●ジョルジョーネ
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ジョルジョーネ
Giorgione
[没]1510. ベネチア
イタリアの画家。別名 Giorgio Barbarelli。ジョバンニ・ベリーニの弟子。ベネチアにおける盛期ルネサンス様式の創始者。ただし生涯については不明な点が多く,確証ある作品も少い。主として個人の収集家のために油絵を制作。 15世紀の線的様式を脱して精妙な明暗表現を確立し,自然と人間が調和的に融合した詩的空間を創造。同時代人,特にティツィアーノおよび後世の画家に与えた影響が大きい。作品は『カステルフランコの聖母』 (1505頃,サン・リベラーレ大聖堂) ,『嵐』 (05頃,ベネチア・アカデミア美術館) ,『3人の哲学者』 (10頃,ウィーン美術史美術館) ,風景はティツィアーノが描いたといわれる『眠れるビーナス』 (10頃,ドレスデン国立絵画館) など。
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デジタル大辞泉
ジョルジョーネ(Giorgione)
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世界大百科事典 第2版
ジョルジョーネ【Giorgione】
イタリアの画家で,ベネチア盛期ルネサンスの代表的巨匠。本名ジョルジョ・ダ・カステルフランコGiorgio da Castelfranco。生涯および作品についての資料が乏しく,そのため真作決定,年代決定さらにその主題の図像学的意味の解明がはなはだ困難であり,その作品の芸術的価値ならびにその影響力については論議の余地がないとはいえ,美術史上もっとも謎の多い作家とされている。その色彩と明暗の諧調の微妙さはバザーリの絶賛するところで,明らかに師のジョバンニ・ベリーニの色彩美と,レオナルド・ダ・ビンチのスフマートの影響がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ)
ジョルジョーネ
じょるじょーね
Giorgione
(1477/78―1510)
イタリア盛期ルネサンスのベネチアの画家。ジョルジョーネは通称。正式名はジョルジオ・ダ・カステルフランコGiorgio da Castelfrancoで、北イタリアの小村カステルフランコ・ベネトに生まれる。若くして没したこの画家は、その生涯についても作品の帰属についても未解決の問題を多く残している。1495年ごろベネチアに出て、まずジョバンニ・ベッリーニのもとで修業するが、ひとり立ちしたあとで彼が油彩の小品をよく描いたのは、ベネチア出身でなかった彼に聖堂の仕事が希望どおりに提供されなかったためといわれる。美術史上とくに注目されるのは、風景に人物を配した2点の作品である。そのうちの1点『嵐(あらし)』(ベネチア、アカデミア美術館)は、前景に牧人の家族らしい点景人物を据えた純然たる風景画であるが、鮮やかな色彩の自然描写に嵐の到来を暗示する雰囲気がよく示されている。もう1点の『田園の合奏』(パリ、ルーブル美術館)は、着衣の男子2人と裸婦2人を自然の環境に組み入れたもので、穏やかな光を受けた人体の柔らかな輪郭が、背景の色彩によく調和している。1508年に彼がフォンダコ・ディ・テデスキ(在ベネチアのドイツ人商館)の正面に壁画を制作したことは記録からも立証され、退色した断片も残っていて、神話上の人物像の描かれたことは推測できるが、その主題は不明である。出身地カステルフランコの大聖堂に制作した祭壇画『聖母子と二聖者』には、かつて師事したベッリーニの後期の画風の影響が明瞭(めいりょう)であり、ジョルジョーネの初期の作品と推定できる。『三人の哲学者』(ウィーン美術史博物館)は、幼児キリスト礼拝のためベツレヘムへ向かう3人のマギが、星の出るのを待つ場面であるが、点景人物と風景との配合に一段の進歩が認められる。1510年に疫病で倒れたジョルジョーネが未完のまま残した前記『田園の合奏』や、『眠れるビーナス』(ドレスデン国立絵画館)その他の作品がティツィアーノやピオンボによって完成されているため、真贋(しんがん)、帰属にかかわる論議は依然終わっていない。
[濱谷勝也]
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精選版 日本国語大辞典
ジョルジョーネ
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旺文社世界史事典 三訂版
ジョルジョーネ
Giorgioneo
本名Giorgio Barbarelli
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執筆者一覧(50音順)
小豆畑和之 石井栄二 今泉博 仮屋園巌 津野田興一 三木健詞
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