●カラシナ
栄養・生化学辞典
カラシナ
出典:朝倉書店
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食の医学館
カラシナ
《栄養と働き&調理のポイント》
アブラナ科の2年草で、春先に花茎をだして、黄色い花をつけます。花の形状はアブラナによく似ていますが、大きさはやや小さめです。葉にも種子にも辛み成分があるのが、この名の由来です。古くから中央アジアで食用とされ、わが国へは中国から伝えられたといわれています。
関西では「タカナ」と呼ぶことも多いようですが、野菜の分類では小型から中型のものをカラシナ類、中型から大型のものをタカナ類と呼んでいます。「ザーサイ」も種類は同じで、肥大した茎を漬けものにしたものがよく知られています。
○栄養成分としての働き
ピリッとした辛みは、シニグリンが分解してできるアリルイソチオシアネートという成分によるものです。シニグリンは消化を促進し、胃酸の過度な分泌(ぶんぴつ)を抑制するので、食欲増進、胃弱・消化不良や胃もたれの解消、胃潰瘍(いかいよう)予防に役立ちます。
また、がん予防の効果が期待できるカロテン、ビタミンC、Eを含み、鉄分、カルシウムといったミネラル類も豊富。貧血改善や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予防に適した食品です。
茎や葉はおもに漬けもの、煮もの、おひたしに利用され、種子は調味料や防腐剤に使われます。胃腸の調子が悪いときは、刺激を抑えるために量は少なめに。
出典:小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)
カラシナ
からしな / 芥菜
brown mustard
[学] Brassica juncea Czern.
アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の一、二年草。中央アジアから中国にかけての地域の原産。アブラナやツケナ類に近縁であるが、葉の基部は茎を抱かない点が特徴。春に1~2メートルにとう立ちして、やや小形の濃黄色の十字花を開く。種子は黄色で球形、表皮にごく細かい網状の模様があり、表皮が平滑なアブラナと区別できる。栽培種としては、種子からからしをつくり、春先のとう立ちを食べるカラシナと、葉が大きく葉柄が多肉質で、漬物や煮物にするタカナがあり、分類学上は同一の種であるが、葉柄が多肉質かどうか、また、味や用途によって農業上は分けて扱われる。
中国における栽培は古く、『礼記(らいき)』に記録がある。日本では、古くは、カラシナとタカナに対する和名と中国名との対照がかならずしも統一されていなかったが、平安時代の『本草和名(ほんぞうわみょう)』には菘という字でタカナが記載されている。9月ごろから種子を播(ま)き、11月ごろから葉を利用する。開花は4月で、種子の収穫は6月になる。
[星川清親 2020年11月13日]
食品
種子の粉末を香辛料とし、カレー粉やからし漬けなどに使う。カラシナの種子を粉にしたのが和からし粉である。葉には特有の香りと辛味があり、漬物や煮物にされる。とう立ちして、つぼみのついたころの塩漬けは美味である。なまの茎葉100グラム中には、カロチン2300マイクログラム、ビタミンC70ミリグラムを含み、鉄は1.7ミリグラムと菜類としては多いほうである。
[星川清親 2020年11月13日]
薬用
種子は直径1~1.5ミリメートルで、カラシまたは芥子(かいし)と称し、香辛料のほか薬用ともする。種子は配糖体シニグリンを含んでいるので、粉末にして温水を加えてこねると、酵素ミロシナーゼの作用で分解して特有の香りと辛味を生ずる。かつては皮膚引赤(いんせき)薬として泥状のものを皮膚に塗り、気管支炎、肺炎、神経痛などの治療に用いたこともある。欧米では、クロガラシBrassica nigra Koch、シロガラシSinapis alba L.(Brassica hirta Moench)の種子を同様に用いる。
[長沢元夫 2020年11月13日]
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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