●オキナグサ
世界大百科事典 第2版
オキナグサ【Pulsatilla cernua (Thunb.) Spreng.】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
オキナグサ
おきなぐさ / 翁草
[学] Pulsatilla cernua (Thunb.) Bercht. et J.Presl
キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の多年草。春に葉が出ると同時に花茎を伸ばし、花期に約10センチメートルとなり、花期後に30~40センチメートルとなる。葉は根際につき、葉柄があり2回羽状複葉で、小葉はさらに深く裂け、裂片はくさび形で線形。全体が白毛に覆われる。花弁はなく、萼片(がくへん)6枚が花弁状になり、暗紫色で表面は白毛に覆われ、下向き鐘形の花を普通は1個頂生する。果実は長卵形の痩果(そうか)で、花柄の先に集まってつき、柱頭が羽毛状に成長し白髪状となり、名はこれに由来する。オキナグサの名は『本草和名(ほんぞうわみょう)』や『和名抄(わみょうしょう)』にもみられ、根は白頭翁と称し、古くから薬用とされた。薬用種は本来中国原産のヒロハオキナグサで、朝鮮産のものも同様に用いられる。山野の明るい草地などに生育し、北半球に約30種分布し、山草として鉢植えやロック・ガーデン用とする。繁殖は秋に株分けによるが、実生(みしょう)も可能で新鮮な種子を用いる。
ヨーロッパに広く分布するセイヨウオキナグサは白、赤、藍(あい)、赤紫色と花色は豊富で、花茎は15~30センチメートルとなり、花期後の花柱は日本のオキナグサ同様白髪状となる。
[冨樫 誠 2020年3月18日]
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