●シュリーマン
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
シュリーマン
Schliemann, Heinrich
[没]1890.12.26. ナポリ
ドイツの考古学者。貧しい牧師の家に生れ,店員,商会の書記などの職業を経たのち,ロシアで実業家として成功し,巨富を得た。 41歳で業界を引退し,世界漫遊旅行ののち,パリで考古学を学ぶ。少年時代に感動を受けたホメロスの物語が架空のものではないと信じ,トロイ発見のためトルコのヒッサリクを発掘し (1871~73) ,城壁,財宝などを発見して,トロイ文明の実在を証明した。さらに,ミケーネ (76) ,オルコメノス (80) ,ティリンス (84~85) をも発掘し,ミケーネ文明の存在を明らかにした。彼は近世最大の考古学者の一人であり,その発掘方法には批判される点もあるが,ギリシアの先史文明を考古学的に実証した功績はきわめて大きい。
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デジタル大辞泉
シュリーマン(Heinrich Schliemann)
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世界大百科事典 第2版
シュリーマン【Heinrich Schliemann】
ドイツの考古学者。ミュケナイ文明とミノス文明の発見者。北ドイツの貧しい牧師の子に生まれたが,少年時代にホメロスの物語に魅了されてトロイアの都の実在を信じ,その発掘を決意する。しかしその前半生は独立のための富の追求のうちに過ぎる。中学を終えると小売店の小僧,徒弟,下級船員,商社の社員などの職を転々としながら,少年時の夢を堅持し,また十数ヵ国語を習得する。ようやくロシアにおいて巨富を得ると実業の第一線から退き,自力による初志の実現に没入する。
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日本大百科全書(ニッポニカ)
シュリーマン
しゅりーまん
Heinrich Schliemann
(1822―1890)
古代のトロヤの遺跡の発見者として広く知られるドイツの考古学者。ドイツ北部、バルト海に面するメクレンブルク州で牧師の子として生まれる。幼時からホメロスの物語にあるトロヤの遺跡の実在を信じ、これの発見を生涯の目的とした。前半生はこのための資金づくりのためロシアに移住しインド藍(あい)の貿易商を営み巨利を得た。40歳代前半には事業をやめ、世界旅行をしている。このとき中国や日本にも立ち寄っている(1865)。ついでギリシア古代史の本格的な研究に入り、ギリシア、小アジアを訪れている(1868)。翌年、アテネ生まれでホメロスの詩編に精通するソフィア(1852―1932)と知り合い結婚する。
1870年に小アジア北西部のヒッサリクHissarlikの丘に初めて鍬(くわ)を入れ、引き続き73年まで行った発掘調査で、この地が古代のトロヤの遺丘であることを立証して大きな衝撃を世界に与えた。この調査は引き続きドイツのデルプフェルトの協力を得て、彼の没年まで続行された。トロヤの発掘と併行して、ギリシア本土でもミケナイ、ティリンスなどの発掘を行い、彼の生涯の目的であったホメロスの世界の実在性を立証した。晩年はアテネに邸宅を構え、古代の世界にふける優雅な生活を送ったが、1890年12月26日、ナポリで急死した。各遺跡の報告のほかに、自叙伝である『古代への情熱』がある。
[寺島孝一]
『村田数之亮訳『古代への情熱』(岩波文庫)』
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精選版 日本国語大辞典
シュリーマン
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旺文社世界史事典 三訂版
シュリーマン
Heinrich Schliemann
ドイツの考古学者
少年時代にホメロスの作品を愛読してトロヤの実在を信じ,実業家として成功し巨富を築いたのち,自費でトロヤの丘の発掘に着手(1870)した。晩年まで7層の住居跡を判別し,城壁・住居・財宝を発見。1876年からミケーネ・ティリンス・オルコメノスなどを発掘して,エーゲ文明研究の基礎を築いた。著書に,自伝『古代への情熱』などがある。
出典:旺文社世界史事典 三訂版
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