●エテン
化学辞典 第2版
エテン
エテン
ethene
C2H4(28.05).CH2=CH2.脂肪族不飽和炭化水素(アルケン)のもっとも簡単なもの.エチレンとよばれたこともあったが,現在では二価基-CH2-CH2-をエチレンと命名し,エテンと区別することになっている.ガソリン製造のための重質油熱分解における副生ガス,また石炭乾留ガス中にも含まれる.工業的には,エタンより炭素数の多い石油系炭化水素の熱分解で生成する,分解ガスの低温精留により分離製造される.この熱分解の原料としては,原油随伴ガス(エタン),製油所副生ガス,ナフサ,軽油,さらに原油を直接使うこともできる.現在では,日本とヨーロッパではナフサが,アメリカと中東ではエタンがおもな原料である.実験室的製法には,エタノールをアルミナ触媒を用いて脱水する方法がある.構造は構成原子はすべて同一平面上にあり,C=C0.134 nm,C-H0.109 nm.∠H-C-H118°,∠H-C-C121°.オレフィン臭をもつ引火性の無色の気体.融点-169.15 ℃,沸点-103.71 ℃.爆発範囲2.75~28.60体積%.水,エタノール,エーテルに微溶.二重結合への各種付加反応,重合反応,酸化反応を受けやすい.石油化学のもっとも重要な基本原料として,大規模に生産されており,しかも生産量はますます増加の傾向にある.エテンを原料とした石油化学製品は数多いが,おもなものとしては,ポリエチレン,エチレンプロピレンゴム,塩化ビニル,酢酸ビニル,スチレン,エタノール,アセトアルデヒド,エチレンオキシド,エチレングリコール,1,2-ジクロロエタンなどがある.ほかに果物を熟させる性質をもつために,果物の色づけ,さらに野菜,果樹の促成などにも使われる.[CAS 74-85-1]
出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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デジタル大辞泉
エテン(ethene)
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