●ソフィスト
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ソフィスト
sophistēs; sophists
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デジタル大辞泉
ソフィスト(sophist)
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世界大百科事典 第2版
ソフィスト【sophist】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
ソフィスト
そふぃすと
sophistēs ギリシア語
sophist 英語
紀元前5世紀なかばごろから前4世紀にかけてギリシアで活躍した知識人たちの呼び名。多くは地方ポリス(都市国家)の出身者で、アテネほかのポリスを巡り、弁論術を中心にさまざまの専門的知識を教授することを職業とした。アブデラのプロタゴラス、レオンティノイのゴルギアス、ケオスのプロディコス、エリスのヒッピアスらが有名である。
民主政のアテネでは、議会や法廷での弁論に優れていることが、政界での、つまり市民としての成功を意味した。ソフィストたちは時代の要求にこたえ、多額の謝礼と引き換えに富家の子弟に演説や論争の技術を授けた。講義は作文修辞の法のみならず、法律道徳論、文明論などの実質的思想にも及んだ。彼らが徹底的な形で示した言論の魅力は知的な青年たちをとりこにしたが、やがて保守的市民から過激な危険思想家と目されるようになる。ソクラテスの受難も、ソフィストと混同されて市民の反感を買ったことが一因であった。
ソフィストの思想のうち、プロタゴラスの「人間尺度命題」は人間中心主義、主観主義、相対主義の表明とみられ、ゴルギアスの「非存在の論」は知識否定論として、またトラシュマコスの「正義とは強者の利益なり」という説や、アンティフォン、ヒッピアスらの法(ノモス)と自然(ピュシス)の分離論は法や道徳に対する挑戦とみなすことができる。しかし他面では、ゴルギアスの修辞学やプロディコスの類義語用法のように、それ自体としては単に言論の手段を提供するにすぎなかったものが、アテネ市民の野心や欲望と結び付いて、このような思想になったともいえよう。
哲学者プラトンはソフィストたちの名を冠した一連の作品を著し、ソクラテスと真理のために、これらの思想と対決しその虚偽を暴いた。個人と国家のために善を図り言論と行為とにもっとも有能有力な者となる道を教授するというのがソフィストたちの自称であったが、彼らが実際に教えたものは、善について無知でありながら優れた人間であると思わせる方法であり、事の真偽や正邪を問わず、ただ大衆を扇動して論敵に勝つための技術であった。
ソフィストの語はこうして、詭弁(きべん)の徒を意味することとなり詭弁学派ともいわれた。ただし、事態の裏面をみるならば、ソクラテスとプラトンの哲学はソフィストたちの恐るべき論理から生まれたとも考えられ、その意味で彼らの哲学史上の意義がしばしば再評価される。
[田中享英]
『山本光雄編・訳『初期ギリシア哲学者断片集』(1958・岩波書店)』▽『田中美知太郎著『ソフィスト』(講談社学術文庫)』
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精選版 日本国語大辞典
ソフィスト
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旺文社世界史事典 三訂版
ソフィスト
Sophist
原語はソフィステス(Sophistes)で,「賢い人」の意。民主政の完成を背景にイオニアの自然哲学に対立。考察の対象を自然から人間に移し,ポリスを遍歴 (へんれき) して教授した。プロタゴラス・ゴルギアスらが代表者で,相対主義・懐疑主義の立場から客観的真理の存在を否定し,伝統を批判して啓蒙的役割を果たした。ソクラテスはこうした相対主義の批判者として登場。
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