●コンセプチュアル・アート
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
コンセプチュアル・アート
conceptual art
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世界大百科事典 第2版
こんせぷちゅあるあーと【コンセプチュアル・アート】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
コンセプチュアル・アート
こんせぷちゅあるあーと
conceptual art
コンセプト・アートともいい、概念芸術と訳される。現象的には第二次世界大戦後の主として欧米におけるネオ・ダダ、ポップ・アート、フルクサス、ヌーボー・レアリスム、ミニマル・アートなどのなかにみられる、反芸術的な傾向や芸術を問い直す傾向をさす。また様式上は文字、記号、写真、映像、図表、地図、行為(パフォーマンス)などを用いることが多い。しかし内容的には、1910年代にマルセル・デュシャンが陶製の男性用小便器に『泉』と名づけた「レディーメイド(既製品)」の作品によって、美術の概念とは相対的なものであり、その概念(約束事)を変更すれば(便器もまた美術作品に加えることを全体で容認すれば)、その中身も変わりうるのだ、ということを示したことに端を発する。
この問題意識は、第二次世界大戦後になって、やっと多くの美術家が共有するものとなった。そこで最広義では、旧来の美術を問い直すこと自体を概念芸術的ということもできなくはない。しかし絵画を問い直すことや彫刻を問い直すこと、また、造形よりもある観念や理念を中心に据えることは、それだけでは概念芸術的とよぶことはできない。たとえばダニエル・ビュランDaniel Buren(1938― )の絵画やミニマリズム彫刻のあるもの、また松澤宥(まつざわゆたか)(1922― )の作品などは概念芸術的といいうるが、様式上類似の傾向のものすべてが概念芸術的なのではない。もっと限定的に、問い直しのなかでも美術の概念そのものに焦点を当てているものを概念芸術とよぶべきである。美術概念そのものを提示するジョセフ・コスースJoseph Kosuth(1945― )、表現手段を言語、文字、記号にほぼ限定するグループ、アート・アンド・ランゲージ、生きること自体を行為として宙吊(ちゅうづ)りにして示すギルバート・アンド・ジョージなどである。
ところで、日本では一般的に、概念芸術はしばしばあいまいに観念芸術とよばれたりもした。しかし、デュシャンの問題提起に発し、第二次世界大戦以降絶えず続いているのは、広い意味での旧来の美術(近代美術)の問い直しなのであって、そのすべてが概念芸術的ではないといわなければならない。
[千葉成夫]
『N・スタンゴス著、宝木範義訳『20世紀美術――フォーヴィスムからコンセプチュアル・アートまで』(1997・パルコ出版)』▽『T・ゴドフリー著、木幡和枝訳『コンセプチュアル・アート』(2001・岩波書店)』
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