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テュードア【てゅーどあ】

日本大百科全書(ニッポニカ)

テュードア
てゅーどあ
David Tudor
(1926―1996)

アメリカのピアニスト、作曲家。フィラデルフィア生まれ。H・ウィリアム・ホークH. William Hawkeにオルガンと音楽理論を、イルマ・ウォルプ・ラーデマッヒャーIrma Wolpe Rademacher(1902―1984)にピアノ、ステファン・ウォルペStefan Wolpe(1902―1972)に作曲などを学ぶ。初めはオルガニストとして活動をしていたが、モートン・フェルドマンMorton Feldman(1926―1987)、ジョン・ケージらとの出会いにより、前衛ピアニストの先駆的存在として広く知られるようになる。またテュードアは、アール・ブラウンEarle Brown(1926―2002)、シルバノ・ブゾッティ、カールハインツ・シュトックハウゼン、クリスチャン・ウォルフChristian Wolff(1934― )、ラ・モンテ・ヤングなど多くの現代作曲家の作品の初演も行う。

 1950年、ブーレーズの『ピアノソナタNo. 2』をアメリカ初演。またこのころ、ケージとのつき合いが始まる。1952年、ウッドストックのマーベリック・コンサート・ホールでケージの『4分33秒』を初演する。ピアノの前に座ったテュードアは、4分33秒の間ピアノの前に普通に座り、開始と同時に鍵盤の蓋(ふた)を音がしないように閉め、それぞれの楽章の終わりごとに蓋を開けた。こうして、この作品が3楽章構成のため3回ピアノの蓋を開け閉めするだけで1音も鳴らさないこの演奏に、聴衆からはブーイングの嵐が起こった。この『4分33秒』は、さまざまな音楽の固定概念に疑問を投げかけ、その後1960年代の表現運動フルクサスなどに大きな影響を与えた。テュードアの初演があまりに有名になったため、この作品はピアノのための作品と思われがちだが、楽譜では何か特定の楽器を指定しているわけではない。また、同年ブラック・マウンテン・カレッジ(ケージ、マース・カニンガムらが教育にあたった実験的な芸術学校。ノース・カロライナ州アッシュビル)で行われた「ハプニング」にもピアニストとして参加。1953年からはマース・カニンガム舞踊団の作曲家、演奏家を務める。このころから徐々にピアニストとしての活動をやめ、電子音楽のライブ・パフォーマー、作曲家に転身する。テュードアの作品の多くは、光を使ったパフォーマンスや、舞踏、演劇、テレビ、映画など視覚的な分野と音楽を組み合わせたものである。

 また、ローウェル・クロスLowell Cross(1938― )やモリー・デービスMolly Davies、アンソニー・マーチンAnthony Martin、ロバート・ラウシェンバーグらとコラボレーションを行っている。クロスとのコラボレーションでは画像を生み出すために音を用いるものが多くみられ、チェス・ゲームにもとづくコンサート「集会」(1969~1977。ケージとマルセル・デュシャンの1968年のコンサートを発展させたもの)などがある。クロス、デビッド・バーマンDavid Behrman(1937― )、ゴードン・ムンマGordon Mumma(1935― )、テュードアらによって音は供給され、オーディオ・システム全体は、チェス盤を通って接続されており、駒が動くたびに入力と出力の関係が変化するようになっている。クロスとテュードアは、音と画像の同時的で相互依存的な構造を生み出す作品を数多く発表した。やはり視覚的な作品とテュードアの音楽を結びつけた『トーンバースト:マップス・アンド・フラグメント』(1995~1996)は、ビジュアル・アーティスト、ソフィア・オギエルスカSophia Ogielskaとの共同制作である。

 1992年のケージの死後、マース・カニンガム舞踊団の音楽ディレクターを引き継ぎ、同舞踊団のためにテュードアがつくった曲も多数ある。そのほかの代表的な作品には『レインフォレスト』Rainforest(1968)、『ウェザーリングズ』(1978)、『フラグメンツ』(1984)、『ファイブ・ストーン・ウィンド』(1988)、『ニューラル・ネットワーク・プラス』(1992)、ケージが最後に構想した作品『オーシャン』のためにつくられた『オーシャン・ダイアリー』の音響(1994)などがある。

[小沼純一]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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