@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

イェーツ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

イェーツ
Yeats, William Butler
[生]1865.6.13. アイルランドダブリン
[没]1939.1.28. フランス,ロクブリュヌ・カプ・マルタン
アイルランドの詩人,劇作家。1923年ノーベル文学賞受賞。早くからロンドンに出てライオネル・P.ジョンソン,アーサー・シモンズらの世紀末詩人と交わり,フランス象徴派の影響を受けた。第一詩集アシーンの放浪』The Wanderings of Oisin, and Other Poems(1889)や詩劇『キャスリーン伯爵夫人』The Countess Cathleen(1892)は伝説から取材した夢幻の境に憧れるロマンチックな作品であり,神秘への志向を秘めているが,やがて祖国アイルランドの独立運動に参加し(→アイルランド独立運動),アイルランド文芸協会をロンドンに設立(1891),さらにイザベラ・オーガスタ・グレゴリー夫人と協力してダブリンにアイルランド文芸座を組織(1899)し,アビー劇場建設への道を開いた。『キャスリーン・ニ・フーリハン』Cathleen ni Houlihan(1902),『ディーアドラ』Deirdre(1906)は代表的戯曲である。20世紀に入ってから詩風に変化を生じ,神秘主義から脱して現実への関心を強め,象徴詩的な傾向を深めた。1922~27年にはアイルランドの上院議員を務めたが,詩人としても 1930年前後が最盛期であり,『』The Tower(1928)や有名な「ビザンチューム」を含む『めぐれる階(きざはし)』The Winding Stair(1929)は 20世紀における最も注目すべき英詩集とみなされている。遺作に詩劇『煉獄』Purgatory(1939)がある。日本の能楽にも関心が深く,その影響を受けて詩劇『鷹の井戸』At the Hawk's Well(1917)などを書いた。南フランスで客死。(→アイルランド演劇

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

イェーツ(William Butler Yeats)
[1865~1939]アイルランドの詩人・劇作家。アイルランド文芸復興運動、独立運動に参加。詩集「アシーンの放浪とその他の詩」「」、戯曲「砂時計」「鷹の井戸」など。1923年ノーベル文学賞受賞。イェイツ。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

イェーツ【Frances Amelia Yates】
1899‐1981
イギリスの歴史家。1924年にロンドン大学を卒業,44年からは同大学付属のワールブルク研究所員となり,新プラトン主義の宇宙観を手掛りにルネサンス精神史の新しい解明を試みた。《ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス学の系譜》(1964)によりルネサンス期魔術(ヘルメス学)の哲学的役割を再検討した後,記憶術と宇宙観の結合をシェークスピアの常打ち劇場だった〈地球座〉の構造にまで探りあてた名著《記憶術》(1966)を刊行,また《薔薇十字啓蒙運動》(1975)では17世紀の科学革命に及ぼした魔術的ユートピズムの影響を明確にした。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

イェーツ【William Butler Yeats】
1865‐1939
アイルランドの詩人,劇作家。ダブリンに生まれ,美術学校に進んだが,詩人となる決心を固めて退学。1887年,家族とともにロンドンに移り,世紀末文化のただなかに身を投ずることになる。W.ペーターやラファエル前派の作品を愛読し,W.モリスやO.ワイルドを知り,91年にはA.シモンズらと反俗的文学青年の集団〈詩人クラブ〉を結成。この間,心霊協会や結社〈黄金の暁教団〉に入会する一方,祖国の民俗文化への関心から《アイルランド農民民話集》(1888)を編集する。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

イェーツ
いぇーつ
William Butler Yeats
(1865―1939)

アイルランドの詩人、劇作家。6月13日ダブリン郊外のサンディマウントに生まれる。父ジョンは画家。1867年に一家はロンドンに移ったが、母の郷里スライゴーに帰ることも多く、幼時からアイルランド北西海岸の風景や、農民の語る妖精(ようせい)談になじんだ。1881年ダブリンへ戻り19歳で市立美術学校に入学するが、2年で画の修業をあきらめ、詩人としてたつ決心を固めた。1887年ふたたびロンドンに出て、1889年に第一詩集『アシーンの放浪ほかの詩』を発表、ケルト人の英雄アシーンが妖精の案内で魔法の島々をめぐる幻想的な物語詩や、哀愁に満ちた繊細な叙情詩で注目された。アイルランド独立のために戦う美女モード・ゴンMaud Gonne(1866―1953)と出会ったのもこの年である。1891年には「詩人クラブ」を結成、ジョンソンLionel Pigot Johnson(1867―1902)、ダウソン、A・シモンズらの世紀末唯美派詩人との交友を深め、フランス象徴主義詩人たちの存在を知る。また1887年ブラバッスキイ夫人の「神智協会」に参加、1890年には「黄金の曙光(しょこう)教団」に入会して、カバラの教義、占星術、降霊術の研究に熱中した。現実の社会に背を向け、神話と魔術と夢の領域に詩の主題を求める神秘主義的で芸術至上主義的な傾向は、詩集『葦間(あしま)の風』(1899)で一つの頂点に達する。

 他方では、1891年に「アイルランド文芸協会」の設立に協力して、民族文学普及の実践運動に乗り出し、『ケルトの薄明』(1893)ほかで民話を収集紹介、劇『キャスリーン伯爵夫人』(1892刊、1899初演)では中世の説話を用いて、悪魔に魂を売り農民を飢えから救う貴夫人の姿を描いた。1899年にはグレゴリー夫人Lady Isabella Augusta Gregory(1852―1932)らと「アイルランド文芸劇場」を設立、この劇のダブリン上演をもって本格的な民族演劇運動を開始するが、さらに劇作家シングやアイルランド人俳優らの参加を得て、1904年に「アベイ劇場」を新設、アイルランド文芸復興の黄金時代を築いた。この時期の劇には愛国的な『キャスリーン・ニ・フーリハン』(1902初演)、ケルト神話による『バーリアの浜で』(1904初演)、『デアドレ』(1906初演)などがある。そののちフェノロサ訳の能を知り、様式的な表現に影響を受けて、『鷹(たか)の井戸』(1916初演)から、晩年の『クーフリンの死』(1939刊、1945初演)まで、15編の劇を書いたが、写実を求める大衆の好みからは離れた。

 しかしイェーツは、演劇運動の実務を体験することによって状況に直面するすべを学び、劇の創作を通して直接的な語法の効果を知る。詩集『責任』(1914)では、現実の世界に対する挑戦的な姿勢があらわになる。社会的な事件を取り上げ、市民たちの卑小な生活を痛烈にののしり、祖父たちや、世紀末の友人たちや、神々や英雄たちと比較する。1917年には長年のゴンへの思いを断ち切り、52歳でジョージー・ハイド・リーズGeorgie Hyde-Lees(1892―1968)と結婚、創作力はいっそうの充実を示して、詩集『クールの野生白鳥』(1919)、『マイケル・ロバーツと踊り子』(1921)、『塔』(1928)、『螺旋(らせん)階段ほかの詩』(1933)などの傑作を生み、『最後の詩集』(1939)に至るまで衰えをみせなかった。ここでは対英抗争、内乱、大戦、老年など、現実の混乱、恐怖、不毛に対する仮借ない認識と、これらを克服して超越的体験にあずかろうとする願望が恐ろしい緊張をつくりだしている。また散文『ビジョン』(1925、改訂1937)は、循環歴史説や転生説に対する信念を体系図式化した、個性的な省察録である。イェーツの詩的変身が、T・S・エリオット、オーデンらを含むモダニズム以後の詩人たちに与えた影響は大きい。1923年ノーベル文学賞受賞。1922年から1928年までアイルランド上院議員。1939年1月28日南フランスの保養地で死去。遺体は第二次世界大戦後の1948年に、スライゴー郡ドラムクリフ教会の墓地に埋葬し直された。

[高松雄一]

『平井正穂・高松雄一編『イェイツ・エリオット・オーデン』(1975・筑摩書房)』『佐野哲郎・風呂本武他訳『イェイツ戯曲集』(1980・山口書店)』『鈴木弘訳『W・B・イェイツ全詩集』(1982・北星堂書店)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

イェーツ
(William Butler Yeats ウィリアム=バトラー━) アイルランドの詩人・劇作家。アイルランド文芸復興に尽くす。一九二三年ノーベル文学賞受賞。詩集「塔」「螺旋階段」、戯曲「キャスリン伯夫人」「鷹の井」など。(一八六五‐一九三九

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

イェーツ」の用語解説はコトバンクが提供しています。

イェーツの関連情報

関連キーワード

南北戦争フォーレアメリカ合衆国史(年表)エイブラハムリンカングラッドストンジョンソンテーヌブースカピタンクーラン

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation