●シミ【しみ】
知恵蔵
シミ
(三浦志郎 資生堂ビューティーソリューション開発センター所長 / 2007年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
日本大百科全書(ニッポニカ)
シミ
しみ / 衣魚
紙魚
silverfish
昆虫綱シミ目シミ科Lepismatidaeの昆虫の総称、また一般的にヤマトシミなど室内にすむ種をさすことも多い。無翅(むし)昆虫類の一つで、成虫も原始的な幼虫形の体形のため、いわゆる有翅昆虫類の一般体形とはかなり異なる虫である。体長は8~11ミリメートル。体形は平たく細長、胸部はやや幅広く、その外方は丸みを帯びている。頭部には1対の鞭(むち)状の触角があり、複眼はあるが単眼は退化している。口は外口的で直翅目の口と似ているが、大あごは2節で甲殻類のそれに似ている。3対の脚(あし)はいずれも歩行肢(ほこうし)。尾端には中央の1本と左右1対の計3本のほとんど等長の尾毛があり、これがこの類の大きな特徴となっている。臀板(でんばん)が突き出していることもある。いずれも体全体銀灰色の鱗片(りんぺん)で覆われているので、いぶし銀のような輝きをもっている。行動は比較的敏捷(びんしょう)であるが、その生態は種によって異なっている。
ヤマトシミCtenolepisma villosaは、古来「衣魚」とか「紙魚」と書かれた虫のことで、古文書、古い和紙、書籍類をかじり、衣類をも食害する室内害虫である。また、この種は貯蔵穀倉に発生することもある。日本全土、中国、インドなどに分布する。マダラシミThermobia domesticaは全世界の熱帯に分布する。全体が白く、灰褐色の鱗(うろこ)が混ざり、単色でないのでこの名があるが、ヨーロッパやアメリカでは台所や調理場の害虫として嫌われる。セイヨウシミLepisma saccharinaは、近年東京や札幌などの大都市で発見されているが、野外の樹皮下で得られることもある。このほか生態の変わっているものにセトシミHeterolepisma disparやクボタアリシミAtelura kubotaiがある。前者は和歌山県瀬戸の海岸のスレート粘板岩間にすみ、後者は八丈島から最初得られ、アリの巣中にアリと共生する種である。
[山崎柄根]
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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