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ウィリアムズ【うぃりあむず】

日本大百科全書(ニッポニカ)

ウィリアムズ(Tennessee Williams)
うぃりあむず
Tennessee Williams
(1911―1983)
アメリカの劇作家。3月26日、ミシシッピ州コロンバスに生まれる。不況時代のセントルイスで不安定な青春時代を送り、アイオワ大学で劇作を専攻、以後は雑多な職業を転々、各地を放浪しながら戯曲、詩、短編小説を書いた。初期の作品の多くは、生地南部のよどんだ風土を背景に、人間の赤裸々な闘争の様相を象徴技法により甘美な詩情で包み、独特の美の世界をつくりあげた。『ガラスの動物園』(1945)は、彼自身の青春時代をモデルに、家出した青年の母と姉に対する思いを叙情的に描いたもの、また『欲望という名の電車』(1947)は、南部の没落農園の娘が教養と欲情の板挟みのために精神が崩壊していく過程を描いたもので、この2作の成功で劇作家としての地位を築いた。その後、理想と現実のはざまに置かれた人物の内面心理のゆがみを掘り起こす『夏と煙』(1948)や『バラのいれずみ』(1951)、幻想劇『カミノ・レアル』(1953)を経て、『やけたトタン屋根の猫』(1955)では、遺産相続をめぐる家族間の醜い駆け引きをもとに、虚偽で固めた人間の外衣をはぎとり、執念と執念のぶつかり合う強烈な戦いぶりを描いた。以後は、世俗的暴力と妥協せず孤独の殻に閉じ込もる芸術家気質(かたぎ)の人物の敗北の物語に終始し、『地獄のオルフェウス』(1957)、『この夏突然に』(1958)などでは、愛の価値の否定、弱肉強食の社会構造などを通じて人生に疑問を投げかける暗い思想を展開させたが、『イグアナの夜』(1961)からあとは寛容と忍従の精神を訴えて、『牛乳列車はもう止まらない』(1963)、『東京のホテルのバーにて』(1969)などでは死を甘受する人間像を描き出した。
 1960年代は孤独感と罪悪感にさいなまれて酒と麻薬に入り浸って健康を害し、69年には精神科病院の暴力的な患者を収容する病棟に入れられるなどの経験をした。その後は立ち直って、人生の敗残者の心境を描く『小舟注意報』(1972)や、孤独の底で狂気と正気の境を生きる恐怖と諦観(ていかん)を語る『二人芝居』(1975)など、いわば自分自身の絶望の美学の展開ともいうべき作品を書き続けた。また自己の同性愛体験を告白する『回想録』(1975)の発表は大きな話題を巻き起こした。83年2月25日、ニューヨークのホテルの一室で薬瓶の蓋(ふた)をのどに詰まらせて事故死した。死の直前まで、戯曲、小説、詩と多数の作品を執筆していたが、晩年の作品は筆力の衰えを感じさせる。主要作品は映面化され、日本で翻訳上演された戯曲も数多い。[鳴海四郎]
『鳴海四郎他訳『テネシー・ウィリアムズ一幕劇集』(1966・早川書房) ▽鳴海四郎訳『テネシイ・ウィリアムズ戯曲選集1・2』(1977、1980・早川書房) ▽鳴海四郎訳『テネシー・ウィリアムズ回想録』(1978・白水社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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