●ウラン
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ウラン
uranium
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知恵蔵
ウラン
(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)
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デジタル大辞泉
ウラン(〈ドイツ〉Uran)
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監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版
ウラン【uranium】
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精選版 日本国語大辞典
ウラン
出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版
ウラン
ウラン
uranium
U.原子番号92の元素.電子配置[Rn]5f 36d17s2の周期表3族アクチノイド元素.原子量238.02891(3).天然には,234U0.0055(2)%,235U0.7200(51)%,238U99.2745(106)% の同位体核種が存在する.質量数217~242の核種が知られている.いずれも放射性.半減期は234U2.455×105 y(α崩壊),235U2.038×108 y(α崩壊),238U4.468×109 y(α崩壊).3核種ともごく一部,自発核分裂で崩壊する.地球創世期から存在する元素として最大の原子番号をもつ.1789年,M.H. Klaprothによりせんウラン鉱(pitchblend,uranite)中に存在が推定された.同じころに発見された天王星“uranus”にちなんで命名された.日本語の元素名はドイツ語名から.宇田川榕菴は天保8年(1837年)に出版した「舎密開宗」で,烏刺紐母(ウラニウム)としている.金属としての最初の分離は,1841年,E-M. Péligotによる.放射能の存在は,1896年,A.H. Becquerel(ベクレル)によってはじめて認識された.核分裂の確認は,1939年,O. Hahn(ハーン)とF. Strassmannによる.
地殻中の存在度0.91 ppm で,銀,カドミウムより多い.海水中の存在度は3.2 μg L-1.ウランを含有する鉱物は非常に多いが,資源的におもな鉱物は,せんウラン鉱,レキ青ウラン鉱,カルノー石,りん灰ウラン鉱,リン銅ウラン鉱,コフイン石,チューヤムン石など.主要資源国はオーストラリア,カザフスタン,カナダ,南アフリカ,アメリカなど.2005年世界の確認埋蔵量330万t のうち,オーストラリア75万t,カザフスタン51万t,カナダ35万t で50% 弱を占める.製錬は溶融ハロゲン化物のアルカリ金属,またはアルカリ土類金属による還元,電解還元,または酸化物のCa,Alによる還元で行われる.歴史的には,無水四塩化物をカリウムで還元して得られた.核燃料用の製錬工程は核燃料サイクル参照.単体は銀白色の金属で,展延性がある.α(斜方),β(正方),γ(立方)の3形があり,667 ℃ でα→β,778 ℃ でβ→γの転移が起こる.密度19.05 g cm-3(α型),18.11 g cm-3(720 ℃,β形),18.06 g cm-3(805 ℃,γ形).融点1132.2 ℃,沸点3820 ℃.0.2 K で超伝導となる.原子半径0.1542 nm.イオン半径 U3+0.1025 nm.第一イオン化エネルギー597.2 kJ mol-1(6.191 eV).化学的に活性で,ほとんどの元素と化合物をつくる.粉末は空気中で発火し,熱水と反応してUO2と水素になる.冷水にも侵される.金属は空気中で表面が酸化される.酸に溶けて水素を発生する.アルカリに不溶.高温で水素と反応してUH3となり,窒素と反応してU3N4をつくる.また,ハロゲンとはハロゲン化物をつくる.化合物中の酸化数は1,2,4~6をとる.
最大の用途は核燃料.通常の発電用原子炉では235U3% 濃縮のものが使われるが,研究用原子炉,あるいは核兵器では90% 以上の濃縮ウランが使用される.90% 以上(とくに93.5%)の濃縮ウランは兵器級(weapons-grade)とよばれる.0.2% 程度に235U同位体存在度が減っているものを劣化ウランとよび,弾丸の貫通力を高めるために,また戦車の装甲に使用される.密度の高いことから慣性誘導装置,ジャイロコンパス,ミサイルのバラストにも利用される.ウラン塩は古くからガラスを黄緑色に着色するために用いられ,ナポリ付近から出土したA.D.79年のガラス製品には酸化ウランが1% 含まれていた.ガラスの熱膨張率を調整して金属を封入する際にもウラニウムガラスが使用される.
ウランは重金属として腎臓,肝臓に対する毒性があり,同時に体内に摂取されると放射性毒性が高く,発がん性がある.ウランは原子力基本法のいう核燃料物質・核原料物質で,「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令」により,300 g を超える場合は使用許可を要する.国際原子力機関が1996年に刊行した「国際基本安全基準」は,この限度を1×104 Bq(0.8 g 相当)に下げることを提示しており,この値に準拠して1~300 g を規制対象に加える検討が進められている.[CAS 7440-61-1]
出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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