●タンポポ
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
タンポポ
Taraxacum; dandelion
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
朝日新聞掲載「キーワード」
タンポポ
(2010-05-19 朝日新聞 夕刊 1社会)
出典:朝日新聞掲載「キーワード」
食の医学館
タンポポ
《栄養と働き&調理のポイント》
西洋では第一級の薬草とされているタンポポ。わが国には西洋種、在来種を含めて30種近くがあります。黄色い花が上を向くのが在来種で、花が外側に反り返るのが西洋種です。
○栄養成分としての働き
薬効成分としては、カリウムを多く含み、利尿作用があるので、ヨーロッパでは根を干したタンポポのハーブティーは、尿路結石や母乳の分泌促進(ぶんぴつそくしん)によいとされています。
春の若葉は、水にさらしてアクを抜き、サラダ、スパゲッティ、つくだ煮、漬けもの、油炒(あぶらいた)めなどにするとおいしく食べられます。
○漢方的な働き
乾燥させた全草(ぜんそう)を煎(せん)じて飲むと、習慣性の便秘(べんぴ)や消化不良に効くといわれています。そのほか、母乳の出をよくする、胃の調子をよくする、かぜによる熱を下げるといった効用があります。
最近市販されるようになったタンポポコーヒーは、自宅で簡単につくれます。タンポポの根を乾燥させ、よく炒(い)ってミキサーなどで粉にすればできあがり。ブラックでもいいですが、にがいのが苦手な人ははちみつや黒砂糖を入れて飲んでもいいでしょう。不眠症に効果があります。
出典:小学館
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。食品は薬品ではありません。病気にかかったら、かならず医師の診察を受けてください。
デジタル大辞泉プラス
タンポポ
出典:小学館
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
世界大百科事典 第2版
タンポポ【Taraxacum platycarpum Dahlst.】
出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.
日本大百科全書(ニッポニカ)
タンポポ
たんぽぽ
[学] Taraxacum platycarpum Dahlst.
キク科の多年草。葉は根生してロゼット状をなし、さまざまな形に羽裂する。切ると乳液が出る。4~5月、中空の花茎の先に径3.5~5センチメートルと大きな黄色の頭花を1個つける。頭花は舌状花のみからなり、朝開き夕方閉じる。総包は線形の内総包片と卵形から線状披針(ひしん)形の外総包片からなり、外総包片は普通圧着する(セイヨウタンポポでは反曲)。総包片の先端には角(つの)状の突起がある。花期後、花茎は地をはい、果実が熟すとふたたび直立し、パラシュート形の冠毛のある痩果(そうか)が風によって散布される。タンポポ属の多くの種は倍数体で無融合生殖を行うが、本種は二倍体(染色体数2n=16)で有性生殖を行い、原始的とみなされる。自家不和合性が強く、同株の花粉による結実はしない。
人里の道端や土手などに生育し、東北地方南部から北九州に分布する。頭花の形態に地理的変異があり、それぞれの地域でカンサイタンポポ(近畿地方から北九州)、トウカイタンポポ(静岡県)、シナノタンポポ(甲信越地方)、カントウタンポポ(関東地方)などとよばれる。都市化の進行に伴い減少し、逆に帰化種のセイヨウタンポポdandelionが増加しつつあり、環境指標植物として注目されている。
タンポポ属は北半球の温帯から寒帯にかけて約2000種あり、日本にはほかにエゾタンポポ、ミヤマタンポポ、シロバナタンポポなど約10種が自生する。シロバナタンポポは白色の頭花をつける点で特異な種で、人里に生え、関東地方以西の本州から沖縄、とくに中国、四国、九州地方に多い。五倍体(2n=40)で無融合生殖を行い、全体にタンポポより大形になる。
[森田龍義]
文化史
タンポポは人里や野にありふれた草だが、『万葉集』や平安文学に記述はない。『本草和名(ほんぞうわみょう)』(918ころ)や『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』(931~938ころ)には、タンポポの漢名の蒲公英に、タナ(多奈、太奈)とフチナ(布知奈)の和名をあてる。タナは田菜で、タンポポの名は、タナがタンに転じて、それに花後種子の冠毛(綿毛)がほほける意味のホホが加わり、生じたとする見方がある(『倭訓栞(わくんのしおり)』『大言海』)。これに対し、タナはハハコグサかタビラコとの説もある。タンポポの花茎を短く切り、両端を裂いて、水に浸(つ)けると、放射状に両端が反り返り、鼓(つづみ)の形に似る。柳田国男(やなぎたくにお)や中村浩(ひろし)は、そのツヅミグサから鼓を打つ音(タンポンポン)と結び付いて、タンポポの名が成立したと説いた。タンポポの名は江戸時代の文献からみえ、いけ花にも使われた。『抛入花伝書(なげいればなでんしょ)』(1684)には、根を焦がさぬもののなかに含め、花色に黄と白をあげる。また、江戸時代には種子を播(ま)き、葉をゆがいて、ひたし物や和(あ)え物、汁の実などにして食べた。セイヨウタンポポはフランスなどでは現在も野菜で、改良された品種がある。セイヨウタンポポは明治初期に札幌農学校のアメリカ人教師ブルックスが種子を導入し、それが北海道に広がった。さらに明治10年代には東京にもフランスから野菜として輸入された。中国では唐代にすでに催乳や健胃などの薬に使われている。タンポポの漢名の蒲公英は字音の似た僕公罌の転訛(てんか)とされ、罌(オウ)はケシで、発音が英の呉音のオウと同じく、傷つければ乳液が出ることもタンポポと共通する。ヨーロッパでは花や根を強肝、利尿、強壮などの薬用に、根を炒(い)って、粉にしたのをコーヒーの代用に使った。綿毛を、愛される・愛されないと、交互に吹いて、どちらが残るかで恋を占う遊びがヨーロッパにはある。中国では綿毛を詰めて枕(まくら)をつくった。
[湯浅浩史]
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
「タンポポ」の用語解説はコトバンクが提供しています。
●タンポポの関連情報
関連キーワード
| 雲間蒲公英| 関西蒲公英| 関東蒲公英| 高嶺蒲公英| 深山蒲公英| 西洋蒲公英| 太牟保々| 白花蒲公英| 白馬蒲公英| 八ヶ岳蒲公英|