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ダイナミック・プライシング【だいなみっくぷらいしんぐ】

日本大百科全書(ニッポニカ)

ダイナミック・プライシング
だいなみっくぷらいしんぐ
dynamic pricing

需給状況に応じて価格や料金を上げ下げし、需要を調整する経済的手法、あるいはその変動料金そのものをさすことば。一般に需要が集中する季節、曜日、時間帯に価格や料金を高くして需要を抑え、需要が減る季節、曜日、時間帯には安くして需要を喚起する手法をとる。「変動型料金」「価格変動設定」などともよばれる。航空・鉄道などの運賃、有料道路の料金、ホテルや旅館の宿泊料金、スポーツ施設や娯楽施設の利用料金などに広く適用されている。ものやサービスの供給者が価格や料金を変動させて需要を調整するデマンドレスポンスの一種でもある。

 欧米では電気料金への導入実験が進んでおり、アメリカのカリフォルニア州では2014年から、ダイナミック・プライシングの本格導入が始まる。日本でも東日本大震災後、原子力発電所の停止による電力不足を受け、電気料金への適用に関心が集まっている。2012年(平成24)に北九州市で電気料金のダイナミック・プライシング実験が始まり、夏場で9~13%、冬場で9~12%の節電効果をあげた。横浜市や愛知県豊田市などでも実証準備が進んでいるが、日本で電力のダイナミック・プライシングを実施するには構造改革特区の指定を受ける必要がある。なお電力小売りの自由化が実現すれば、電気料金にダイナミック・プライシングを適用できるようになり、省エネ型社会の実現に向け、暮らしや企業活動に少なからぬ影響が出るものとみられている。

 電気料金におけるダイナミック・プライシングはまず、需要に応じて季節別、曜日別、時間帯別などの基本料金(ベーシック・プライス)を決める。そのうえで、地域エネルギー管理システム(CEMS(セムス):community energy management system)が翌日の天候、気温、降水量、風力や、高校野球、オリンピックといったイベントの有無などを参考に、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー発電量と域内総需要を予測し、時間ごとに細かく変動させたリアルタイム・プライスを決める。さらに発電所事故など想定外のリスクが生じた際に、基本料金を大きく上下させる緊急料金(クリティカルピーク・プライス)を適用する。需給逼迫(ひっぱく)時に、節電した利用者に節電量に応じて料金を払い戻すピークタイム・リベートという手法をとる場合もある。各家庭や企業などには、電力消費を常時計測するスマートメーターを設置し、家庭用エネルギー管理システム(HEMS(ヘムス):home energy management system)やビルエネルギー管理システム(BEMS(ベムス):building energy management system)を使って、時間ごとに変動する電気料金情報を、家庭、事務所、工場などのテレビやタブレット型端末などへ通知する。電気料金へのダイナミック・プライシング導入に関しては、家庭ごとの電力消費情報などの把握が重要となるが、電力消費情報によって個人の生活状況が他者に知られてしまうのを防ぐために、個人情報の保護が課題になると指摘されている。

[編集部]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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