●エピクロス
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
エピクロス
Epikouros
[没]前270. アテネ
ギリシアの哲学者。前 311年頃ミュティレネに学派を創始,306年にはアテネ郊外の庭園に移った。そこで彼の学派は庭園学派と呼ばれる。デモクリトスの原子論を根底にもち,霊魂をも物体とする唯物論者であり,感覚を知識の唯一の源泉かつ善悪の標識とする。そこから有名な快楽主義が生れる。しかし,その快はわずらいを伴うものであってはならないから,享楽であるより苦しみのない心の平静でなくてはならない。そこで彼は来世を否定して死に対する恐怖を断ち,神々を恐れる迷信を乗越えてみずから神々の平静さにあずかろうとした。この努力により彼は魂の救済者との名声を得,その範例的生ゆえに人々の尊敬を集めた (→エピクロス主義 ) 。
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デジタル大辞泉
エピクロス(Epikūros)
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とっさの日本語便利帳
エピクロス
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エピクロス
ギリシャの哲学者(前三四二頃~二七〇)。
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世界大百科事典 第2版
エピクロス【Epikouros】
原子論と快楽主義で有名な古代ギリシアの哲学者。サモス島の生れ。前307年ころ,父の故郷であるアテナイに庭園つきの家をもとめ,そこに学園を創設した。その庭は後に〈エピクロスの花園〉と呼ばれ,彼自身は〈花園の哲学者〉と呼ばれることになる。大著《自然について》は散逸してしまったが,3通の書簡と個条書き風の《主要教説》,その他の断片が現存している。彼はデモクリトスの説を継承して原子論の立場に立った。自然界の事物は原子から構成されている合成物であるが,合成物の表面からは絶えず〈エイドラeidōla〉が流出している。
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日本大百科全書(ニッポニカ)
エピクロス
えぴくろす
Epikouros
(前342/341―前271/270)
古代ギリシアの哲学者。サモス島に生まれる。35歳ごろアテネに学園を開く。その学園は「エピクロスの園」とよばれ、婦女子や奴隷にも門戸を開放した。主著はすべて散逸、わずかに『主要教説』と3通の手紙を残すのみ。若くしてデモクリトスの原子論とその倫理思想を学び、これが彼の思想の基本的骨格を形成する。
エピクロスは、欲望や激情から生ずる惑乱、死の不安、神々の処罰という迷信から人間を解放しようとする。哲学の目的は、この解放によってアタラクシアー(心の平安)を得ることにあり、その基礎をなすものが自然学である。すなわち、真の実在はアトマ(原子)とケノン(空虚)の二つで、前者は不壊(ふえ)の究極的実体、後者は原子が運動する場所である。原子の根源的運動は上から下への落下運動であるが、この際原子にパレンクリシス(不定の彷徨(ほうこう))がおこり、これによって原子相互間の衝突が生起し、世界が生成する。それゆえ、世界にあるすべてのものは、物体も神々も人間の霊魂も、原子の結合物にすぎない。当然、認識も物体の放射する原子とわれわれの魂を構成する原子との接触にほかならない。
したがって、死とは魂をも含めて人間を構成する原子結合体の分解散逸であるから、死と同時にあらゆる認識が消滅する。神々は人間と同質の存在で、人間に関心をもたない。快楽の生とは平安の生であり、これは、過度の欲望や激情から解放されること、公共生活を避け隠れて生きること、パンと水の生活に満足すること、そして友情を尊重することにより、実現されるものであった。
[岩田靖夫]
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精選版 日本国語大辞典
エピクロス
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旺文社世界史事典 三訂版
エピクロス
Epikuros
ヘレニズム時代初期の思想を代表する古代ギリシアの哲学者。エピクロス派の祖
サモス島に生まれ,アテネで学園を開く。哲学を教え,魂の安静を快楽かつ最高善とする個人主義的哲学を主張した。
出典:旺文社世界史事典 三訂版
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