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ナンカロウ【なんかろう】

日本大百科全書(ニッポニカ)

ナンカロウ
なんかろう
Conlon Nancarrow
(1912―1997)

アメリカの作曲家。アーカンソー州西端テクサーカナで生まれる。ナンカロウの家庭にプレイヤー・ピアノ(ロール紙の穴を読みとり、音を再生する自動演奏ピアノ)があり、それがナンカロウの将来を決めた。6歳でピアノを学び始めるが、途中でトランペットに代え、街のジャズ・バンドでトランペットを吹き始める。

 1930年よりシンシナティ音楽院で学び、作曲家を志した。1934年にボストンに移り、ニコラス・スロニムスキーNicholas Slonimsky(1894―1995)やウォルター・ピストン、ロジャー・セッションズといった作曲家たちに個人指導を受ける。

 1937年スペイン内戦で、エイブラハム・リンカーン部隊(反ファシズムの闘いのために組織されたアメリカ人義勇兵による部隊)に加わってスペインに渡りフランコ政権と闘う。そのためコミュニストだったとして、アメリカに帰国後3年経った1940年、アメリカ政府にパスポート申請を却下され、これを機にメキシコに亡命、メキシコ市に住む。

 1947年父親の遺産を受け取るためニューヨークに戻り、その遺産でプレイヤー・ピアノを購入。そのとき、ジョン・ケージのプリペアド・ピアノ(グランドピアノの弦にコルクやねじをはさみ、打楽器的な音色を出す)のための『ソナタとインタールード』(1946~1948)の演奏を聴く。1948年メキシコへ戻り、このころからプレイヤー・ピアノのための作品を書き始める。1951年作曲家のエリオット・カーターElliott Carter(1908―2012)が、ナンカロウの『プレイヤー・ピアノのためのリズム・スタディNo. 1』Rhythm Study for Player Piano No. 1を楽譜化して出版。1956年ナンカロウはようやくメキシコの市民権を得る。

 その後ナンカロウの音楽テープを聞いたケージはその面白さに夢中になり、マース・カニンガムもナンカロウの音楽でダンスをつくった。1964年マース・カニンガム舞踊団はナンカロウの音楽をもとにした作品でワールド・ツアーを行い、ナンカロウの名は広く知られるようになる。

 1976年には、ニューワールド・レコードからリリースされた前衛ピアノの作品を集めたアルバムにナンカロウの作品も収録される。また、ガーランド社より楽譜集『自動ピアノのための作品集1』Selected Studies for Player Piano Vol. 1(1976)も出版される。1981年にはアメリカ合衆国での政治的規制が解かれて自由に故郷を訪ねられるようになり、1947年の一時帰国以来初めてアメリカに戻った。その後はアメリカの音楽祭にも参加し、1985年ロンドンのアルメイダ・フェスティバル、1987年オランダ・フェスティバルなどヨーロッパでの演奏もたびたび行う。

 1990年にはメキシコ大学で、ナンカロウの作品によるフェスティバルが2日間にわたって行われる。このころより健康に問題をかかえ、1997年メキシコの自宅で亡くなった。

 ナンカロウはつねにプレイヤー・ピアノにこだわり、作曲を続けた。楽譜の代わりに1音1音をパンチング・マシンでロール紙に穴を開ける作業は、全曲を仕上げるまでに膨大な時間がかかる。コンピュータが生活の一部となり始めた世の中でも、ナンカロウは労力を惜しむことなく手づくりのロール紙(楽譜)をつくり、人の手では弾きこなせないような複雑なリズムも表現できるプレイヤー・ピアノの可能性にこだわり続けた。その後こうしたプレイヤー・ピアノのための作品はアンサンブル用に編曲され、コンサートでも演奏されるようになった。

[小沼純一]

『Selected Studies for Player Piano Vol. 1(1976, Garland, New York)』『Kyle GannThe Music of Conlon Nancarrow(1995, Cambridge University Press, Cambridge)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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