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ゾラ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ゾラ
Zola, Émile Édouard Charles Antoine
[生]1840.4.2. パリ
[没]1902.9.29. パリ
フランスの小説家。イタリア出身のエンジニアであった父が早世したため,家族は貧困に苦しんだ。 1859年エコール・ポリテクニク (高等理工科学校) 進学に失敗。一時出版社に勤めたのち,67年『テレーズ・ラカン』 Thérèse Raquinを発表,以後写実主義を発展させ,実験科学の方法を文学に取入れることにより,社会のあらゆる分野における人間の姿を探究しようとして自然主義を唱え,その指導者となり,「ルーゴン=マカール叢書」と呼ばれる作品群を生み出した。その文学理論には無理があるが,作品は具体的で鋭い観察に富み,力強い緊密な文体で個人,群衆,社会の動きを活写している。またドレフュス事件におけるように,一貫して反体制の姿勢を堅持した文学者でもある。主著居酒屋』L'Assommoir (1877) ,『ナナNana (80) ,『ジェルミナール』 Germinal (85) ,評論実験小説論』 Le Roman expérimental (80) など。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ゾラ(Émile Zola)
[1840~1902]フランスの小説家。「実験小説論」を著し、自然主義文学の方法を唱道。その実践として「居酒屋」「ナナ」「大地」などの作品を含む「ルーゴン‐マッカール叢書」20巻を発表した。後年ドレフュス事件を弁護。→実験小説

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

ゾラ【Émile Zola】
1840‐1902
フランスの自然主義の小説家。イタリア人を父としてパリで生まれた。7歳で父を失い,ひとりっ子として母と祖母の手で育てられる。幼少期を南フランスのエクスで過ごし,そこの中学でポール・セザンヌと友人になった。18歳でパリへ出て,苦学しながら大学受験の勉強をするが,2度失敗し,大学をあきらめて就職する。22歳のときアシェット書店に勤め,そこでテーヌやサント・ブーブら文壇の著名人を知った。たいへんな自信家で,このころから小説や評論を書き始め,また美術批評の筆も執り,マネを擁護した。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

ゾラ
ぞら
Émile Zola
(1840―1902)

自然主義文学を代表するフランスの作家。イタリア人の土木技師を父として4月2日パリに生まれ、幼少年期を南仏エクスで過ごす。中学時代の友人に画家セザンヌがいる。ゾラ7歳のとき父が急死し一家は困窮、パリに出て高校に入るが、バカロレア(大学入学資格試験)に失敗し学業を放棄、詩人を夢みつつ裏町を転々とする。1862年よりアシェット書店に勤め、サント・ブーブ、テーヌらと面識を得る。このころから書評、美術評を手がけ、マネら印象派の画家たちを擁護して論陣を張る。また『ニノンに与えるコント』(1864)により小説家としての力量を認められた。続く『テレーズ・ラカン』(1867)で作風を固め、『ルーゴン・マッカール双書』(1871~93)、『三都市』(1894~96)、『四福音(ふくいん)書』(1899~1902)を生涯かけて精力的に書き続けた。

[工藤庸子]

『ルーゴン・マッカール双書』

「第二帝政下における一家族の自然的、社会的歴史」の副題がある『ルーゴン・マッカール双書』全20巻は、バルザックの『人間喜劇』の向こうを張る大作で、作者が育った町エクスとおぼしきプラッサンに住むアデライード・フークがルーゴンという農夫、ついで密輸業者マッカールとの間にもうけた子供たちとその子孫が、農民、労働者、商人、娼婦(しょうふ)、画家、司祭、実業家など、さまざまな職業につき、社会のあらゆる階層へ分岐してゆくさまが語られる。なかでも名作の定評があるのは、洗濯女ジェルベーズの不幸な生涯を語る『居酒屋』(1877)と、その娘アンナが高級娼婦となる物語『ナナ』(1880)。さらに炭鉱労働者エティエンヌがストライキを指揮する『ジェルミナール』(1885)、セザンヌがモデルといわれる画家クロードが己の才能に失望して自殺する『制作』(1886)、異常性格の機関士ジャックが衝動的に殺人を犯す『獣人』(1890)もよく知られる。これら三作の主人公たちもすべて、ジェルベーズの産んだ息子という設定である。

 バルザックはもっぱら、強烈な情念につき動かされる人間の例外的人生を描いたが、ゾラは、向上の意欲をもちながら挫折(ざせつ)を繰り返し悲劇的な結末をたどる平凡な庶民、とくに下層階級の生活を赤裸々に描くとき、小説家としての真価を発揮した。19世紀後半ヨーロッパで頂点に達した科学主義、実証主義の申し子ともいえる作家で、人間は生理的、遺伝的素質と環境によって形成されると信じていた。バルザックは、個性的、典型的人物をひたすら創造したが、ゾラは、もって生まれた生理的特質、つまり体質(タンペラマン)に条件づけられた人間が、社会環境のなかでいかに行動するかを見極め、これを客観的に記述することが小説家の使命と考えた。クロード・ベルナールの実験生理学に学んだ『実験小説論』(1880)、ゾラが先駆者と仰ぐフロベールらを論じる『自然主義作家論』(1881)などの論著は、こうした小説理論の展開であり、理論自体は今日の文学に適用できないが、ゾラの芸術を生んだ時代を物語る資料として一読に値する。

 小説を書き、評論活動に取り組むと同時に、メダンの別荘で若き作家たちと文学を語り合い、ユイスマンス、モーパッサンらの短編を集めた『メダンの夕べ』(1880)を出版、自然主義の黄金時代を築いた。しかしその間にも、ゾラの文学を猥雑(わいざつ)、露骨とする誹謗(ひぼう)中傷は絶えず、『大地』(1887)が刊行されると、「五人宣言」が出され、若手文学者たちまでがメダンのグループから離反した。

[工藤庸子]

ドレフュス事件とゾラ

その後ゾラ自身、しだいに理想主義的、人道主義的傾向を強め、ドレフュス事件では、ドレフュス無罪を主張する再審派知識人の代表として活躍。1898年、大統領にあてた公開状『われ弾劾す』を『オーロール』紙に掲載。さらに「ゾラ裁判」で政府高官、軍部を侮辱した罪に問われ、イギリス亡命を余儀なくされた。翌年帰国後は、小説執筆のかたわら、写真機に熱中し、またドレフュス事件関係の評論を集め『真実は前進する』(1901)と題して刊行。1902年9月29日、パリ、ブリュッセル街の自宅で一酸化炭素中毒のため死去。他殺説もある。19世紀最大のベストセラー作家ゾラは、評論家、知識人としても大きな発言力をもったが、真骨頂は、豊饒(ほうじょう)な想像力とほとばしるようなことばで構築する小説の世界にある。

[工藤庸子]

『田辺貞之助訳『世界文学大系46 ゾラ』(1974・筑摩書房)』『篠田浩一郎訳『テレーズ・ラカン』(講談社文庫)』『安士正夫訳『ジェルミナール』全3冊(岩波文庫)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ゾラ
(Emile Zola エミール━) フランスの小説家。自然主義文学の確立者。実証主義的自然科学の影響下に出発、人間を社会環境の中におき、群衆の中の一人として描き出した。晩年、ドレフュス事件での活躍は有名。代表作は「居酒屋」「ジェルミナール」などを含む「ルーゴン・マッカール双書」。(一八四〇‐一九〇二

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旺文社世界史事典 三訂版

ゾラ
Emile Zola
1840〜1902
フランス自然主義の代表的小説家
写実主義に科学的方法を導入し,第二帝政下にある一家族の歴史を遺伝と環境の両面から精細にたどる『ルゴン−マカール叢書 (そうしよ) 』20巻(『居酒屋』『ナナ』を含む)などを書いた。社会正義にもえ,ドレフュス事件においてドレフュス弁護派の代表者となった。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
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