●パウロ
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
パウロ
Paulo; Paul; Paulos(ギ); Paulus(ラ)
[没]67?.ローマ
キリスト教史上最大の使徒。聖人。ヘブライ名はサウロ。初めユダヤ教による厳格な教育を受け,パリサイ主義を至上のものと信じキリスト教会を迫害した。キリスト教徒弾圧のためエルサレムからダマスカスへ赴く途中,「サウロ,サウロなぜわたしを迫害するのか」 (使徒行伝9・4) という天からの (イエスの) 声を聞いて回心し,主イエスのわざについてのアナニアの説明によって悟りを開き洗礼を受けた。この回心を契機として伝道者としての生活に入り,特に異邦人への布教を使命として小アジア,マケドニアなどへ数回に及ぶ大伝道旅行を行なった。この伝道旅行はきわめて大きな成果をあげたが,ユダヤ人の反感を買い,エルサレムで捕えられ,カエサリア,ローマで入獄生活を送ったのち,ローマ皇帝ネロの迫害によって殺されたという。パウロは新約聖書正典に加えられた多くの書簡を書き,布教活動のみならず,キリスト教神学の形成にきわめて大きな役割を果たした。
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デジタル大辞泉
パウロ(Paulos)
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世界大百科事典 第2版
パウロ【Paul】
[資料]
新約聖書中に彼の書いたとされる手紙が13収められているが,そのうち確実に彼のものと思われるものは,《ローマ人への手紙》,《コリント人への手紙》(第1,第2),《ガラテヤ人への手紙》,《ピリピ人への手紙》,《テサロニケ人への手紙》(第1),および《ピレモンへの手紙》の合計7である。《使徒行伝》の後半はパウロを中心にして書かれているが,必ずしも客観性を志した叙述ではない。
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日本大百科全書(ニッポニカ)
パウロ
ぱうろ
Paulos ギリシア語
(?―64ころ)
キリスト教の使徒。ヘブル名はサウロ。小アジアのキリキア州タルスス生まれのユダヤ人。ヘレニズム文化の影響を豊かに受けたが、それ以上にユダヤ教の伝統の強い環境に育ち、パリサイ派の熱心な一員となった。ユダヤ人でありながら律法を軽視するキリスト教徒を許しておけず、迫害に乗り出したが、その過程で突然、人が救われるのは、律法を守るという自分の功績によるのではなく、キリストを信じて彼にいっさいをゆだねることによると悟って、キリスト教の伝道者となった。初めは主としてシリアのアンティオキアの教会を中心に活動。しかし彼の唱える律法からの自由の主張が全幅の賛成を得られなかったことから、独立して、主としてエーゲ海沿岸各地を巡回伝道し、異邦人を主体とする教会を建てた。晩年、これらの教会からエルサレム教会にあてた献金を届けるためエルサレムに上京したところを、彼に対し批判的なユダヤ人に捕らえられ、ローマ総督に預けられた。ローマ市民権を行使して皇帝に上訴したためローマに送られ、まもなくネロ皇帝の下で殉教したと思われる。『新約聖書』には彼の手紙が収録されている。ただし、その一部は彼自身のものではない。「使徒行伝(ぎょうでん)」の後半は主として彼の活動を伝えるが、かならずしも史的に厳密ではない。彼の死後、その徹底した律法からの自由の福音(ふくいん)は、しばらくの間正当に理解されなかったが、その後アウグスティヌス、ルター、近年ではK・バルトなどに大きな影響を与えた。
[佐竹 明]
『G・ボルンカム著、佐竹明訳『パウロ――その生涯と使信』(1970・新教出版社)』▽『八木誠一著『パウロ』(1980・清水書院)』▽『佐竹明著『使徒パウロ――伝道にかけた生涯』(1981・NHKブックス)』
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精選版 日本国語大辞典
パウロ
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旺文社世界史事典 三訂版
パウロ
Paulos
初期キリスト教会時代の大伝道者
小アジアのタルソス生まれのユダヤ人で,初めユダヤ教徒としてキリスト教の迫害者であったが,復活したイエスの声を聞いたと信じて回心し,以後,ローマ世界への福音の伝道につとめた。その書簡は『新約聖書』の重要な部分を占めている。ローマ皇帝ネロの迫害により,殉教したと伝えられている。彼の説いた,イエスの十字架の死における贖罪的意義は後世のキリスト教世界に大きな影響を与えた。
出典:旺文社世界史事典 三訂版
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