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シェーグレン症候群【シェーグレンしょうこうぐん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

シェーグレン症候群
シェーグレンしょうこうぐん
Sjögren's syndrome
全身の粘膜乾燥を特徴とする症候群で,1933年にスウェーデン眼科医 H.シェーグレンが初めて報告した。眼球乾燥症唾液腺の萎縮による口内乾燥,虫歯,慢性関節リウマチ脾腫,肝腫,レイノー現象紅斑,脱毛などが起り,血漿中のγ-グロブリンが増加する。しばしば膠原病自己免疫疾患を合併し,また,細網内皮系悪性腫瘍に合併することもある。 20~40歳代の女性に多発する。根本的な治療法はなく,対症的に人工涙液,人工唾液,パロチンなどが用いられる。

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デジタル大辞泉

シェーグレン‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【シェーグレン症候群】
涙腺・唾液腺(だえきせん)の分泌低下を主症状とする病気。膠原(こうげん)病や慢性関節リウマチの合併していることが多い。スウェーデンの眼科医シェーグレン(H.S.C.Sjögren)が報告。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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家庭医学館

しぇーぐれんしょうこうぐん【シェーグレン症候群 Sj[1-09-76-1]gren Syndrome】
◎涙や唾液(だえき)が出にくくなる病気
[どんな病気か]
 シェーグレン症候群は、膠原病(こうげんびょう)(免疫のしくみとはたらきの「膠原病について」)としてくくられる病気の1つで、おもに、涙腺(るいせん)や唾液腺(だえきせん)などの外分泌腺(がいぶんぴつせん)に炎症が生じ、涙や唾液などが出にくくなる病気です。
 関節リウマチや強皮症(きょうひしょう)など、ほかの膠原病と合併することが多くみられます(約50%)。ほかの膠原病をともなわない場合は、乾燥症候群(かんそうしょうこうぐん)と呼ぶこともあります。
 中年女性によくみられます。日本での患者数は約1万7000人とされています。
[原因]
 原因は不明ですが、ほかの膠原病を合併することが多いので、免疫の異常が関係していると考えられています。
[症状]
 涙が出にくいため、目にごみが入った感じがして、ごろごろするなどの異物感があります。また、明るいところでは、まぶしい感じがします。これは、目の表面の角結膜(かくけつまく)というところに炎症が生じているためです。
 唾液も出にくいため、いつも口の中が乾燥し、のどが渇きます。そのため、水分を含まない食物が食べにくくなり、飲み込むのも困難になります。必然的に水分摂取量が増えるため、排尿(はいにょう)の回数も増えます。
 唾液の分泌が少ないために、口の中の浄化ができず、舌があれて、口角(こうかく)がただれたり、むし歯も多くなります。
 また、耳下腺(じかせん)や顎下腺(がくかせん)が腫(は)れることもしばしばあります。鼻や耳、気管支など、ほかの粘膜(ねんまく)の分泌物も減り、鼻の乾燥感や嗅覚(きゅうかく)の異常、外耳道炎(がいじどうえん)、中耳炎(ちゅうじえん)、気管支炎などがおこりやすくなるのです。肺の炎症もみられます。
 胃酸の分泌が悪くなって、胃炎や消化不良もみられます。
 腎臓(じんぞう)では、腎臓の間質(かんしつ)という分泌や代謝をつかさどっているところに炎症が生じ、血液が酸性にかたよったり、骨がもろくなったりすることもあります(腎尿細管性アシドーシス)。
 皮膚が乾燥し、女性の場合には腟(ちつ)の乾燥症もみられます。
 全身症状としては、関節の痛み、輪のような紅斑(こうはん)、紫斑(しはん)、発熱、レイノー現象(皮膚の血行障害で、最初白くなり、ついで青くなってチアノーゼになり、回復すると赤くなる現象)などもみられます。
 また、この病気は、ほかの膠原病だけではなく、慢性甲状腺炎(まんせいこうじょうせんえん)(「慢性甲状腺炎(橋本病/自己免疫性甲状腺炎)」)や原発性胆汁性肝硬変(げんぱつせいたんじゅうせいかんこうへん)(「原発性胆汁性肝硬変(PBC)」)、リンパ腫(しゅ)など、免疫の異常をともなう病気を併発することがあります。
[検査と診断]
 血液検査では、赤血球(せっけっきゅう)の沈降速度(ちんこうそくど)(赤沈(せきちん))が速くなり、貧血、白血球(はっけっきゅう)の減少、γ(ガンマ)グロブリン(抗体(こうたい)などの免疫グロブリンたんぱく)が増加するとともに、唾液腺由来のアミラーゼという酵素(こうそ)の増加などがみられます。
 また、リウマトイド(リウマチ)因子や抗核抗体(こうかくこうたい)(自己の細胞の核を標的にする自己抗体の一種)を調べると、たいてい陽性を示します。
 抗核抗体のなかでも、抗SS‐A抗体と抗SS‐B抗体がみられるのが特徴で、とくに後者は、この病気にだけみられるといってもよいほどで、診断に役立ちます。
 涙の分泌は、小さな濾紙(ろし)を下のまぶたにあてて、どのくらいの長さに涙がしみるかをみます(シルマーテスト)。
 眼科的検査では、角結膜に炎症が生じているかどうかを調べます。
 唾液の分泌は、ガムをかませるガムテストで調べます。また、唾液腺を造影剤を使ってX腺で撮影し、唾液腺が炎症によって破壊されているかどうかをみます。
 アイソトープ(放射性同位元素)を静脈に注射し、それが唾液腺に取り込まれる量をみて、その機能の程度を調べる方法もあります(唾液腺シンチグラフィ)。
 また、くちびるの組織の一部をとって、顕微鏡でその組織を観察し、病理組織学的に小唾液腺に炎症があるかどうかも検査されます(口唇生検(こうしんせいけん))。
 診断は、前記の症状と検査結果からつけられます。厚労省の調査研究班から診断基準が発表されており、それに照らし合わせて診断されます。また、ほかの膠原病が合併しているかどうかも診断されます。
◎人工の涙液や唾液も用いられる
[治療]
 涙や唾液の分泌を高める薬が用いられますが、治療の多くは局所療法が中心です。
 局所療法として、目の乾燥に対しては、人工涙液(じんこうるいえき)の点眼薬が用いられます。口内の乾燥に対しては人工唾液(じんこうだえき)が用いられます。
 重い内臓の病変がある場合は、ステロイド薬や免疫抑制薬で治療します。
 関節リウマチなど、ほかの膠原病をともなっている場合には、これらの病気の治療も合わせて行ないます。
[日常生活の注意]
 食事は、かたいものや刺激物を避け、水分の多い、消化のよい、バランスのとれたものをとります。
 住居は、快適な温度と湿度を保ち、とくに空気の乾燥に注意します。
 歯をよくみがき、むし歯を予防するとともに、感染症に留意し、かぜをひかないように、また、こじらせないように注意します。
 さらに、過労を避けるほか、ストレスを蓄積しないように注意することも必要です。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

しぇーぐれんしょうこうぐん【シェーグレン症候群】

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大辞林 第三版

シェーグレンしょうこうぐん【シェーグレン症候群】
全身の外分泌機能を営む腺組織が障害される病気。主として涙腺・唾液腺がおかされる。単独でよりは膠原病こうげんびようなどに合併してみられることが多い。 スウェーデンの眼科医シェーグレン(H. Sjögren)が報告

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日本大百科全書(ニッポニカ)

シェーグレン症候群
しぇーぐれんしょうこうぐん
涙腺(るいせん)と唾液(だえき)腺の分泌低下(乾性角結膜炎と口腔(こうくう)乾燥症)を特徴とする外分泌腺の慢性炎症性疾患で、しばしば関節リウマチあるいはその他の膠原(こうげん)病を合併するものをいう。1933年スウェーデンの眼科医シェーグレンSjgrenによって初めて記載された比較的まれな疾患で76年(昭和51)厚生省(現厚生労働省)の特定疾患(いわゆる難病)に加えられた。患者は圧倒的に女性が多く、発症時年齢は45~48歳がもっとも多い。乾燥症状は、目では異物感・眼精疲労・眼痛など、口については口内乾燥感・摂食時飲水量増加・虫歯増加などがみられ、耳下腺の腫脹(しゅちょう)などもある。治療としては保存的対症療法が行われ、乾燥に対しては人工分泌液、合併した膠原病にはそれぞれの単独疾患の場合と同様に治療し、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤や免疫抑制剤などを必要に応じて用いる。日本に多い乾燥症候群だけの場合の予後はよいが、合併症のある場合はその内容により異なる。[高橋昭三]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

シェーグレン‐しょうこうぐん ‥シャウコウグン【シェーグレン症候群】
〘名〙 (Sjögren's syndrome の訳語) 涙腺と唾液腺の分泌低下を特色とする慢性炎症性疾患。結膜、角膜や口腔の乾燥を主な症状とし、膠原病(こうげんびょう)と合併することが多い。中年以降の女性によくみられる。一九三三年スウェーデンの眼科医シェーグレンが報告。

出典:精選版 日本国語大辞典
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六訂版 家庭医学大全科

シェーグレン症候群
シェーグレンしょうこうぐん
Sjögren's syndrome
(のどの病気)

どんな病気か

 全身の外分泌腺(涙や唾液(だえき)などを分泌する腺)が、自己の免疫機構の異常により壊れていく病気です。本症のみを発症する場合と、リウマチなど他の同類疾患を合併する場合があります。多くは中年女性に発症し、男性には少ない病気です。

症状の現れ方

 自己免疫疾患といわれる病気のひとつです。免疫とは、異物やウイルス・細菌などから体を守るために備わった機構で、それらが体に進入した場合などに、自分以外のものと認識し、攻撃・排除するようにできています。この免疫機構が何らかの原因により異常を来し、本来ならば認識しない自己の体の一部を非自己と認識し、破壊・排除するようになったために生じる病気です。

 シェーグレン症候群では、唾液腺や涙腺(るいせん)に代表される、外分泌腺が標的になります。

原因は何か

 涙腺が破壊されると涙の分泌が減るため、眼の乾燥症状が出てきます。唾液腺では唾液の分泌が減るため、口腔内乾燥感が生じ、ひどくなると潤滑油としての唾液の減少により、水分の少ない物が食べにくくなったり、しゃべりにくくなったりします。

 また唾液には殺菌作用がありますが、これがなくなるため、カンジダなどによる口腔内真菌症(しんきんしょう)が生じたり、むし歯が増えたり、舌が炎症を起こして赤くなり、ぴりぴりしたりします。味がわかりにくくなることもあります。涙腺や唾液腺は破壊され、リンパ球がたくさん集まり硬くはれることがあります。

 さらには、分泌が低下した唾液腺には口のなかから細菌が進入し、急性の細菌性唾液腺炎を生じたりします。

検査と診断

 定められた診断基準があり、これに基づいて検査・診断が行われます。主なものは、涙腺では涙分泌の減少と、それによる眼(角・結膜)の異常を調べること、唾液腺では唾液分泌の減少と腺の変化をみること、さらには涙腺や唾液腺の組織学的変化をみること、血液学的に自己抗体の存在を調べることなどにより診断が行われます。

治療の方法

 根本的な治療法はありません。涙の減少に対しては点眼薬が使用されます。唾液の分泌障害に対しては、腺の破壊の程度により、分泌機能が残っている例には残存腺の分泌を亢進させるための薬剤投与が行われます。破壊が進行し、この薬剤の効果が得られない場合は、人工唾液という唾液の代わりになる液体の口腔内噴霧(ふんむ)が適宜使用されます。

 舌炎や真菌症に対してはそれぞれに合った治療が行われます。細菌感染による急性の唾液腺炎が生じた場合は、抗生剤の投与も必要です。

 まれに悪性リンパ腫という腫瘍に進むこともあるため、唾液腺のはれが急激に大きくなるようであれば、腫瘍化も念頭に入れておく必要があります。

病気に気づいたらどうする

 多くの場合は、眼や口の渇きにより発見されます。このような症状があった場合は、耳鼻咽喉科や眼科、内科の専門医の診察を受けるとよいでしょう。

谷垣内 由之

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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シェーグレン症候群
シェーグレンしょうこうぐん
Sjögren's syndrome
(皮膚の病気)

どんな病気か

 スウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレンにより発見された膠原病(こうげんびょう)です。涙腺の障害によるドライアイ(眼の乾燥)、唾液腺の障害によるドライマウス口腔乾燥症)などの外分泌腺の障害が主症状です。多くの患者さんは涙が出にくく眼がごろごろする、口腔やのどが乾く、せんべいのような乾きものが水分なしには食べにくい、などの自覚症状が特徴的です。

 このほかにも皮膚症状や関節症状など、多様な症状を示します。これらの症状は外分泌腺障害の症状と区別して、腺外症状といいます。

原因は何か

 原因は不明です。病態には自己免疫が関係していますが、その背景にウイルスが関係しているとする説もあります。

症状の現れ方

 中高年では乾燥症状が初発症状であることが多く、若年者では皮膚症状などの腺外症状で発症することが多い傾向があります。

 皮膚・粘膜の腺症状としては汗腺の障害による乾皮症(かんぴしょう)、涙腺障害による眼瞼炎(がんけんえん)、唾液腺障害による口角炎、乾燥舌、赤い平らな舌などがみられます。

 皮膚症状は線外症状のほうが多く認められます。最も特徴的なものは1~3㎝くらいの環状紅斑です。そのほかでは凍瘡(とうそう)(しもやけ)様紅斑(ようこうはん)虫刺症様(ちゅうししょうよう)紅斑、リール黒皮症様皮疹(こくひしょうようひしん)結節性紅斑、高ガンマグロブリン血症性紫斑(しはん)じんま疹様紅斑などが知られています。

 本症は関節リウマチ強皮症(きょうひしょう)などの他の膠原病の合併率が高いのが特徴です。ほかにもリンパ腫や()リンパ腫を多く合併します。

検査と診断

 シルマー試験、ガム試験を行い涙液、唾液の分泌低下の有無を調べます。また口唇粘膜生検により小唾液腺を病理学的に調べます。皮膚病変がある場合は必要に応じて皮膚生検を行います。

 血液検査では抗核抗体高値、リウマチ反応陽性、高ガンマグロブリン血症が認められた場合は、本症が強く疑われます。疾患に特徴的な自己抗体として抗SS­A/SS­B抗体があります。

治療の方法

 軽症の場合は症状に合わせて治療します。乾燥症状には人口涙液点眼薬や人工唾液を使います。程度により外分泌腺を刺激する薬剤や、ステロイド薬を内服します。

病気に気づいたらどうする

 皮膚症状は皮膚科、眼症状は眼科、全身症状ではリウマチ膠原病科と、それぞれの症状の専門医を受診します。

関連項目

 膠原病

衛藤 光

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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シェーグレン症候群
シェーグレンしょうこうぐん
Sjögren's syndrome
(膠原病と原因不明の全身疾患)

どんな病気か

 シェーグレン症候群(SS)は、歴史的には1930年にスウェーデンの眼科医シェーグレンによる関節リウマチ(RA)を合併した乾燥性角結膜炎(かんそうせいかくけつまくえん)の報告が最初です。1933年にドライアイドライマウス、関節炎の症状をもつ19例を発表して以来、報告者の名前をとりシェーグレン症候群と名づけられました。

 慢性唾液腺炎(だえきせんえん)と乾燥性角結膜炎が主な症状ですが、全身の臓器の病変も伴うため、内科、眼科、耳鼻科、歯科口腔科の各科が共同して診療を進める必要のある病気です。医学上の分類では膠原病(こうげんびょう)に含まれます。

 血液検査では多様な自己抗体が陽性になり、多臓器に特殊なリンパ球の浸潤(しんじゅん)も認められ、自己免疫疾患のひとつとして位置づけられています。病変は唾液腺、涙腺だけでなく、全身の外分泌腺に生じる可能性があります。

 1993年度の厚生(当時)省特定疾患自己免疫疾患調査研究班の検討によると、シェーグレン症候群の有病率は人口10万人に約15人とされています。男女比は1対14で女性に多く、発症年齢のピークは40~60代となっています。都道府県により異なりますが、難病特定疾患と指定されて医療費の補助を受けられるところもあります。

原因は何か

 原因は自己免疫疾患と考えられています。自己免疫疾患とは何らかの原因で免疫異常が生じ、自分の体にある蛋白質を抗原として認識して自己抗体やリンパ球により自らを攻撃してしまう病態です。自己免疫応答を誘導する先行因子として、細菌やウイルスの感染が関係しているとの報告があります。引き続き起こる炎症は、リンパ球で作られるサイトカイン(IL­1、TNF­α(アルファ)、IL­6など)が中心となって引き起こされます。

 最終的には、細胞傷害性リンパ球などにより唾液腺・涙腺(るいせん)組織が壊されるため、唾液、涙液の分泌低下が認められ、乾燥症状を示すことになります。事実、病理学的には、唾液腺や涙腺などの導管、腺房周囲の著しいリンパ球浸潤が特徴的であり、最終像では、腺房(せんぼう)の破壊、萎縮(いしゅく)がみられます。

症状の現れ方

 臨床症状は多様ですが、大まかに腺症状と腺外症状とに分けられ、それぞれ表7のようになります。

 問診の際にチェックすべき項目は以下のとおりです。

・食事の時、水を必要とするか?

・口腔乾燥感があるか?

・舌先に異常な感覚がないか?

・味覚の異常があるか?

・唾液腺がしばしばはれるか?

・眼が疲れやすいか?

・眼がゴロゴロするか?

・眼の灼熱感(しゃくねつかん)や違和感があるか?

・日に3回以上、眼薬をさすか?

 このような問診によりドライマウスドライアイ症状の有無を診断します。ドライアイは、“疲れ眼”の6割を占めるといわれていますが、その乾燥症状が即シェーグレン症候群ということではありません。

 腺外症状としての関節炎は、関節リウマチと同じように朝のこわばりがあり、両側に関節痛が起こりますが、関節リウマチと異なりこわばりの持続時間が短時間であり、関節の変形を来すような激しい関節炎は少ないです。しかし、当然ながら関節リウマチを合併した二次性シェーグレン症候群では、関節リウマチに特徴的な関節炎の所見を示します。

検査と診断

 いくつかの特徴的な症状を示す症候群であるために、診断基準により確定診断が行われます。1999年に改訂された厚生省(当時)の診断基準を表8に示します。

 検査には、眼科検査、生検病理組織検査、口腔検査、血液検査などがあります。眼科的検査のひとつはシルマー試験です。これは、ろ紙を下まぶたに当てて涙液量を測定する検査です。5分間で5㎜以下を陽性所見としています。ローズベンガル試験と蛍光(けいこう)色素試験は、色素を用いて乾燥性角結膜炎の存在を検討する検査です。

 小唾液腺と涙腺生検は組織学的にSSを検討するために必要な検査です。導管周囲に50個以上の単核球(たんかくきゅう)の浸潤がみられる場合を陽性所見としています。

 唾液腺造影は唾液腺の組織破壊の程度を反映します。直径1㎜以上の小点状陰影が認められれば陽性です。最近では唾液腺シンチグラフィを用いた検査も行われます。軽症例では耳下腺(じかせん)顎下腺(がくかせん)へ99mTc­ペルテクネテートの集積がはっきりとみられ、高度の唾液腺障害例では、逆に集積がほとんどみられません。

 血液検査では、CRP陽性、赤沈値亢進など炎症反応が陽性であり、高ガンマグロブリン血症が60~80%にみられています。とくにガンマグロブリンのなかでIgG、IgAが増えており、また血液の粘稠度(ねんちゅうど)を高め血栓ができやすくなるクリオグロブリン(IgM­IgG)も検出されることがあります。

 赤血球も白血球も減る傾向にあり、貧血および白血球減少症は約30~60%の頻度でみられています。血小板数の変化はまれで、10%以下の頻度で減少がみられますが、そのなかには特発性血小板減少性紫斑病(とくはつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)の合併も散見されます。

 自己免疫疾患の原因である自己抗体の存在は、種類としては抗核抗体が70~80%と高率に検出されます。抗La/SS­B抗体は、本症に特異性が高く診断的意義が高いのですが、検出率は20~30%にとどまります。本抗体陽性の患者さんは、常に抗Ro/SS­A抗体も陽性です。抗Ro/SS­A抗体は陽性率が50~70%と抗La/SS­B抗体に比較して出現率の高い自己抗体です。抗Ro/SS­A抗体は他の膠原病にも検出されるため、特異性は抗La/SS­B抗体より低いことになります。リウマチ因子は関節リウマチの合併のあるなしに関係なく約70%の患者さんで認められています。

 その他の自己抗体として、抗RNP抗体、抗セントロメア抗体、抗ミクロゾーム抗体、抗ミトコンドリア抗体などが検出されることがあり、多様な自己抗体が現れる自己免疫疾患です(表9)。ツベルクリン反応の陰転化、自己リンパ球混合培養反応の低下、NK細胞の機能低下などもあって、これは細胞性免疫の異常としてとらえられています。

 区別すべき疾患としては、ドライアイを来すアレルギー性結膜炎などの眼疾患、糖尿病、唾液腺萎縮症、薬剤の副作用などによるドライマウス、他の自己免疫疾患(膠原病)、とくに関節リウマチ全身性エリテマトーデスの合併について適切に診断することが、治療にあたるうえで重要になってきます。

治療の方法

 治療は腺外症状の有無により異なります(表10)。腺症状だけの腺型シェーグレン症候群では、日常生活ではあくまでも対症療法が中心となり、外部環境に気をつかい、眼や口に風が当たらないようにメガネやマスクを使用し、室内では加湿を心がけてください。

 ドライアイに対して、防腐剤を含まない人工涙液(眼薬)、プラグを用いた涙点閉鎖、ドライアイ保護用眼鏡などが有効です。ドライマウスに対しては、うがい、サルベートなどの人工唾液、ガム、去痰薬(きょたんやく)麦門冬湯(ばくもんどうとう)(漢方薬)、フェルビテンなどが有効でしょう。最近、ムスカリン受作動性アセチルコリン受容体を刺激する塩酸セビメリン(サリグレン、エボザック)および塩酸ピロカルピン(サラジェン)が発売されましたが、ドライマウスに対して有効です。

 活動性で炎症症状が強い腺外型や二次性シェーグレン症候群に対しては、その炎症を抑えるために副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)が使用されます。とくに活動性が高いと考えられるのは、①進行性の間質性(かんしつせい)肺炎糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)間質性(かんしつせい)腎炎、自己免疫性肝炎、中枢神経障害、②高ガンマグロブリン血症やクリオグロブリン血症に伴う高粘度症候群、③持続する発熱や全身リンパ節の腫脹(しゅちょう)偽性(ぎせい)リンパ腫)、④反復性の唾液腺腫脹、⑤二次性シェーグレン症候群などです。

 ステロイド薬の用量は、重い病変に対しては適切な時期にプレドニゾロン換算で30~60㎎/日を投与し、また、炎症症状が弱い場合では、5~15㎎/日と比較的少量で十分な効果が得られるでしょう。症状、検査所見などから必要と思われる時には積極的に使用するべきです。

 免疫抑制薬(シクロホスファミド)も重症例では有効とされていますが、腎毒性、悪性リンパ腫の発症の危険性を考慮しなければなりません。投薬は最善の戦略を立て、注意深く行われなければなりません。さらに、慢性甲状腺炎原発性胆汁性肝硬変(げんぱつせいたんじゅうせいかんこうへんしょう)尿細管性アシドーシス悪性リンパ腫などの合併症がある場合、それぞれに対する個々の治療が必要となります。

 腺型シェーグレン症候群は、一般に予後が良好です。腺外型や二次性シェーグレン症候群は、活動性が高く難治性であることが問題になります。とくに、進行性の間質性肺炎糸球体腎炎自己免疫性肝炎、中枢神経障害、高粘度症候群などの病変が現れた場合は予後が不良になります。シェーグレン症候群には悪性リンパ腫の合併もみられており、その発症率は健常人に比して40~80倍高いと報告されています。

病気に気づいたらどうする

 ドライマウスドライアイ、関節痛などの症状に気づいたら、リウマチ科の専門医、とくに内科系リウマチ専門医の診察を受けてください。確定診断には、血液検査、眼科的検査、歯科口腔外科的検査などが必要であることを認識しておいてください。

 日常生活では、うがいなどにより口腔内を常に清潔に保つことを心がけます。

 また、シェーグレン症候群の患者さんは、さまざまな薬に対して薬剤アレルギーを起こしやすいので注意してください。

住田 孝之

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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EBM 正しい治療がわかる本

シェーグレン症候群
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 涙腺(るいせん)や唾液腺(だえきせん)が慢性的に炎症をおこし、目や口のなかの粘膜(ねんまく)が乾燥する自己免疫性(じこめんえきせい)の病気です。
 目の症状(ドライアイ)としては、目のなかになにか入っているような異物感、まぶしくてものが見えづらい羞明(しゅうめい)という状態や眼痛があります。口のなかの症状(ドライマウス)としては、唾液(だえき)がでない、ビスケットやパンなどを水分なしでは食べられない、口の粘膜や舌が乾燥でひび割れるなどがおもな症状となります。
 とくに免疫異常を引きおこす病気がなく、粘膜の乾燥症状だけのものを一次性シェーグレン症候群といい、関節リウマチや、そのほかの膠原病(こうげんびょう)や慢性甲状腺炎(橋本病)などの自己免疫性の病気に伴うものを二次性シェーグレン症候群といいます。
 さらに一次性シェーグレン症候群は、涙腺や唾液腺だけに炎症が現れる腺型(せんけい)と、関節炎や食道の蠕動低下(ぜんどうていか)、腎尿細管(じんにょうさいかん)の機能異常、肺線維症(はいせんいしょう)、甲状腺炎(こうじょうせんえん)など、多くの臓器に炎症がおよぶ腺外型(せんがいけい)に分類されます。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 ほかの膠原病と同じように原因は不明です。多くの患者さんの血液中に、細胞の核のなかの特別なたんぱくと反応する抗体(抗核抗体(こうかくこうたい))が見つけられることから、免疫の異常がかかわっていると推測されていますが、くわしいメカニズムはわかっていません。

●病気の特徴
 男女比は1対14で圧倒的に女性に多く、50歳代をピークとし40歳~60歳代に多く発症します。日本では推定10万~30万人の患者さんがいると考えられます。
 ちなみに「シェーグレン症候群」という病名は、1930年にスウェーデンの眼科医シェーグレンが、慢性関節リウマチ(現在は関節リウマチ)に乾燥性角膜炎を合併した患者さんの症例報告を行ったことから名づけられました。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]ドライアイに対して点眼薬を用いる
[評価]☆☆
[評価のポイント] ドライアイの症状に対して、非ステロイド抗炎症薬の点眼薬や、副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド点眼薬は、不快感や乾燥などの症状を緩和(かんわ)する効果が報告されています。ただし、角膜への副作用が報告されており注意が必要です。人工涙液を用いた場合には、それらの副作用はありません。(1)(2)

[治療とケア]ドライアイに対して湿気を逃がさない保護メガネを使う
[評価]☆☆
[評価のポイント] シェーグレン症候群の患者さんに対して、とくに副作用がない限り、こうした対症療法はしばしば行われます。

[治療とケア]ドライマウスに対して頻繁(ひんぱん)にうがいをする
[評価]☆☆
[評価のポイント] シェーグレン症候群の患者さんに対して、とくに副作用がない限り、こうした対症療法はしばしば行われます。

[治療とケア]ドライアイとドライマウスに水分を補う薬(セビメリン塩酸塩水和物やピロカルピン塩酸塩錠)を用いる
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] ピロカルピン塩酸塩は、中等度から重症のシェーグレン症候群の患者さんに使用され、唾液の分泌を改善し、合併症を減らす効果が信頼性の高い臨床研究によって確認されています。また、ドライアイに対する効果も報告されており、人工涙液の点眼よりも効果がある可能性が示唆されています。(3)~(6)

[治療とケア]非常に症状の重い、腺外病変(多くの臓器に炎症がおよぶ場合)に対して、副腎皮質ステロイド薬あるいは免疫抑制薬を用いる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 重症症例に対して、免疫抑制薬であるミコフェノール酸モフェチルを用いて症状が緩和されたという報告があります。(7)
 副腎皮質ステロイド薬は、病状の進行を遅らせる効果はなかったとの報告があります。(8)
 いずれも炎症や痛みを抑制する作用を考慮し、専門家の臨床経験から用いられることはありますが、使用する際には注意が必要です。


よく使われている薬をEBMでチェック

水分を補う点眼薬
[薬名]ヒアレイン(精製ヒアルロン酸ナトリウム)
[評価]☆☆
[薬名]人工涙液マイティア(人工涙液)
[評価]☆☆
[評価のポイント] これらの薬の効果は確立されていませんが、専門家の意見や経験から支持されています。

ドライマウス、ドライアイに対する内服薬
[薬名]エボザック/サリグレン(セビメリン塩酸塩水和物)(3)~(6)
[評価]☆☆☆☆
[薬名]サラジェン(ピロカルピン塩酸塩)(3)~(6)
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] シェーグレン症候群の患者さんのドライマウス、ドライアイに対するセビメリン塩酸塩水和物やピロカルピン塩酸塩の効果は、信頼性の高い臨床研究によって確認されています。

症状の重い腺外病変に対する内服薬
[薬名]セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル)(7)
[評価]☆☆
[薬名]プレドニン(プレドニゾロン)(8)
[評価]☆☆
[薬名]ソル・メドロール(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム)(8)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 症状が重い場合は、炎症や痛みを抑制する作用を考慮し、専門家の臨床経験から慎重に判断して、用いられることがあります。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
腺型に対しては乾燥症状をやわらげる対策を
 腺型シェーグレン症候群では、涙腺と唾液腺に症状が現れますから、それらの乾燥症状をやわらげる治療を行います。
 ドライアイに対しては人工涙液(点眼薬)や保護メガネを用います。ドライマウスに対しては、頻繁にうがいをし、口腔内を衛生的にし齲歯(うし)(むし歯)を予防します。これらの治療は、副作用がほとんどないとされていますから、試みる価値は十分あると思います。
 しかし、非ステロイド抗炎症薬や副腎皮質ステロイド薬をドライアイ、ドライマウスに対して用いることは、それらの副作用の可能性を考えると、望ましくないでしょう。

腺外型に対しては、副腎皮質ステロイド薬や非ステロイド抗炎症薬を
 腺外の炎症症状については、その種類に応じて、副腎皮質ステロイド薬や非ステロイド抗炎症薬を用います。場合によっては、機能が低下した臓器(たとえば甲状腺機能低下症、腎性尿崩症(じんせいにょうほうしょう))に特有の治療も必要になります。

(1)Aragona P, Stilo A, Ferreri F, Mobrici M. Effects of the topical treatment with NSAIDs on corneal sensitivity and ocular surface of Sjögren's syndrome patients. Eye (Lond). 2005 May;19(5):535-9.
(2)Hong S, Kim T, Chung SH, Kim EK, Seo KY. urrence after topical nonpreserved methylprednisolone therapy for keratoconjunctivitis sicca in Sjögren's syndrome. J Ocul Pharmacol Ther. 2007 Feb;23(1):78-82.
(3)Tincani A, Andreoli L, Cavazzana I, et al. Novel aspects of Sjogren's syndrome in 2012. BMC Med. 2013 Apr 4;11:93.
(4)Ramos-Casals M, Brito-Zerón P, Sisó-Almirall A, Bosch X, Tzioufas AG. Topical and systemic medications for the treatment of primary Sjogren's syndrome. Nat Rev Rheumatol. 2012 May 1;8(7):399-411.
(5)Ramos-Casals M, Tzioufas AG, Stone JH, Sisó A, Bosch X. Treatment of primary Sjögren syndrome: a systematic review. JAMA. 2010 Jul 28;304(4):452-60.
(6)Tsifetaki N, Kitsos G, Paschides CA, Alamanos Y, Eftaxias V, Voulgari PV, Psilas K, Drosos AA. Oral pilocarpine for the treatment of ocular symptoms in patients with Sjögren's syndrome: a randomised 12 week controlled study. Ann Rheum Dis. 2003 Dec;62(12):1204-7.
(7)Willeke P, Schlüter B, Becker H, Schotte H, Domschke W, Gaubitz M. Mycophenolate sodium treatment in patients with primary Sjögren syndrome: a pilot trial. Arthritis Res Ther. 2007;9(6):R115.
(8)Pijpe J, Kalk WW, Bootsma H, Spijkervet FK, Kallenberg CG, Vissink A. Progression of salivary gland dysfunction in patients with Sjogren's syndrome. Ann Rheum Dis. 2007 Jan;66(1):107-12.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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