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サイトメガロウイルス

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

サイトメガロウイルス
cytomegalovirus
ヘルペスウイルス一種臓器移植を受けた患者が感染すると,肝炎肺炎を起こし,重態に陥ることがしばしばある。また,妊娠中に感染すると,黄疸 (おうだん) や血小板減少症,小頭症などの先天性異常の子供が生まれやすい。 FDA (米食品医薬品局) が,このウイルスの予防薬として「サイトメガロウイルス免疫グロブリン注射液」を 90年4月認可した。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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朝日新聞掲載「キーワード」

サイトメガロウイルス
ヘルペスウイルスの一種。尿唾液(だえき)、精液母乳などを介してうつる。多くは幼児期に感染するが、通常一生症状はでない。妊婦になって初感染したり、ウイルスが再活性化したりした場合、胎盤を通して胎児に感染する。新生児低出生体重難聴などの症状が出る場合がある。
(2010-11-02 朝日新聞 夕刊 1総合)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

サイトメガロウイルス(cytomegalovirus)
ヘルペスウイルスの一種。妊婦が感染すると、新生児に黄疸(おうだん)などの先天性異常を起こす。後天的な感染では症状の現れないことが多いが、臓器移植の際などの免疫不全状態になると増殖し、肺炎・肝炎などを引き起こす。唾液腺(だえきせん)ウイルス。CMV

出典:小学館
監修:松村明
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大辞林 第三版

サイトメガロウイルス【cytomegalovirus】
ヘルペスウイルス科のウイルス。出生直後に感染することが多く、一度感染すると生涯にわたって潜状し、癌がんなどで免疫不全になったとき病状として現れることが多い。妊娠中に胎児が母親から感染すると奇形を生ずる代表的なウイルス。唾液腺だえきせんウイルス。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

サイトメガロウイルス
さいとめがろういるす
cytomegalovirus
ヘルペスウイルス科に属するウイルスの一つ。感染細胞が巨大になることから接頭辞メガロがつけられている。唾液腺(だえきせん)から検出されることが多いため、唾液腺ウイルスともよばれる。CMVあるいはHCMV(human cytomegalovirus、ヒトサイトメガロウイルス)と略称される。これに感染することにより引き起こされるのがサイトメガロウイルス感染症で、巨細胞封入体症ともいう。ヒトへの感染は、乳幼児期に母親から経産道的にもしくは母乳から垂直感染するか、周囲からあるいは移植や輸血によって水平感染し、学童期までには多くの人が感染する。症状が現れない不顕性感染が多く、さまざまな臓器に潜伏感染したまま経過する。問題となるのは妊婦が初感染した場合で、胎児死亡のほか新生児に黄疸(おうだん)や先天奇形、発達遅滞、視力障害、聴力障害などを引き起こす。また、臓器移植患者が免疫抑制療法中に免疫不全状態に陥ると感染ウイルスが増殖し、間質性肺炎や肝炎を引き起こすことがある。エイズ(後天性免疫不全症候群)患者のように免疫力が極度に低下している場合も、重篤な症状を伴うことがある。[編集部]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

サイトメガロウイルス(ウイルス感染症)
(3)サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)
概念
 サイトメガロウイルスは健常人に感染しても,その多くは不顕性感染となる.しかし,一部の例において,EBウイルスのような伝染性単核球症や肝炎などを発症することが知られている.サイトメガロウイルス感染症(cytomegalovirus infection)の多くは免疫不全に伴い発症し,肺,肝臓,消化管,膵臓,網膜,中枢神経系など,さまざまな臓器病変を引き起こす.
病因
 サイトメガロウイルスはヘルペスウイルスβ亜科に属し,ウイルスが排出される唾液,母乳などによって濃厚接触で感染していく.また,経胎盤や産道感染での母子感染,性行為による感染,輸血・移植臓器などによる感染も起こる可能性がある.初感染後も潜伏感染が続くため,免疫不全に伴う再活性化での発病もみられる.
疫学
 サイトメガロウイルスは世界的に広く分布し,唾液や母乳などを介した日常的な接触で幼少時より感染する.その多くは不顕性感染として経過し,50歳以上では80~90%以上が感染しているともいわれる.しかし近年は,初感染年齢が上昇しており,初産婦の抗体陽性率が70%以下に低下してきていることも指摘されている.このため,感受性の妊婦が増加することで,出生時の先天性サイトメガロウイルス感染症が増加する可能性も危惧されている.
病態生理
 サイトメガロウイルスは,初感染後にも,唾液腺上皮,血管内皮,リンパ球,多核白血球などに潜伏して持続感染し,その後も再活性化を繰り返す.細胞性免疫が低下すると,再活性化しやすくなり,さらに,細胞性免疫が低下した患者においては,肺,肝臓,消化管,膵臓,網膜,中枢神経系など,さまざまな臓器に病変を発症するようになる.
臨床症状
1)サイトメガロウイルス単核球症(cytomegalovirus mononucleosis)および肝炎(cytomegalovirus hepa­titis):
サイトメガロウイルスの初感染においては,EBウイルスと似た単核球症を発症することがある.幼少時に初感染する例も多いが,多くは不顕性感染として経過する.したがって,比較的症状が重い例,性行為による若年成人での伝染性単核球症として診断されることが多い.また,持続する肝機能障害で発見される例もある.
2)先天性サイトメガロウイルス感染症(congential cytomegalovirus infection):
妊娠初期における妊婦の初感染によって,胎児にウイルスが感染し,その5~10%が発症するとされる.典型例は,先天性巨細胞封入体症とよばれ,肝脾腫,黄疸,低体重,小頭症,脳室周囲石灰化,難聴,脈絡網膜炎,肝脾腫,黄疸,DICなどをきたし予後不良となる.
3)日和見感染症としてのサイトメガロウイルス感染症:
造血幹細胞移植やHIV感染者のような細胞性免疫が低下した患者では,サイトメガロウイルスによって種々の臓器に多彩な疾患を起こす可能性がある.間質性肺炎は骨髄移植後と比べて,HIV感染者には比較的少ないとされている.一方,網膜炎(図4-4-2)や脳炎はHIV感染者に多いなど,背景疾患によっても病態が異なっている.食道,胃,小腸,大腸などの消化管にも感染し,潰瘍病変を呈することがある.
診断
 サイトメガロウイルスは,初感染後も潜伏して持続感染する.したがって,血液,唾液,あるいは尿などの検体からのPCR法やLAMP法による核酸検出,ウイルス分離などによる同定は,病的意義をもたないことも多い.これと比べて,髄液や羊水からのウイルス分離やPCR陽性については,より臨床的な意義が高いと考えられている. 末梢血中におけるサイトメガロウイルス抗原(pp65)陽性白血球の検出は,造血幹細胞移植患者における致死的間質性肺炎の発症前診断に有用である.陽性細胞数が多くなるほどサイトメガロウイルス肺炎を発症するリスクが高く,無症状であっても予防的治療の適応となる.一方,HIV感染者などの免疫抑制による,初感染,再活性化,再感染時にも陽性となる場合があるが,これらの場合には臓器病変の有無を含めた慎重な判断が必要となる.
治療・予防
 サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス薬としては,ガンシクロビルおよび経口薬のバルガンシクロビル,そしてホスカルネットがある.前者においては骨髄抑制,後者では腎障害が代表的な副作用であり,治療後は注意観察が必要となる.また,症例によってはガンマグロブリンやステロイドの投与が行われることもある.
 一般的には免疫不全者による臓器病変の発症例が治療適応となるが,造血幹細胞移植では肺炎発症予知のためのCMV抗原検査が行われており,抗原血症陽性となった時点でガンシクロビルによる予防的治療が開始される.[今村顕史]
■文献
Comittie on Infectious Diseases and American Academy of Pediatrics: Red Book (Pickering LK ed), pp273-277, 2006.
Osaroglagbon RU, et al: CMV antigenemia following bone marrow transplantation: and outcomes. Biol Blood Marrow Transplant, 6: 280-288, 2000.

出典:内科学 第10版
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