛(からもも)」とある。遅くとも10世紀までには渡来しており、『古今和歌集』で清原深養父(きよはらのふかやぶ)が、「逢ふからもものはなほこそ悲しけれ 別れむことをかねて思へば」と詠んでいることから、当時、すでに花が観賞されていたことがわかる。聖書に出てくる禁断の木の実(知識の木tappuah、ヘブライ語)は、一般にリンゴと受け取られているが、金のtappuahという表記もあり、当時黄色のリンゴがなかったことからも、黄色に熟すアンズだとする説が有力である。

[湯浅浩史 2019年12月13日]

『日本果樹種苗協会編『あんず――特産のくだもの』(1992・日本果樹種苗協会)』『農山漁村文化協会編『果樹園芸大百科14――スモモ・アンズ』(2000・農山漁村文化協会)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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