●ウェルフリン
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ウェルフリン
Wölfflin, Heinrich
[没]1945.7.19. チューリヒ
スイスの美術史家。 1893年 J.ブルクハルトの後継者としてバーゼル大学教授となる。次いで 1901年ベルリン,12年ミュンヘン,24年チューリヒの各大学教授を歴任。大学就職論文は『ルネサンスとバロック』 (1888) 。主著『美術史の基礎概念』 Kunstgeschichtliche Grundbegriffe (1915) のなかで,ルネサンスからバロックへの様式発展を「線的」と「絵画的」,「平面的」と「深奥的」,「閉じられた形式」と「開かれた形式」,「多数性」と「統一性」,「絶対的明瞭性」と「相対的明瞭性」の5つの基本概念で対比させた。その他の著作として『古典美術』 Die klassische Kunst (1899) ,『イタリアとドイツの形式感情』 Italien und das Deutsche Form-gefühl (1931) などがある。
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デジタル大辞泉
ウェルフリン(Heinrich Wölfflin)
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世界大百科事典 第2版
ウェルフリン【Heinrich Wölfflin】
スイスの美術史家。ウィンタートゥールに生まれ,チューリヒに没す。1893年J.ブルクハルトの後任としてバーゼル大学教授となり,以後ベルリン(1902),ミュンヘン(1912),チューリヒ(1924)各大学を歴任。線的なものから絵画的なものへ,閉じられた形式から開かれた形式へ等々の対概念をもって視形式Sehformenの自律的発展を論じた《美術史の基礎概念》(1915)は単に美術史のみならず,文芸学など芸術学一般にも広く影響をあたえた。
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日本大百科全書(ニッポニカ)
ウェルフリン
うぇるふりん
Heinrich Wölfflin
(1864―1945)
スイス生まれの美術史学者。バーゼル、ミュンヘン、ベルリンなどの大学教授を歴任。20世紀初頭の美術史学研究に新しい方法論を提唱し、芸術学にも大きな業績を残した。その考え方は、ブルクハルトやフィードラーのような美術史、芸術学などの学者の理論に基づくとともに、実際に作品を制作した画家・彫刻家との交遊に負うところも多い。様式の変遷の根源を、時代精神や民族性や個人的気質だけに求めず、視(み)る形式自体の展開のうちにとらえ、「人名なしの美術史」を唱え、とくに、ルネサンスからバロックに至る発展を5対の基礎的な対立概念のもとに体系づけた。この方法は美術以外の芸術の理論的研究にも大きな刺激を与えた。主著『美術史の基礎概念』(1915)のほか『ルネサンスとバロック』(1888)、『古典美術』(1899)などがある。
[鹿島 享]
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