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ナデシコ

日本大百科全書(ニッポニカ)

ナデシコ
なでしこ / 撫子
ナデシコ科の多年草であるカワラナデシコ、タカネナデシコなど、日本に自生するナデシコ属Dianthus植物の一般名。また、カーネーションを除くナデシコ属の園芸植物の総称名でもあり、セキチク、トコナツ、イセナデシコ、アメリカナデシコ(ビジョナデシコ)などを一般にナデシコとよぶことが多い。
 ナデシコ属は北半球を中心に世界に約300種分布する。多年生の草本が多い。葉は対生し細長く、萼(がく)は筒を形成し、基部に包葉がある。花弁は桃色で、先は細かく切れ込むものが多い。日本には4種分布する。日当りのよい山野に生育し、夏から秋にかけて花を開くカワラナデシコとその基本種エゾカワラナデシコは古くから親しまれ、秋の七草の一つに数えられている。なお、かつてカワラナデシコは、中国原産のセキチクがカラナデシコ(唐撫子)とよばれたのに対し、ヤマトナデシコ(大和撫子)とよばれた。
 中国ではセキチクとエゾカワラナデシコを瞿麦(くばく)と称し、地上部を利尿剤に、根を抗腫瘍(しゅよう)薬として用いるといわれる。[三木栄二]

文化史

ナデシコの名は、『出雲国風土記(いずものくにふどき)』(733)に、仁多郡の諸山野に生える薬用草木の一つとして初見する。続く『万葉集』では美の対象にされ、ナデシコの歌26首中8首に愛(いと)しい女性のおもかげを重ね、大和撫子(やまとなでしこ)の芽生えがうかがえるが、一方で、男性にも例えられている。また、9首はやど、播(ま)くなどの表現が伴い、野のナデシコを詠んだ4首よりも多く、当時すでによく栽培されていたことがわかる。さらに、大伴家持(おおとものやかもち)は「わがやどに播きしなでしこいつしかも花に咲きなむなそへつつ見む」「大君の(略)なでしこをやどに播き生(お)ほし(略)」と、種子から育てたナデシコを詠む。これは日本で園芸植物を播種(はしゅ)して育てた最初の記録である。『万葉集』には石竹の文字もみえるが、「向ひの野辺の石竹」と歌われているので、中国原産のセキチクとは考えにくく、まだ、日本のカワラナデシコとセキチクの区別ははっきりされていない。平安時代には女流作家の清少納言(せいしょうなごん)、紫式部(むらさきしきぶ)、和泉(いずみ)式部はいずれもカラナデシコ(セキチク)と、ヤマトナデシコ(カワラナデシコ)を見分けた。ナデシコの栽培品種が分化するのは江戸時代で、『花壇地錦抄(ちきんしょう)』(1695)はナデシコ10品種とセキチク7品種、ほかにカーネーション1品種と別種のフジナデシコをあげる。15年後の『増補地錦抄』はナデシコ14品種とセキチク3品種を追加した。松阪のイセナデシコも江戸時代に誕生している。[湯浅浩史]
 カワラナデシコは、山上憶良(やまのうえのおくら)が「萩(はぎ)の花尾花葛(くず)花撫子(なでしこ)の花女郎花(をみなへし)また藤袴(ふぢばかま)朝顔の花」(巻8)と秋の七草の一つとして詠んだように、早く『万葉集』から数多く詠まれている。「とこなつ(常夏)」ともよばれ、「塵(ちり)をだに据(す)ゑじとぞ思ふ咲きしより妹(いも)と我が寝(ぬ)るとこなつの花」(『古今集』夏・凡河内躬恒(おおしこうちのみつね))などと詠まれている。『源氏物語』では、「常夏」を妻や愛人、「撫子」を幼児の象徴として、それぞれ使い分けして用いている。季題は、「石竹」「常夏」が夏、「撫子」が秋。[小町谷照彦]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ナデシコ
カワラナデシコ(河原撫子)」のページをご覧ください

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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