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オウム病【オウムびょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

オウム病
オウムびょう
parrot fever
元来,オウムなど愛玩用鳥類の伝染病だが,ヒトにも感染する。病原体はオウム病クラミジアで,潜伏期は4~10日。高熱,神経障害を起し,肺炎を起しやすい。テトラサイクリンなどの抗生物質を投与する。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵mini

オウム病
オウム病クラミジアと呼ばれる細菌の一種を病原体とし、これを保菌するインコ、オウム、ハトなどの鳥を媒介とする人獣共通感染症。鳥の分泌物、羽毛、乾燥した排泄物などを吸入することによる飛沫感染の他、口移しでの給餌による経口感染咬傷(こうしょう)による経皮感染によって起こる。人から人への感染はまれだが、オウム病に感染した哺乳類との接触で人が感染するケースもある。1~2週間の潜伏期間の後、急な発熱や頭痛、咳、全身倦怠感、食欲不振、筋肉痛、関節痛など風邪やインフルエンザに似た症状が現れ、気管支炎や肺炎を発症する。30歳以上の成人に発症することが多く、高齢者や免疫力が低下している人では重症化することもある。日本では毎年数十人ほどの感染報告があり、高齢者の死亡例も見られる。また、2017年には国内初となる妊婦の死亡例が確認されている。
(2017-4-11)

出典:朝日新聞出版
(C)Asahi Shimbun Publications Inc
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日本大百科全書(ニッポニカ)

オウム病
おうむびょう
もともと鳥類の伝染病であるが、病原体をもつ飼い鳥(インコ、オウム、カナリア、ジュウシマツ、ブンチョウなどの輸入鳥)や野鳥のドバトなどとの接触によってヒトにも感染する。感染症予防・医療法(感染症法)では、4類感染症に分類される。
 病原体はオウム病クラミジアChlamydia psittaciで、汚染された羽毛や分泌物、排泄物(はいせつぶつ)などの吸入や咬傷(こうしょう)によって感染するが、鳥の糞(ふん)が乾燥飛散したときに吸入する場合が多い。潜伏期は7~14日で、発病は急なこともあれば緩慢な場合もある。1~3週間にわたる高熱、食欲不振、頭痛、筋肉痛、咳(せき)、喀痰(かくたん)などが定型的症状であるが、なかには熱と咳が出て感冒程度の軽症ですむ場合も多い。診断はX線検査で肺門部から病変が広がる肺炎像が認められ、鳥類との接触歴があれば、ほぼ決められる。治療にはテトラサイクリン系の抗生物質が著効を示す。重症の場合は循環不全や脳神経症状、肝不全などを伴い死亡することもあるが、化学療法の導入以後の予後は良好で、致命率は1%以下になった。ヒトからヒトへの感染もあるので、有熱期間中は患者を他者から離し、衣類や器具の消毒、とくに痰や糞便の取扱いに注意する。また、愛玩(あいがん)鳥の管理をよくし、餌(えさ)の中に抗生物質を混入することも行われる。[柳下徳雄]

オウム病クラミジア

クラミジア目クラミジア科クラミジア属に属するオウム病の病原体。現在はリケッチア群に含まれている。直径0.2~1.5マイクロメートル、球菌状で、ギムザ染色により染色される。細胞壁があり、RNAとDNAをともに有する。ヨードで染色されない封入体をつくり、サルファ剤に感受性がないのが特徴である。[曽根田正己]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
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内科学 第10版

オウム病(クラミジア感染症)
概念・病因
 オウム病クラミジアC. psittaciによる感染症である.一見健康な飼育鳥やドバトなどの数%が保菌しており,繁殖期のストレスや病鳥では分泌物や排泄物中に大量に菌が排泄される.ヒトは菌体を含んだ乾燥塵埃を吸入することや口移しの給餌などにより感染する.感染症法の四類感染症で全数報告の義務があり,年間30例程度の報告がある.散発例が主であるが家族発症もしばしばあり,鳥展示施設などでの集団発生も報告されている.治療の遅れから重症化し死亡することもあり,注意すべき動物由来感染症である.
臨床症状
 感染後1~2週間の潜伏期間を経て,悪寒を伴う突然の高熱(38℃以上)で発症し,乾性咳や頭痛,比較的徐脈,筋肉痛を示すことが多くインフルエンザに似る.胸部X線像はすりガラス様陰影など間質性の淡い陰影がみられることが多い(非定型肺炎).重症肺炎例で,初期治療が不適切な場合には髄膜炎や多臓器障害,DIC(播種性血管内凝固症),さらにショック症状を呈し,致死的な経過をとることもある.成人例に比べ小児例は症状が軽いことが多い.基本的にヒト-ヒト感染はない.
検査成績
 CRP高値や赤沈亢進などの炎症所見は強いが,通常,白血球増加はみられないことが多い.中等度のAST,ALTの上昇など肝障害を伴う例もあるが,特徴的所見はない.
診断
 まずは鳥との接触歴を詳細に問診することが早期診断のポイントである.一般的には補体結合反応(CF法),蛍光抗体法(micro-IF法)などの血清診断が用いられる.ただしCF法はほかのクラミジア感染でも陽性となり得るため,種特異的なmicro-IF法を用いることが望ましい.特異的検査として咽頭や気道からの菌分離や抗原検出,PCR法による遺伝子検出などがあるが,限られた施設でのみ可能である.分離は要する時間や検出後にさらに解析を要することなどから迅速性に欠ける.
合併症
 肺炎から急性呼吸促迫症候群(ARDS)をきたすことがある.肺外病変として髄膜炎や,心外膜炎,心筋炎,膵炎,関節炎などを合併することもある
治療
 クラミジアに対しては,テトラサイクリン系抗菌薬のほかマクロライド系抗菌薬,ニューキノロン系抗菌薬が有効である.β-ラクタム系抗菌薬やアミノグリコシド系抗菌薬は無効である.肺炎が進行する例や劇症例では全身管理,呼吸管理,ステロイド投与などを必要に応じて行う.幼児や妊婦では原則マクロライド系抗菌薬を第一選択とする.投与期間は,2週間程度とすることが望ましい. 予防は飼育鳥の健康管理と,口移しの給餌をしないこと,世話をする際に埃を吸わないようにし,手洗いを励行することが重要である.[安藤秀二]

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

オウム病
オウムびょう
Psittacosis
(呼吸器の病気)

どんな病気か

 オウム病は、クラミジア・シッタシという微生物を保菌している鳥からヒトに感染を来す人獣共通感染症で、肺炎を主体とする急性感染症です。

 年齢分布は9~90歳(中央値53歳)と幅広い年齢層にみられますが、30歳未満での発症は少ないと報告されています。発症日を月別にみると、鳥類の繁殖期である4~6月に多いほか、1~3月もやや多いとされています。

 肺炎に占めるオウム病の頻度は、世界的にもあまり高いものではなく、日本でも1~2%程度です。オウム病の多くは散発例で、これまで集団発生は極めてまれであるとされていました。しかし、日本では2001年以降、相次いで動物展示施設で集団発生が確認されています。

どのように感染し発症するか

 推定感染源としてはインコに関連したものが最も多く、次いでハト、オウムに関連したものです。鳥では保菌していても、ほとんどは外見上健常にみえます。弱った時や、ヒナを育てる期間などでストレスが加わった時、他の感染症を合併した時などには、不定期に便中に菌を排泄しヒトへの感染源となります。

 感染経路は、罹患鳥の分泌物や乾燥した排泄物、羽毛などを介して経気道的に吸入したり、口移しで餌を与えたりする際の経口感染によって起こります。吸入された菌は、宿主細胞に取り込まれて細胞内で増殖し、下気道へ浸潤するか、血液を介して肺胞や肝臓・脾臓(ひぞう)など全身臓器に広がります(図14)。

症状の現れ方

 オウム病の症状は、軽症のインフルエンザ様症状(悪寒を伴う高熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感など)から多臓器障害を伴う劇症型まで多彩です。初発症状として、38℃以上の発熱および咳嗽(がいそう)(せき))はほぼ必発で、頭痛も約半数に認められます。時に血痰(けったん)や胸痛を伴うこともあります。

 重症例では、呼吸困難感(チアノーゼ)や意識障害を来し、さらに血液を介して多臓器へも炎症が及び、髄膜炎(ずいまくえん)や心外膜炎、心筋炎、関節炎、膵炎(すいえん)などの合併症を引き起こすこともあります。

検査と診断

 感染症発生動向調査では、報告の基準を①病原体の分離、②病原体の遺伝子の検出、③病原体に対する抗体の検出、としています。しかしこのなかで、唯一普及しているのが、③の補体結合反応による血清抗体価測定です。

治療の方法

 クラミジア感染症の治療は、後述のクラミジア・ニューモニエ肺炎クラミジア・トラコマチス肺炎と同じですので、クラミジア・トラコマチス肺炎を参照してください。

医者に相談するポイント

 鳥との接触歴をもつ人や鳥の飼育者に咳や発熱が出現した場合はオウム病が疑われるので、そのことを受診先の医師に伝えることが最も重要なポイントです。飼育鳥が死んでいる場合は、とくに疑いが濃くなるので、必ず伝えてください。

 一方、鳥類はクラミジアを保有している状態が自然であり、菌を排出していても必ずしも感染源とはならないことを理解する必要もあります。むやみに感染鳥を危険視すべきではなく、鳥との接触や飼育方法に注意を払うことが重要です。

宮下 修行

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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オウム病
オウムびょう
Psittacosis
(感染症)

どんな感染症か

 オウム病は、鳥がもっている細菌、オウム病クラミジアによる感染症です。一見健康な鳥でも数%は保菌していて、ストレスや病気で体調を崩すと、糞便や唾液中に菌を排出し感染源となります。排泄したクラミジアをほこりとともに吸入したり、口移しの餌やりで感染することもあります。ヒトからヒトに感染することはほとんどありません。年間40例程度の報告があります。

症状の現れ方

 感染後1~2週間の潜伏期ののち、突然の高熱(39℃以上)や(せき)で発症します。インフルエンザ様の症状や気管支炎肺炎などの呼吸器症状や、頭痛、全身倦怠感(けんたいかん)、筋肉痛、関節痛、比較的徐脈(じょみゃく)などがみられます。治療が遅れると、髄膜炎(ずいまくえん)、多臓器障害、ショック症状を起こして死亡することもあります。

検査と診断

 白血球数は正常で、肝機能障害などを示すことが多く、特異的検査としてのどから病原体を検出したり、血清抗体価の上昇を認めた場合に、オウム病と確定診断されます。早期診断に結びつくポイントとして、鳥を飼っている人は、発熱、咳で受診した時には、医師に鳥の飼育のことを申告することが重要です。

治療・予防の方法

 クラミジアに有効な抗菌薬で早期に治療をすれば経過は良好ですが、重症肺炎や合併症のある場合は入院して全身管理をします。予防は日常の鳥の健康管理と、鳥かごの掃除をする時にほこりを吸い込まないように気をつけて、掃除のあとは手洗いをします。

病気に気づいたらどうする

 治療の遅れは合併症・続発症を引き起こすため、ただちに受診します。必ず医師に鳥の飼育のことを申告します。病鳥は獣医師に相談すれば治療可能なので、放したり処分しないようにします。

岸本 寿男

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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