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ディケンズ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ディケンズ
Dickens, Charles John Huffam
[生]1812.2.7. ハンプシャー,ポートシー
[没]1870.6.9. ケント,ギャッズヒル
イギリスの小説家。海軍下級官吏の父が破産したため,靴墨工場で働くなど,貧困生活を味わう。長じて速記記者となり,『ピクウィック・クラブ遺文録』 The Posthumous Papers of the Pickwick Club (1836~37) の成功によって一躍流行作家となった。豊かな才筆から自在に生れるユーモアとペーソス,弱者へのあたたかい同情を含んだ庶民性など,その独特の作風によって,イギリスの代表的な小説家と認められる。『オリバー・トゥイスト』 Oliver Twist (38) ,『骨董屋』 The Old Curiosity Shop (40~41) ,『クリスマス・カロル』A Christmas Carol (43) ,『デービッド・カパーフィールド』 David Copperfield (49~50) ,『荒涼館』 Bleak House (52~53) ,『二都物語』A Tale of Two Cities (59) ,『大いなる遺産』 Great Expectations (60~61) などの小説は,ときに戯画的,メロドラマ的であるが,深い社会的関心と豊かで自然な創作力を示している。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ディケンズ(Charles Dickens)
[1812~1870]英国の小説家ユーモアペーソスのある文体で下層市民の哀歓を描き、ビクトリア朝時代を代表する作家として名声を得た。作「オリバー=ツイスト」「クリスマス‐キャロル」「二都物語」など。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

ディケンズ【Charles Dickens】
1812‐70
イギリスの小説家。ビクトリア女王から貧しい庶民の子どもまでが愛読した,19世紀最大の国民的文豪であるばかりでなく,20世紀になっても各国語に翻訳されるうえに,ラジオドラマ,テレビドラマ,映画,ミュージカルなどのメディアにまで浸透している。 彼が死んだとき,ある子どもが〈今年からはサンタクロースが来ないんだね〉と言ったといわれる。とくに《クリスマス・キャロル》(1843)によって,ディケンズすなわちクリスマス精神という一般的評価が確立しており,彼は一人の人間として万人に愛され,伝説化していた。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ディケンズ【Charles Dickens】
1812~1870 イギリスの小説家。社会の下積みの人々の生活を哀歓をこめて描き、幾多の不朽の人物像を生み出す一方、世の不正・矛盾をユーモアを交えて批判した。代表作「オリバー=ツイスト」「クリスマスキャロル」「デビッド=カッパーフィールド」「二都物語」など。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

ディケンズ
でぃけんず
Charles John Huffam Dickens
(1812―1870)
イギリスの小説家。2月7日、海軍経理局勤務の下級官吏の長男として南イギリスの軍港ポーツマス郊外に生まれ、のちロンドンに移住した。父のジョンは好人物だが金に締まりがなく、借財の不払いで投獄されたこともある。そのためディケンズは少年時代から貧乏の苦しみをなめさせられ、学校にもほとんど通わせてもらえず、12歳から町工場に働きに出された。資本主義の勃興(ぼっこう)期にあった19世紀前半のイギリスの大都会では、繁栄の裏に恐ろしい貧困と非人道的な労働(年少者の酷使など)というひずみがみられた。こうした社会の矛盾、不正を肌で体験したディケンズは、貧乏の淵(ふち)から抜け出そうと自力で必死の努力を重ね、独学で勉強しながら15歳で弁護士事務所の下働き、翌年裁判所の速記者となり、やがて新聞記者となって議会の記事や、風俗の見聞スケッチを書くようになった。1833年に短編をある雑誌に投稿して採用されたのに力を得て、引き続き短編、小品などをあちこちの雑誌類に発表、これらを集めた『ボズのスケッチ集』が36年に出版されて、24歳の新進作家が華々しく文壇にデビューした。
 翌1837年に完結した長編小説『ピックウィック・ペーパーズ』は、4人(途中から5人)の人物が旅する先々で滑稽(こっけい)な事件を巻き起こすという単純な筋だが、その明るいユーモアで爆発的な人気をよび、次作『オリバー・トゥイスト』(1838)もベストセラーとなって、彼の作家的地位は確立した。その後イギリスとアメリカのあらゆる階層、年齢の読者からの声援にこたえて、『ニコラス・ニックルビー』(1838~39)、『骨董(こっとう)屋』(1840~41)、『バーナビー・ラッジ』(1841)、『クリスマス・キャロル』(1843)、『ドンビー父子』(1846~48)など、立て続けに長・中編を発表して文名は高まる一方であった。この高評の原因は、自らの体験で知った社会の下積み生活、その哀歓をリアルに描くとともに、世の不正と矛盾を勇敢に指摘し、しかもユーモアを交えながら批判したところにあった。事実、彼の小説の出現によって、年少者の虐待や裁判の非能率などが改められたほどである。
 1850年に完結した自伝的作品『デビッド・カパーフィールド』あたりから、作品の質がすこしずつ変わってきて、ディケンズ後期の特徴が顕著になってくる。次作『荒涼館』(1853)がそのよい例で、前期の作品のように1人の主人公の生い立ちや体験を中心に描くのではなく、かなり多くの人物群を中心に、社会の各層を広く見渡す、いわゆるパノラマ的社会小説に近くなってきた。作品のなかに立ちはだかる、個人の力ではついに改善しきれない社会の体制の壁を前にして、ディケンズ得意のユーモアもどこか苦々しい笑いに変わり、無力感、挫折(ざせつ)感が全編に漂うようになった。しかし創作力は依然として衰えず、工場ストライキを扱った『つらいご時世』(1854)、G・B・ショーによって「『資本論』よりも危険な書」と評された暗い社会小説『リトル・ドリット』(1855~57)、フランス革命を扱った『二都物語』(1859)、やや自伝的な『大いなる遺産』(1861)などの長編のほか、かなり多くの短編、随筆を書き、さらに雑誌の経営・編集、慈善事業への参加、素人(しろうと)演劇の上演、自作の公開朗読、各地への旅行と、休む暇のない精力的な活動が続いたために健康を損じたが、やめようとはしなかった。
 そのうえ58年には、20年以上連れ添い10人の子供を産んだ妻キャサリンと別居(性格があわないうえ、20歳そこそこの若い女優エレン・ターナンを愛人にもったためという。しかし世間の評判を気にして離婚はできず、愛人のこともひた隠しにしていた)するなど、精神的な苦労も重なり、70年6月9日、推理小説風の謎(なぞ)に満ちた『エドウィン・ドルードの謎』を未完成のまま世を去った。全世界、各階層の哀悼のなかで、文人最高の栄誉としてウェストミンスター寺院に葬られた。
 彼の小説は、一部からは読者に迎合した感傷的で低俗なものと非難されるが、人間味とユーモアに富む数々の登場人物は、永遠に忘れられない溌剌(はつらつ)さをもっており、死後1世紀を通じて各国語に翻訳されて、トルストイ、ドストエフスキーからカフカに至る崇拝者をもち、シェークスピアとともにイギリス文学を代表する作家と認められている。なお、ディケンズ・フェロウシップ日本支部が東京都世田谷(せたがや)区成城(せいじょう)の成城大学英文学研究室内に置かれている。[小池 滋]
『青木雄造・小池滋訳『世界文学大系29 荒涼館』(1969・筑摩書房) ▽小池滋訳『リトル・ドリット』(『世界文学全集33・34』1980・集英社) ▽海老池俊治著『ディケンズ』(1955・研究社出版) ▽フィールディング著、桜庭信之訳『ディケンズ』(1956・研究社出版) ▽小池滋著『ディケンズ』(1979・冬樹社)』

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精選版 日本国語大辞典

ディケンズ
(Charles Dickens チャールズ━) イギリスの小説家。隣人愛に根ざした目で社会の実情を洞察し、諷刺とペーソスをこめてさまざまな人間生活を描いて名声を博した。代表作は「クリスマス‐キャロル」「二都物語」。(一八一二‐七〇

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