●カタコンベ
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
カタコンベ
catacumbae; catacombs
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世界大百科事典 第2版
カタコンベ【catacombae[ラテン]】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
カタコンベ
かたこんべ
catacumba ラテン語
古代キリスト教徒の地下墓所。ギリシア語カタキュムバス(「窪地(くぼち)の傍ら」の意)に由来。ローマにある窪地の古い地名であったが、そこに建てられた聖セバスチャン教会の地下墓所の名前となり、さらに、これと同様な古代のキリスト教徒の地下墓所をもさすようになった。初めは家族墓所だけであったが、3世紀以前に信者共同の墓所も設けられたようである。しかし地下に墓所をつくる慣習はユダヤ教その他の宗教においても行われていた。カタコンベはナポリ、シチリア、北アフリカ、小アジアなど古代ローマ世界の諸所に広がっている。なかでもローマではもっとも大規模なカタコンベが発見された。市内での埋葬は法律で禁じられていたので、カタコンベは郊外に(多くの場合、広い道路に沿って)つくられている。ローマで発見された最古のカタコンベは1世紀にさかのぼる。加工が容易で耐久性の強い火山灰の地質がカタコンベに適していたからであろう。幅約1メートル、高さ2~3メートルの通廊(つうろう)の壁に、長方形あるいは上部が半円形の壁龕(へきがん)をつくり、そこに遺体を安置し、れんがまたは大理石板でふさぎ、石灰で密閉する。そこには死者の名前、年齢、死亡の日などのほかに、ときには象徴的な絵や祝福のことばが刻まれている。通廊の所々に壁龕のついた四角な墓室が設けられ、儀式や会食にも使われた。壁沿いに石造りの腰掛が置かれ、墓室や通廊には採光、通風のために縦穴(たてあな)もあけられている。大きなカタコンベは通廊が縦横に網の目のように走り、5層からなるものもある。迫害されていたキリスト教徒がカタコンベを礼拝の場として用いたということは、事実ではないらしい。しかしカタコンベでは死者、とくに殉教者を記念する礼拝が行われた。4世紀には殉教者への崇敬が高まるにつれ、その墓に記念碑的墓銘(ぼめい)を取り付けたり、通廊を広げるなどして、カタコンベの改修がなされた。5世紀中葉からカタコンベへの埋葬は行われなくなり、8世紀には殉教者の遺骸(いがい)は都市の教会に移された。それ以後カタコンベはほとんど忘れられてしまったが、16世紀に至り発掘と研究が開始された。その壁画は、初期のころは古代神話の形姿や田園風景などを題材としているが(4世紀になると聖書の場面が数多く描かれる)、そこには、羊や魚をもってキリストを表すような、キリスト教的象徴がみられる。初期キリスト教美術を示すものとしても興味深い。
[川島貞雄]
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精選版 日本国語大辞典
カタコンベ
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旺文社世界史事典 三訂版
カタコンベ
catacombae (ラテン)
ローマ時代,役人も墓所には立ち入らなかったので,キリスト教徒はここで礼拝を行っていた。一連の狭い地下回廊と墓室よりなり,その天井画や壁画(魚はキリストの象徴)は,初期のキリスト教美術として重要である。イタリア各地をはじめ,アレクサンドリアにもあるが,ローマ市付近のものが最大で,回廊の延長が500㎞を越える。キリスト教の公認後は巡礼所となった。
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デジタル大辞泉
カタコンベ(〈フランス〉catacombes)
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