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ウェルズ【うぇるず】

日本大百科全書(ニッポニカ)

ウェルズ(Herbert George Wells)
うぇるず
Herbert George Wells
(1866―1946)
イギリスの小説家、文明批評家。20世紀初頭の思想界に大きな影響を与えた。9月21日、ケント州ブロムリー(現、ロンドンの一部)の貧しい商家に生まれ、8歳から13歳まで商業学校に通ったのち、徒弟奉公に出され、服地屋の丁稚(でっち)、薬剤師助手など職を転々とした。1884年奨学金を得てサウス・ケンジントンの理科師範学校(現、ロンドン大学理学部)に入学、T・H・ハクスリーなどの講義を聞き、科学万能の世界に浸った。1888年優等で同校を卒業、理科教師の生活に入ったが、まもなくジャーナリズムの世界に転じた。このころから小説を書き始め、1895年に発表した処女作『タイム・マシン』は好評を博し、いまでもSFの古典となっている。その後も『驚くべき来訪』(1895)、『モロウ博士の島』(1896)、『透明人間』(1897)、『宇宙戦争』(1898)などの科学小説を精力的に発表した。これらの作品すべてに、日常生活の不安定さと未来の人類の位置とその没落が暗示されていることは注目に値する。
 20世紀に入ると文明批評的な関心が深まる。世相に対する風刺とユーモアを特徴とし、彼の貧しい少年時代を詳しく描いた普通の小説『キップス』(1905)、『ポリー氏』(1910)や自伝的傾向の強い『トノ・バンゲイ』(1909)などはすべて彼の社会思想の告白でもある。1903年フェビアン協会に参加、この協会の穏健な社会主義綱領に飽き足らず、G・B・ショーなどと対立しながら、彼独自の合理主義的社会観を表明し続けた。これらを小説の形で示したものが、人類の理想と進歩に関する一群の思想小説『予想』(1901)、『完成中の人類』(1903)、『近代的理想郷』(1905)、『新マキアベリ』(1911)であるが、この時期にすでに原爆を使用した科学小説『解放された世界』(1914)を書いている。その後、彼の社会的関心はますます強まり、知的国際連盟とも称すべき彼の理想を、『世界文化史大系』20巻(1920)や続編『生命の科学』(1929)などの形で精力的に表現。1946年8月13日、ロンドンで没。著書100冊を超える彼の生涯をひとことでいうならば、後期のペシミスティックな傾向にもかかわらずビクトリア朝の上昇階級であった下層中産階級の一員として、普通教育の普及の波のなかで科学と知性による迷信の排除と人類の合理的進歩という信念を語り続けたものということができる。[鈴木建三]
『阿部知二訳『ウェルズSF傑作集』全3冊(創元推理文庫) ▽マッケンジー著、村松仙太郎訳『時の旅人』(1978・早川書房/上下・ハヤカワ文庫)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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