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コンピュータ・ミュージック【こんぴゅーたみゅーじっく】

日本大百科全書(ニッポニカ)

コンピュータ・ミュージック
こんぴゅーたみゅーじっく
computer music

コンピュータを用いて作曲、音響合成、演奏される音楽。現在、レコードやCDへの録音、ポピュラー音楽の演奏などではデジタル・ミキサー、マイクロコンピュータ内蔵の電子楽器(デジタル・シンセサイザーなど)が普及し、コンピュータなしでは存立しえなくなった。それらすべてを網羅することはできないので、ここでは、主として作曲過程にコンピュータが導入された狭義のコンピュータ音楽について述べる。

 第二次世界大戦後、戦時中に開発が進んでいたアメリカのシャノン、ウィーバーの情報理論が完成し、音楽にもただちに適用されることになった。音楽の構成秩序は、マルコフ連鎖という確率論的なプロセスによって支配され、プログラムやデータを入力すれば、アルゴリズム化された規則に従って、ある秩序をもった音が出力から取り出せるというのが基本的な考えである。1950年代前半には、原始的な方法で、旋律を生成したり、発振器を用いることが試みられたが、最初の本格的なコンピュータ作曲の作品は、ヒラーLejaren A. Hiller(1924―94)とアイザクソンLeonard M. Isaacsonの弦楽四重奏のための『イリアック組曲』(1957)で、イリノイ大学のコンピュータが用いられた。翌58年、ヒラーは「実験音楽スタジオ」を設立、63年にはベーカーRobert A. Bakerとの共作『コンピュータ・カンタータ』を発表した。彼はジョン・ケージとも協力して『HPSCHD』(題名はハープシコードのコンピュータ表記)を作曲し、実験音楽にも刺激を与えた。ヨーロッパでは、ギリシアのクセナキスが1961年以来『ST/48』(STはstochastic=確率の略)、『戦術』『エオンタ』などでコンピュータ手法を確立。日本では、クセナキスに学んだ高橋悠治(ゆうじ)が、数多くの作品を1970年(昭和45)前後に残している。

 1980年代以降はパーソナルコンピュータの急速な発展により、コンピュータによる作曲は放送局や大学や研究所とつながりのある限られた専門家の領域から、新しい音響を求める幅広い層へと広がっていった。たとえばアメリカのカール・ストーンCarl Stone(1953― )は「作品」の概念にかわって、「プログラム」という概念を打ち出し、作曲すなわち演奏という方向を目ざし、複数の作曲=演奏家がコンピュータによって対話・即興演奏するというような試みを行っている。もともとテクノロジーと親和性の強いロックの影響は無視できない。日本では藤枝守(1955― )が新しい世代のコンピュータ音楽を代表している。

[細川周平]

 パーソナルコンピュータ(パソコン)を使ったコンピュータミュージックをDTM(デスクトップミュージック)という。個人レベルの小規模なものも含まれるため、広く浸透した。DTMをMIDI(ミディ)(Musical Instrument Digital Interface)とよぶこともあるが、これはパソコンで電子楽器などの機器を制御するためのインターフェースのこと。国際規格として普及している。

[編集部]

『岩竹徹著『コンピュータミュージック』(1994・オーム社)』『長嶋洋一他編『コンピュータと音楽の世界』(1999・共立出版)』『長嶋洋一著『コンピュータサウンドの世界』(1999・CQ出版)』『カーチス・ローズ著、青柳龍也他訳『コンピュータ音楽――歴史・テクノロジー・アート』(2001・東京電機大学出版局)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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