●カタバチック風【カタバチックカゼ】
デジタル大辞泉
カタバチック‐かぜ【カタバチック風】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
カタバチック風
かたばちっくかぜ
斜面を吹き降りてくる風。カタバチックkatabaticの語は、ギリシア語で下降を意味するカタkataと、越えて動いていく意味のバトスbatosからなり、斜面下降風と訳される。斜面上昇風anabatic windとは反対の風系である。斜面下降風が温暖なとき、これを一般にフェーンとよぶ。反対に寒冷なときは「おろし」またはボラなどとよばれているが、学術上の術語としては重力風という。カタバチック風のうち、もっとも簡単で小規模のものは、夜間に山腹を吹き降りてくる山風である。
大規模なカタバチック風はボラのほか、ノルウェーの峡谷(フィヨルド)、グリーンランドおよび南極大陸の周辺部などに現れる。南極大陸沿岸部の東アデリー・ランドは世界でもっとも風の強い所であるが、その風は氷壁を吹き下ってくるカタバチック風である。1951年の観測によると、平均風速が毎秒33メートルに達した日数は1年で122日、14メートル以下の日はわずかに22日、その年の3月22日から23日にかけての平均風速は毎秒48メートルで、この3月の平均風速は29メートル、この年の年平均風速は18メートルに達した。
[根本順吉]
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