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シェラー(Max Scheler)【しぇらー】

日本大百科全書(ニッポニカ)

シェラー(Max Scheler)
しぇらー
Max Scheler
(1874―1928)

ドイツの哲学者、社会哲学者。ミュンヘンに生まれる。カント、オイケン、ブレンターノ、フッサール、ニーチェらの影響を受ける。フッサールの現象学の方法を認識論、倫理学、心理学、宗教哲学、知識社会学に適用し、鋭い洞察と博識をもって、壮大な哲学的人間学の体系を構築しようと試みた。イエナ大学、ミュンヘン大学で教え、1919年ケルン大学教授、1928年フランクフルト大学に移るが、同年死去した。

 第一次世界大戦中、一時期国家主義に傾くが、のちには戦争に批判的になった。1920年前にカトリックに改宗し、さらに晩年には生命論、汎神(はんしん)論に接近する。人間の本質を理性とする近代的人間観に反対し、情緒や体験の役割を重視する。パスカルに親近感をもち、またディルタイ、ニーチェ、ベルクソンらとともに「生の哲学者」にも数えられる。彼は共感、後悔、恨み、愛、喜びなどの情緒や意識状態の現象学的分析を通して、世界と人間の本質把握の全面的変革を試みた。彼は知識の3形態を区分し、自然支配を目ざす科学技術の知(支配知)、形相的還元による存在の知(教養知)、宗教的知(救済知)とし、前二者は救済知に従属するとするが、いずれの知識も中立的ではなく、人間のあり方に根本的に依存するとした。倫理学ではカントの形式主義を批判しつつも、そのア・プリオリ主義は採用し、実質的価値として快、生命、精神、聖をあげ、これらを階層をなす永遠の価値秩序とした。道徳行為では、カントの当為(ゾレン)による行為を退け、価値階層を上昇していく自発的な行為と考えた。こうした価値の実現を目ざす「人格」が彼の哲学の理想である。後期には、かかる人格の形成を現実社会のうちに実現する歴史的条件を探究し、「知識社会学」の構想を抱いた。ハイデッガーや実存主義的神学者へ多大の影響を与えた。

[小池英光]

『吉沢伝三郎他訳『シェーラー著作集』全15巻(1976~1978/新装復刊・2002・白水社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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