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エクジソン

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

エクジソン
ecdysone; Ekdyson
エクダイゾンともいう。前胸腺ホルモンと同義で,変態ホルモンと呼ぶこともある。一種のステロイド。完全変態昆虫幼虫前胸腺から分泌される。側心体に蓄積された脳間部神経分泌ホルモンの支配で体液中に放出され,表皮中の脱皮腺を刺激,脱皮液をつくる。脱皮液は表面にある古いクチクラの分離を誘導する。脱皮はアラタ体ホルモンとの協働作用で起き,エクジソン単独では蛹化,羽化が起る。ドイツの P.カールゾン,A.ブテナントらがカイコガの蛹から純粋分離に成功した。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

エクジソン(ecdysone)
昆虫や甲殻類脱皮変態を引き起こすホルモン。昆虫では前胸腺ホルモンともいう。変態ホルモン。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

エクジソン【ecdysone】
エクダイソンともいう。節足動物の脱皮を誘導するホルモンとして単離された,分子量464の水溶性ステロール。昆虫では,その作用時に幼若ホルモンが共存すると幼虫へ,微量の幼若ホルモン存在下ではさなぎへ,単独では成虫へと分化・脱皮させる。名称はecdysis(脱皮)とケトン基を意味するone(オン)の合成語。α‐エクジソン,前胸腺ホルモンの別称があり,時に20‐ヒドロキシエクジソン(20‐OH‐エクジソン,エクジステロン,β‐エクジソン,クラストエクジソンに同じ)を含めて脱皮ホルモンあるいは変態ホルモンともいう。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

エクジソン
えくじそん
ecdysone

昆虫の前胸腺(ぜんきょうせん)から分泌されるホルモン(前胸腺ホルモン)の本体であり、脱皮、変態を誘導する。1954年ドイツの生化学者ブーテナントおよびカールゾンPeter Karlson(1918―2001)によりカイコの蛹(さなぎ)から単離された。これは高度に酸化されたステロイド性化合物であり、脱皮ecdysisにちなんでα(アルファ)-エクジソンおよびβ(ベータ)-エクジソン(20-ヒドロキシエクジソン)と名づけられた。ホルモンとしての活性は後者のほうが強い。その後、20-ヒドロキシエクジソンは甲殻類からも単離されており、昆虫はもとより節足動物一般に存在するものと考えられている。このほか20,26-ジヒドロキシエクジソンなどの類似化合物が昆虫からみいだされており、類似化合物を総称してエクジステロイドとよぶ。一方、植物界にも、同じ作用をもつ物質が20-ヒドロキシエクジソンをはじめとして、昆虫にはみいだされていないポナステロン、シアステロンなど現在までに50種以上発見されており、これらは植物エクジステロイドと総称される。エクジソンは前胸腺刺激ホルモン(PTTH)の刺激により前胸腺でコレステロールから生合成され、脱皮時、変態時直前に体内濃度が上昇する。脱皮時には新クチクラの分泌、変態時には蛹および成虫のクチクラ形成、成虫原基の形態形成などを促す。最近、昆虫の卵巣からもエクジソンが発見され、卵の成熟や胚(はい)発生にも関係があるのではないかと考えられている。

[藤本善徳]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

エクジソン
〘名〙 (ecdysone) 昆虫・エビ・カニなどの変態を促進するホルモン。前胸腺で生成・分泌される。

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

エクジソン
エクジソン
ecdysone

昆虫や甲殻類の脱皮,変態などに必要なホルモン.【】α-エクジソン:C27H44O6(464.63)(R = H).1954年にP. Karlsonらによって,カイコのさなぎから結晶状に単離され,X線回折および化学的方法でその構造が決定された.融点242 ℃.+65°.λmax 242 nm(log ε 4.09).カイコの前胸腺から分泌され,シダ類など多くの植物にも見いだされている.コレステロールが生合成前駆物質である.[CAS 3604-87-3]【】β-エクジソン:C27H44O7(480.63)(R = OH).1966年,ザリガニの脱皮ホルモンとして単離され,その構造は20-α-ヒドロキシエクジソンと決定された.その後,カイコのさなぎや各種の植物からも発見され,エクジステロン,ポリポジンAなどの別称がある.融点243 ℃.+62°.λmax 244 nm(log ε 4.09).J.B. Siddallらによって部分合成されている.[CAS 5289-74-7].その後,昆虫,甲殻類を含む無脊椎動物から,80種類以上のエクジステロイドが見つかっている.また,植物由来のエクジステロイドはフィトエクジステロイドとよばれ,150種類以上が知られている.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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