●スイレン
栄養・生化学辞典
スイレン
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世界大百科事典 第2版
スイレン【water lily】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
スイレン
すいれん / 睡蓮
water lily
[学] Nymphaea
スイレン科(APG分類:スイレン科)スイレン属の水生植物。学名はギリシア・ローマ神話にある女神ニンフに由来する。地下根茎は太く、ワサビ状で水中の地面をはい、太い根を多数地中に伸ばす。葉は光沢があり全縁、長い葉柄があり、通常は水面に浮かぶ。気孔は葉の上面に多い。花期は4月中旬~9月上旬、花は4枚の萼片(がくへん)に包まれ、八重咲きの花弁の中心に多数の雄しべがある。花弁は萼片とともに十文字に朝夕開閉する。北半球温帯および熱帯に約40種分布し、現在の園芸種はこれらの種類の交雑により改良、作出された。
温帯産のスイレンは耐寒性が強く、花色が赤、桃、白、黄色などの品種があり、ヒメスイレンなどごく小形な種類もある。日本には池や沼に野生するヒツジグサ1種が自生する。
熱帯産のスイレンは一般にネッタイスイレンとよばれ、温帯種より大形で多くの品種がある。地下茎が塊茎状のものもあり、花色は豊富で、夜開性のものや芳香種もある。おもなものは、昼開性のエンチャントメント(桃色)、ピンクパール(桃色)、トレイル・ブレーザー(黄色)などや、夜開性のミセス・G・C・ヒチコック(淡桃色)、プライド・オブ・カリフォルニア(赤色)などである。花茎は水面上に20~30センチメートル伸び、茎頂に花をつける。
[神田敬二 2018年6月19日]
栽培
株分け、分球によって繁殖する。植え付けは温帯種は3月下旬~4月上旬で、熱帯種は水温の高まるのを待ち、1か月遅れとし、成長点の新芽の発芽部が出る程度に植える。用土は粘質の沖積土がよく、直接池や水槽などに植える場合もあるが、鉢植えにして鉢ごと沈めておくほうがあとの管理がしやすい。栽培場所は十分に日が当たらないと花芽の着生が悪くなる。水深は10~20センチメートルとするが、植え付け時は浅水にしないと水温が下がり、花つきが悪くなる。元肥は油かす2、骨粉1、藁(わら)灰1の割合に混ぜ、植え付けの20日以上前に用土の3%ほどを混入し、土となじませておく。追肥は生育時に2、3回煮干しを土中に差し込む。夏は葉が茂り、枯れ葉が出るので傷んだ葉を除去する。熱帯種は冬は掘り上げ、まとめて砂植えにし、水槽などに入れ室内に保存する。
[神田敬二 2018年6月19日]
文化史
スイレンは古代エジプトで神聖視され、スイレンの花冠をかぶったオシリスの神は復活のシンボルであった。古代エジプトの聖なる色をした青いスイレンは第4王朝(前2600~前2450)の神への捧(ささ)げ物のなかに描かれ、第19王朝のラムセス2世(在位前1250~前1235)の棺からは、50センチメートルの花茎のついた青いスイレンと、花冠や花輪に使われた多数の白いスイレンがみいだされた。日常の生活でも、水鉢に花がいけられ、女性は渡されたスイレンの花を手にして宴席に臨んだ。スイレンは睡蓮(すいれん)の意味で、朝開花し、午後に花を閉じるのを、睡(ねむ)ると見立てて名づけられたが、その開閉時間は品種によってまちまちである。日本に自生するヒツジグサは未(ひつじ)の刻(午後1~3時)に花を開き、夕方の5~6時に花を閉じる。
[湯浅浩史 2018年6月19日]
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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