@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

ジェンクス【じぇんくす】

日本大百科全書(ニッポニカ)

ジェンクス
じぇんくす
Charles Jencks
(1939―2019)

アメリカの建築評論家。ボルティモア生まれ。ハーバード大学で英文学と建築学を専攻、1965年同大学GSD(大学院大学デザイン・コース)修了。その後イギリスに渡り、ロンドン大学の建築史家レイナー・バンハムReiner Banham(1922―1988)に師事し、1970年建築史の博士号を取得。以後ロンドンのAAスクール(Architectural Association School)などで教鞭をとるかたわら、『アーキテクチュラル・デザイン』Architectural Design誌などで評論を執筆し、現代建築に関する多くの著作を刊行した。

 ジェンクスは、建築論に記号論を導入しながら、空間至上主義の近代建築に代わるポスト・モダンの建築を積極的に擁護した。1972年、画一的な近代建築を批判し、その場で即興的で多様な方法をとるアドホック主義を唱える。博士論文をもとに執筆した著書『現代建築講義』Modern Movements in Architecture(1973)では、建築の近現代史を時系列による単一の歴史ではなく、不連続な複数の運動の系列として描く。その結果、論理主義や行動主義など、六つの潮流が並列する歴史観が提示された。

 1977年に発表した代表作『ポスト・モダニズムの建築言語』The Language of Post-Modern Architectureは、ポスト・モダニズムという言葉を広く世に知らしめた。ここでジェンクスは、ミノル・ヤマサキ設計のプルーイット・アイゴー団地(1955、セントルイス)が爆破された1972年7月15日にモダニズム建築が死亡したと宣言し、ミース・ファン・デル・ローエなどにみられる一義的で排他的な近代建築を徹底的に攻撃した。他方、複数の意味を発生させる、多義的で包括的なポスト・モダン建築の重要性を説き、ロバート・ベンチューリらの『ラスベガス』Learning from Las Vegas(1972)と同様、大衆的なデザインを評価したことが特徴である。

 1980年代には、テクノロジーを用いるハイテク風のデザインに対して、レイト・モダニズムという言葉を与えた。1990年代には、ネオ・モダニズムという言葉によって、建築におけるディコンストラクティビズム(脱構築主義)的な傾向を説明した。また『複雑系の建築言語』The Architecture of the Jumping Universe(1995)を刊行し、カオスや複雑系などの現代科学の用語を援用しつつ、不定形の有機的な形態に理論的な根拠を与えている。ジェンクスはジャーナリスティックに活動し、建築の動向を整理する多くのキーワードを提示した。しかしながら、その議論が必ずしも精緻ではなかったとの批判もある。そのほかの著書に『ビザール・アーキテクチャー』Bizarre Architecture(1979)、『無限の空間の王たち』Kings of Infinite Space(1983)、『ヘテロポリス』Heteropolis(1993)、『ポスト・モダニズムとは何か』What is Post-Modernism?(1996)などがある。

[五十嵐太郎]

『黒川紀章訳『現代建築講義』(1976・彰国社)』『竹山実訳『ポスト・モダニズムの建築言語』(1978・エー・アンド・ユー)』『Bizarre Architecture (1979, Academy Editions, London)』『Late-Modern Architecture and Other Essays (1980, Academy Editions, London)』『Kings of Infinite Space; Frank Lloyd Wright & Michael Graves (1983, Academy Editions, London)』『Post-Modernism; The New Classicism in Art and Architecture (1987, Rizzoli, New York)』『The New Moderns; From Late to Neo-Modernism (1990, Rizzoli, New York)』『Heteropolis; Los Angeles, the Riots and the Strange Beauty of Hetero (1993, Academy Editions, London)』『What is Post-Modernism? (1996, Academy Editions, London)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

367日誕生日大事典

ジェンクス
生年月日:1861年2月20日
イギリスの法学者,政治学者
1939年没

出典:日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」
(C) Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

ジェンクス」の用語解説はコトバンクが提供しています。

ジェンクスの関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation