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カドミウム

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

カドミウム
cadmium
元素記号 Cd ,原子番号 48,原子量 112.411。周期表 12族,亜鉛族元素の1つ。2価の陽イオンをつくる。 1817年 F.シュトローマイヤーにより発見された。天然にはカドミウム 114のほか7つの同位体が存在する。親銅元素であるが,単独に鉱床をつくることなく,硫化亜鉛鉱物に付随し,亜鉛精錬の副産物として得られる。単体銀白色青みがかった金属で,軟らかくナイフで容易に切れる。棒,板,線あるいは粒状で市販される。比重 8.65,融点 321℃。希硝酸,熱塩酸と反応して溶ける。冷たい硫酸にはほとんど侵されない。硫化水素あるいは硫化ナトリウムにより黄色の硫化物沈殿を生じる。易融合金の成分で,リヒテンベルグ合金,ニュートン合金,アーベル合金,ウッド合金などをつくる。カドミウムメッキ,カドミウム蒸気ランプの電極,光電セル,ニッケル-カドミウム蓄電池,黄,赤の顔料などに使われる。人体には有害で,経口的に摂取されると腎臓などに蓄積して骨の脱カルシウム化 (骨粗しょう症,骨軟化症) を起したり,肺気腫,肝障害を起すとされる。イタイイタイ病の原因と確認されたのち,全国各地で汚染地が発見され,有害物質としてきびしい排出基準が定められたが,いったん汚染された場所の回復は困難である。 1980年には,要観察地域として宮城県鉛川,二迫川流域など7ヵ所があり,健康調査が実施された。排水処理法としてイオン浮選法,水酸化物凝集沈殿法などがあり,排出基準は,大気で 1.0mg/Nm3 ,水質で 0.1 mg/l ,環境基準は水質で 0.01 mg/l

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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朝日新聞掲載「キーワード」

カドミウム
自然界にごく微量存在する重金属で、大半は亜鉛鉱石などとともに産出される。ニッケル・カドミウム(ニッカド)電池の電極や、はんだ、顔料、合金、半導体の原料などに使われる。日本は世界有数の輸入・生産国で07年は輸入約1500トン、生産量約2千トン。鉱石の製錬過程で出た廃水や降灰土壌汚染の原因と指摘され、高濃度に含む食品を長期間食べ続けると、腎臓の機能障害を起こす。カルシウムやたんぱく質が尿から排出され、悪化すると骨がもろくなり、イタイイタイ病の原因となる。
(2010-03-05 朝日新聞 朝刊 1総合)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

カドミウム(cadmium)
亜鉛元素の一。単体は青みを帯びた銀白色の軟らかい金属。亜鉛鉱物中に少量含まれて産出。塩(えん)および蒸気は有毒易融合金・めっきに用い、また中性子をよく吸収するので原子炉の制御材に利用。元素記号Cd 原子番号48。原子量112.4。

出典:小学館
監修:松村明
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編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

カドミウム
 原子番号48,原子量112.411,元素記号Cd,12族(旧IIb族)の元素.遷移元素に属し,急性毒性が強い.イタイイタイ病の原因物質とされる.近年この元素による食品汚染が再び問題になっている.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

カドミウム【cadmium】
周期表元素記号=Cd 原子番号=48原子量=112.41地殻中の存在度=0.2ppm(62位)安定核種存在比 106Cd=1.22%,108Cd=0.88%,110Cd=12.39%,111Cd=12.75%,112Cd=24.07%,113Cd=12.26%,114Cd=28.86%,116Cd=7.58%融点=321.11℃ 沸点=765℃比重=8.642電子配置=[Kr]4d105s2 おもな酸化数=II周期表第IIB族に属する亜鉛と同族金属元素

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

カドミウム
かどみうむ
cadmium

周期表第12族(亜鉛族元素)に属する元素。1817年ドイツのシュトロマイヤーによって発見された。当時の医薬品である炭酸亜鉛を熱して亜鉛華をつくっているとき、本来無色であるはずの亜鉛華が黄色を呈することから、不純物として含まれていたカドミウムを発見した。このため亜鉛華のギリシア語名kadmeiaからカドミウムと命名された。

[中原勝儼]

存在と製法

天然にはほとんど亜鉛に伴って産し、カドミウム単独の鉱物はきわめてまれである。主として亜鉛製錬の際の副産物として得られる。電解法による亜鉛製錬での沈殿物は、亜鉛のほかにかなりの量の銅を含んでいる。これを硫酸に溶かし、亜鉛を加えて銅を除き、ついで電解してカドミウムを取り出す。また蒸留法による亜鉛製錬での煙灰を酸化焙焼(ばいしょう)し、硫酸に溶かし電解によってカドミウムを取り出す。精製には減圧蒸留する。

[中原勝儼]

性質

青みを帯びた銀白色、光沢のある金属。軟らかく、ナイフで容易に削れる。延性、展性に富み、加工しやすい。水銀とはアマルガムをつくりやすい(100グラムの水銀に18℃で5.17グラム溶ける)。空気中に放置すると表面が酸化されるが、これが保護膜となり内部は侵されない。空気中で強熱すれば赤色の炎と褐色の煙を出して燃えて酸化物CdOとなる。熱すればハロゲンともよく反応するが、水素、窒素、炭素などとは直接反応しない。希硝酸には容易に、熱塩酸には徐々に溶ける。冷硫酸にはほとんど侵されないが、熱硫酸には溶ける。亜鉛と違ってアルカリ水溶液に溶けない。

[中原勝儼]

用途

仕上げ面がきれいで、耐食性がよいので、通信機材料その他のめっきに用いられる。ビスマスに添加して低融点合金、銀、ニッケル、銅などとともに軸受合金に、また、はんだや歯科用アマルガムに用いられる。硫化物はブラウン管の発光体として、また硫化物、ヒ化物などは種々の顔料として用いられる。

[中原勝儼]

注意点

カドミウム化合物やカドミウム蒸気は有毒であるから吸入しないようにしなければならない。しかも微量ずつでも体内に蓄積するので注意しなければならない。富山県神通(じんづう)川流域および群馬県安中(あんなか)市でのイタイイタイ病は、亜鉛製錬工場などから排出されたカドミウムの汚染によって生じたものとされている。

[中原勝儼]

『畑明郎著『イタイイタイ病――発生源対策22年のあゆみ』(1994・実教出版)』『総合食品安全事典編集委員会編『食品汚染性有害物事典』(1998・産業調査会、産調出版発売)』『浅見輝男著『データで示す 日本土壌の有害金属汚染』改訂増補版(2010・アグネ技術センター)』『桜井弘編『元素111の新知識――引いて重宝、読んでおもしろい』(講談社・ブルーバックス)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

カドミウム
〘名〙 (cadmium) 亜鉛族元素の一つ。記号 Cd 原子番号四八。原子量一一二・四一。青みを帯びた銀白色の六方晶系結晶。有毒。メッキ材料、可融合金などに用いられる。〔薬品名彙(1873)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

カドミウム
カドミウム
cadmium

Cd.原子番号48の元素.電子配置[Kr]4d105s2の周期表12族典型元素.原子量112.411(8).質量数106(1.25%),108(0.89%),110(12.49%),111(12.80%),112(24.13%),113(12.22%),114(28.73%),116(7.49%)の8種の安定同位体と,95~131に及ぶ多数の放射性同位体が知られている.19世紀初頭,酸化亜鉛鉱は薬剤として用いられていたが,医薬品検査官を兼ねていたゲッチンゲン大学教授のFriedrich Stromeyerが,検査目的でもち込まれた試料を分析して新元素として確認し,1817年に亜鉛鉱物calamineのラテン名cadmiaにちなんでcadmiumと命名した.cadmiaはギリシアの地名καδμεια[kadmeia]に由来する.宇田川榕菴は天保8年(1837年)に出版した「舎密開宗」で,これを音訳して嘉度密烏母(カドミウム)としている.
地殻中の存在度0.098 ppm.亜鉛鉱物,石炭中などに微量含まれる.カドミウムとしての埋蔵量は中国,アメリカ,カナダ,カザフスタンの順であるが,2006年の産出量は中国(4500 t),韓国(2800 t),日本(2400 t)となっている.主原料は,せん亜鉛鉱を原料とする亜鉛精錬の際の亜鉛電解液滓で,硫酸で処理して硫酸カドミウムに変換後,電解採取して蒸留で精製する.青味を帯びた銀白色の金属.六方晶系.構造は六方最密格子.密度8.65 g cm-3(25 ℃).融点320.9 ℃,沸点765 ℃.蒸気密度の測定から,気体では一原子分子.展延性に富む.定圧モル熱容量26.04 J K-1 mol-1(25 ℃).線膨張率//c軸0.526×10-4 K-1.⊥c軸0.214×10-4 K-1(20~100 ℃).熱伝導率96.8 W m-1 K-1(27 ℃).融解熱6.11 kJ mol-1(321 ℃).蒸発熱99.8 kJ mol-1(767 ℃).電気抵抗率6.83×10-6 Ω cm(0 ℃).標準電極電位(Cd2+/Cd)-0.403 V.第一イオン化エネルギー867.6 kJ mol-1(8.993 eV).酸化数2.水銀とアマルガムをつくりやすい.空気中で表面に酸化皮膜を生じ内部は侵されない.加熱すると赤色の炎と褐色の煙を生じ酸化物となる.水素,炭素,窒素とは直接反応しない.ハロゲンとは高温で反応する.希硝酸とは容易に,熱塩酸には徐々に溶ける.
鉄鋼などの腐食を防ぐためのめっき材料として,すぐれた性質をもっている.低融点,摩擦係数の低さなど,特色ある物理化学的性質のため多方面の用途があるが,環境面の問題から使用量は減少しつつある.亜鉛製錬の副産物であるため,亜鉛の生産量が増加するとカドミウム生産量も増加する傾向にある.ニッケル-カドミウム電池用が世界的におもな用途であったが,ニッケル-水素電池リチウムイオン電池に代替が進みつつある.合金として低融点はんだ,ヒューズ,ベアリング用にも使用されている.原子炉制御棒としても用いられる.硫化物の顔料としての使用は厳しく制限されつつある.EU(欧州連合)が2006年7月1日に施行した有害物質規制RoHS指令によれば,EU内で販売される電気電子機器には,カドミウムの含有は,電気接点,カドミウムめっきなど一部の例外を除いて許されない.ただし,電池にはマーク付けと回収を義務づける電池指令が優先される.毒性が強く,腎臓障害(尿細管機能異常)を起こす.イタイイタイ病は重いカドミウム中毒で,高濃度のカドミウムを長年にわたって摂取した場合に起こる.食品衛生法にもとづく規格基準として,「玄米は,カドミウムを1.0 ppm(1 kg の玄米中に1.0 mg のカドミウム量)以上含んではならない」と定められている.PRTR法・特定第一種指定化学物質として,発がんクラス1(ヒトに対する発がん性あり),経口クラス2(水質基準値0.01 mg L-1 以下),吸入クラス1(大気基準0.001 mg m-3 以下),作業環境クラス1(気体0.1 mg m-3 以下,粒子状物質0.01 mg m-3 以下)の指定を受けている.さらに,水質関係法令では,人の健康にかかわる環境基準0.01 mg L-1 以下,水道水質基準0.01 mg L-1 以下,排水基準0.1 mg L-1 以下などの厳しい基準が定められている.[CAS 7440-43-9]

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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