●ギラン・バレー症候群【ぎらんばれーしょうこうぐん】
知恵蔵
ギラン・バレー症候群
年間で人口10万人に1~2人がかかるとされている難病で、国が難病対策の対象として指定する特定疾患130疾患のうちの1つ。ただし、医療費助成対象の45疾患には含まれていない(2009年8月1日現在)。
手足に力が入らないという症状以外に、手足のしびれを訴えることも多い。その他、顔面の筋肉や眼球を動かす筋肉の麻痺、ろれつが回らない、食事が飲み込みにくいなどの症状がみられることもある。症状のピークには、自律神経が障害されたり、呼吸筋が麻痺し、呼吸困難に陥ることもある。発症から1カ月以内にピークとなり、その後は徐々に回復し半年から1年でほぼ完治するとされているが、約2割で何らかの後遺症が残り、死亡例も約5%の割合で報告されている。免疫グロブリン静注療法、血液浄化療法等による入院治療がとられる他、ピーク時には、人工呼吸器が必要になる場合もある。また、回復期にはリハビリテーションが行われる。
09年8月に亡くなった女優の大原麗子さんが、長年、ギラン・バレー症候群を患い闘病生活を送っていたことが報道された他、女優の釈由美子さん、俳優の力也(安岡)さん、一説によると劇画の主人公であるゴルゴ13(デューク東郷)も同疾患を患っていたとされている。
(小林千佳子 フリーライター / 2009年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
六訂版 家庭医学大全科
ギラン・バレー症候群
ギラン・バレーしょうこうぐん
Guillain-Barré syndrome
(子どもの病気)
どんな病気か
フランスのギランとバレーらが1916年に報告したもので、かぜや下痢の前駆症状があったあとに両側の足の軽い知覚障害から運動麻痺へ進行し、
原因は何か
細菌やウイルスの感染によって末梢神経の
症状の現れ方
感染症状が出た約10日後に両側の足の知覚障害(痛みやしびれ)が現れ、まもなく運動麻痺(筋力低下)を来します。この範囲は足からももへと上行し、時に胴体へ及ぶと呼吸筋が麻痺し、脳神経へ達すると発音、
検査と診断
症状と髄液検査(蛋白増加、細胞数正常)で診断します。神経伝導速度の測定も診断や予後の判定に役立ちます。
治療の方法
入院が必要です。免疫グロブリン療法や血漿交換療法は病気の期間を短縮し、後遺症を軽くするのに有効です。呼吸筋麻痺がある時は人工呼吸器を使用します。
病気の進行は4週以内に止まり、運動麻痺は進行の方向とは逆向きで改善し始め、3~6カ月以内に大部分が回復します。
病気に気づいたらどうする
足の痛みやしびれを訴える時は、小児科を受診してください。
千田 勝一
出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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ギラン・バレー症候群
ギラン・バレーしょうこうぐん
Guillain-Barré syndrome
(脳・神経・筋の病気)
どんな病気か
急速に発症する左右対称性の四肢筋力の低下と
原因は何か
発症の1~3週間前に
神経細胞には
症状の現れ方
感冒症状や下痢のあと1~3週間して比較的急速に四肢の筋力低下が現れますが、通常は2~4週間目でピークに達し、進行は停止します。進行停止後は徐々に快方に向かい、3~6カ月でほぼ完全に治りますが、10~20%の患者さんでは後遺症を残します。運動障害に比べて、感覚障害は軽いのが特徴です。
顔面の筋力低下も約50%の患者さんでみられます。舌や嚥下筋の支配神経に障害が出て、しゃべりにくい、飲み込みにくいなどの症状が現れることや、
症状の回復が不良な患者さんとしては、①年齢が60歳以上、②キャンピロバクター・ジェジュニ(細菌の一種)の先行感染がある、③
検査と診断
治療の方法
免疫グロブリンの大量静注療法、または
吉井 文均
出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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