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コレマツ対アメリカ合衆国裁判【コレマツたいアメリカがっしゅうこくさいばん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

コレマツ対アメリカ合衆国裁判
コレマツたいアメリカがっしゅうこくさいばん
Korematsu v. United States
1944年12月18日,アメリカ合衆国連邦最高裁判所が,第2次世界大戦時のアメリカ政府による強制移住命令に従わず逮捕・起訴された日系アメリカ人(日系)二世フレッド・コレマツに対し有罪を言い渡した裁判。1988年に強制移住に対する謝罪や名誉回復がなされたものの,判決自体は長らく有効であった。2018年になって連邦最高裁はコレマツ判決の違法性を認め,事実上覆した。
日本軍による真珠湾攻撃の約 2ヵ月後の 1942年2月19日,フランクリン・D.ルーズベルト大統領は大統領命令9066号を発し,軍管理地域と定められた地域に居住する市民を強制的に立ちのかせる権利を陸軍長官と軍司令官に与えた。同大統領命令には特定の民族集団についての言及はなかったが,すぐに南カリフォルニアのターミナル島の日系二世に自宅を明け渡すよう命令が出た。同年 3月18日には日系人の移住を迅速に進めるための民間機関,戦時移住局を創設する大統領命令が出され,数日後,移住者の第一陣がカリフォルニア州内陸部のマンザナール収容所に到着した。
1944年5月3日,退去命令34号が発令され,同州オークランド出身で当時 23歳のコレマツも家族とともに移住を余儀なくされた。家族は命令に従ったがコレマツは拒否し,5月30日に逮捕,サンフランシスコ南部サンブルノにあるタンフォラン収容所に一時的に送られた。コレマツは命令違反のかどで同州の連邦地方裁判所から有罪判決をくだされ,5年間保護観察下に置かれることになった。その後,コレマツは連邦控訴裁判所に上訴したが退けられ,争いは連邦最高裁に持ち込まれた。
1944年12月18日,連邦最高裁は 6対3でコレマツの有罪判決を支持した。ヒューゴ・ブラック判事による多数意見は「大勢の市民を彼らの住居から立ちのかせることは,緊急事態や差し迫る危険といった状況下を除いては,わが国の基本的な制度と相いれないものである。しかしながら,戦時下において国土が敵軍に脅かされている場合,その危険と同等の防衛力で対応すべきである」。一方,オーウェン・ロバーツ,フランク・マーフィー,ロバート・H.ジャクソンの少数意見は「コレマツは日本で生まれた両親のもと,わが国で生まれた。憲法は彼を出生から合衆国市民としており,また居住地からカリフォルニア州の市民としている。この国に忠誠を誓っていないという主張は通らない。この場にいることはさておき,彼が遵法精神に欠けているとか,あるいは他者に好意的ではないといった示唆もない。しかしながら,コレマツは一般的な犯罪とは異なる行動で有罪とされている。市民と認められたこの国に,生まれた場所の近くに,人生を送っているこの場所にいるだけで,である」であった。
1983年,カリフォルニア州の連邦地裁は,アメリカ政府が連邦最高裁に提出すべき証拠をもみ消していたとして,コレマツへの有罪判決を無効と判断した。2011年,司法省は,当時の検察官の一人がコレマツ裁判や 1943年のヒラバヤシ対アメリカ合衆国裁判において,日系アメリカ人はアメリカの安全保障を脅かしてはいなかったと結論づけるアメリカ海軍情報部の報告を隠蔽し,法廷を欺いていたことを認めた。
ドナルド・トランプ大統領による一部イスラム国家を対象とする入国禁止令をめぐって争われた 2018年の裁判(トランプ大統領対ハワイ州裁判)で,連邦最高裁が出した判決の多数意見と少数意見にコレマツ判決が引用された。そのなかで,コレマツ判決は「判決の日に(司法は)重大な誤りを犯した」「歴史という法廷において却下されよう」とまで言及された。連邦最高裁は同年6月26日,トランプ支持の判決をくだす一方で,1944年のコレマツ判決を覆した。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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