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オゾンホール

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

オゾンホール
ozone hole
南極上空の成層圏オゾン濃度が 9月から 11月にかけて異常に減少する現象。1982年日本の第23次南極越冬隊による昭和基地での観測において,10月頃に上空のオゾン濃度が異常に低いことが発見され,また 1985年にはイギリスのジョゼフ・チャールズ・ファーマンらが 1970年代後半から毎年 10月になるとオゾン全量が減少していることを発表した。その後,アメリカ合衆国の人工衛星ニンバス』7号によるオゾン観測でも同様の現象が検出され,南極上空にオゾンのが開いたような状態から,「オゾンホール」と呼ばれるようになった。フロンなどが大気中へ放出されることが主原因とみられている。南極上空で春季にオゾンホールができるのは,冬季の南極で形成される反時計回りの渦(極渦)によって大気が周囲から孤立して原因物質が蓄積されていき,春になって太陽光があたるようになると急激にオゾンが破壊されるため,と考えられている。(→オゾン層の破壊

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

オゾン‐ホール(ozone hole)
オゾン層の濃度が、南極大陸北極圏の上空で春(南極は9~10月、北極は3~4月)に急激に下がり、穴があいたようになる現象。また、その部分。オゾン分子を破壊することによって起こり、地球温暖化をもたらし、皮膚癌(ひふがん)を引き起こす。原因は、大気中に放出されたフロンガスが有力とされる。
[補説]オゾンホールは1980年代に南極大陸の上空で初めて確認された。北極は、海陸の分布が複雑なため成層圏の気温が南極よりも高く、オゾン層の破壊に密接にかかわる極成層圏雲が発達しにくいことから、大規模なオゾンホールは観察されなかったが、2011年、北極圏上空でも南極に匹敵する規模のオゾンホールの存在が確認された。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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日本大百科全書(ニッポニカ)

オゾンホール
おぞんほーる
ozone hole

南極上空でオゾン層のオゾンが急速に減少している場所。オゾン層は地上10~50キロメートルの成層圏にあるオゾン濃度の比較的高い層で、地上生物を太陽の紫外線から保護している。この成層圏の大気中に含まれるオゾン総量のみに着目すれば、南極上空で春先9月から10月にかけてオゾン総量の急激な減少がおこり、ぽっかり穴があいたようにオゾンの少ない領域が出現している。この領域をオゾンホールとよんでいる。

 この南極のオゾンホールの現象は、1982年(昭和57)昭和基地で南極観測中に初めて発見されたものである。南極の春先の成層圏オゾン量が前年の春に比べて急減していることが観測されたが、その後、南極各地の観測で上述の事実が確認され、最終的には1985年アメリカの気象衛星ニンバス7号により、春先の成層圏におけるオゾンの急激な減少は、南極全域にわたる現象であることが確認された。

 オゾンホールの原因として、南極の春先に成層圏の気温が零下90℃近くまで下がり、そこに極成層圏雲(おもに氷の微粒子などからなる雲、PSCという)が発生し、その表面でフロンから分離した塩素によってオゾン破壊が促進されるものと考えられている。また、近年北極上空の冬にも、オゾン濃度の減少が観測され、注目を浴びている。1990年代になると、年とともに南極の春のオゾンホールの面積は拡大し、1998年9月上旬から10月にかけての衛星観測では7年連続して大規模なオゾンホール(北アメリカ大陸ほどの大きさ)が観測されている。1999年10月にも同じような大規模オゾンホールが観測されたが、1998年に比べ大きさは少しばかり減少した。これは南極上空の気温が前年に比べ相対的に高く、そのためオゾン層の破壊が少なくなったためと考えられている。年によるオゾンホールの大きさの変動については、南極上空(高度15~20キロメートル)の気温が相対的に低いときには大きくなり、高いときには小さくなる傾向があることがわかってきた。

 オゾン層が破壊されると、地球上に注がれる紫外線の量が増加し、地球環境に深刻な影響を与える。オゾン層は生物を紫外線から保護しているため、オゾンホールの拡大は、皮膚がんの増加、農作物、気候などへの影響が考えられる。

[岸保勘三郎]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

オゾン‐ホール
〘名〙 (ozone hole) オゾン層の濃度が、南極大陸の上空で毎年九~一〇月に急激に下がり、穴のあいているようになる現象。また、その部分。

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

オゾンホール
オゾンホール
ozone hole

成層圏中に存在するオゾン層の南・北極付近に,季節的に出現するオゾン濃度のいちじるしく低い領域をいう.23次南極観測隊(1983年)が,南極の春に昭和基地上空で急激な濃度減少を観測して,はじめて明らかになった.最近は北極でも観測されている.オゾン濃度はドブソン単位(Dobson unit,DU)で表されるが,220 DU 以下がホールと定義されている.オゾン層は,成層圏中に紫外線のはたらきで,

O2hν → O + O,O + O2 → O3

の反応でつくられる.1960年以前は南極で月平均300 DU 以上(10月)あったオゾン濃度が,1970年ごろからいちじるしく減少しはじめ,1990年代半ばから100 DU 近くまで低下している.2006年9月9日~10月13日の平均オゾンホール面積は26百万km2(平均最低オゾン濃度100 DU)に達し,過去最悪の1998年と同じ数値であった.南極点直上の平均オゾン濃度は2006年10月9日に93 DU であったが,高度13~22 km の範囲では1.2 DU でほとんど完全に消滅している.1日の最低値は1994年9月28日の88 DU.原因はCFC(フロン,クロロフルオロカーボン),臭素含有炭化水素などからの塩素,臭素原子を触媒とする反応でオゾンが破壊されるためである.この反応過程を最初に指摘したのはカリフォルニア大学F.S. Rowland(ローランド)教授(1974年)で,この業績によって1995年ノーベル化学賞を受賞している.

      2ClO + M → Cl2O2 + M

      Cl2O2hν → Cl + ClO2

      ClO2 + M → Cl + O2 + M

      2Cl + 2O3 → 2ClO + 2O2

      全体として2O3 → 3O2

暗黒,極寒の冬季に発生する極成層圏雲の微小氷片上に吸着されたHCl,ClONO2が,春季に紫外線によってCl,ClOを発生してオゾン分解連鎖反応を引き起こし,夏季になるとより高いオゾン濃度の大気が流入するため,オゾンホールは春季にのみ出現する.大気中に含まれるオゾン全量の推定は,地表に到達する太陽光の分光分析により行われる.NASAは,1978年から衛星Nimbus-7,現在は,Earth Probe搭載の分光光度計TOMS(Total Ozone Mapping Spectrometer)で太陽光紫外部バンドの後方散乱からオゾン濃度変化を監視している.宇宙開発事業団(宇宙航空研究開発機構)は,1996年の地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」の観測を引き継いで,環境観測技術衛星「みどりⅡ(ADEOS-Ⅱ)」(2002年末打ち上げ)搭載の大気周縁赤外分光計Ⅱ型(ILAS-Ⅱ)により,太陽光(赤外・可視部)吸収スペクトル分析によりオゾン濃度を追跡している.オゾンは,地上に到達する太陽光のもっとも短波長のUV-B領域(290~315 nm)をカットするが,UV-BはDNAにも吸収されるため,オゾン濃度の低下は生物に対する損傷作用の増大をもたらすおそれがある.オゾン層破壊の国際的な対策の第一歩は,1985年3月の「オゾン層の保護に関するウィーン条約」の制定で,ついで具体的な規制を盛り込んだ「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が1987年9月に採択された.これによって,CFC,ハロン,四塩化炭素などの主要なオゾン層破壊物質の生産は,先進国では1995年末をもって全廃されている.その後,オゾン層破壊の悪化から数回の規制措置の強化がはかられた.国内でも,モントリオール議定書を受けて1988年5月に「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」(オゾン層保護法)が制定され,主要破壊物質の規制のほかに,臭化メチルは2004年末,HCFC(hydrochlorofluorocarbon)は2019年末をもって,生産および輸入が全廃される.過去に生産された家電製品に使用されているCFCなどについては,2001年6月に「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」(フロン回収破壊法)が制定され,2002年以降,業務用冷蔵・冷凍・空調機器とカーエアコンについては,廃棄時のフロン類回収・破壊などが義務づけられた.フロン類の回収率がいまだに低い水準にとどまっているため,回収率向上を目標とする改正フロン回収・破壊法が平成19年10月1日から施行されている.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
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東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
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