@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

パニック障害【ぱにっくしょうがい】

知恵蔵

パニック障害
突然、激しい動悸がしたり、が詰まる感じやめまいに襲われ、手足が震え、死ぬのではないかという恐怖感にとらわれる障害。身体的検査をしても異常がないが、発作は繰り返され、予期不安に悩まされる。行動範囲が狭められ、停車の少ない急行に乗れなくなったり、1人で外出ができなくなることもある。抗不安薬・抗うつ薬や、認知療法行動療法などの心理的治療も有効。
(田中信市 東京国際大学教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

朝日新聞掲載「キーワード」

パニック障害
突発性の発作や息切れ、めまいなどが繰り返し起きる精神疾患自律神経などの働きが不安定になって発症し、突然の発作を恐れる「予期不安」、公共の場での発作を恐れて引きこもりがちになる「広場恐怖」が特徴。NPO法人「全国パニック障害の会」(東京)によると、人間関係のストレスから発症する場合が多い。一方PTSDは、戦争や大災害など強烈な体験をしていることが前提で、苦痛の記憶が繰り返しよみがえり、発作などが起きる。ともに世界保健機関と米国精神医学会による2種類の国際的な診断基準がある。
(2012-09-29 朝日新聞 朝刊 1社会)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

パニック‐しょうがい〔‐シヤウガイ〕【パニック障害】
不安神経症の一。突発的に強い不安感におそわれ、動悸(どうき)、めまい、体のしびれなどの発作がくり返し起こる。次いで、発作の再発に対する恐怖感にもおそわれる。パニック症PD(panic disorder)。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

大辞林 第三版

パニックしょうがい【パニック障害】
突発的な動悸どうきやめまいなどの発作に繰り返し襲われ、再発への恐怖心にとらわれる精神障害。不安神経症の一。恐慌性障害。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

パニック障害
ぱにっくしょうがい
panic disorder
パニック発作を頻繁に引き起こす疾患のこと。恐慌性障害ともいう。アメリカの精神科診断分類(DSM)第4版(1994)では不安障害の一つとしている。従来は不安神経症といわれた。急に強い不安や恐怖にかられ、激しい動悸(どうき)、息切れ、発汗、吐き気やめまい、胸苦しさなどを感じるのがパニックの症状である。逃げられない場所にいるという「広場恐怖」を伴うことが多い。混雑した駅やデパート、電車、バス、エレベーターの中などで突然、極度の不安や恐怖にかられる。頻度は人によりまちまちで、1日に何度も起こることもある。症状から、最初は心臓の病気を疑うが、検査では異常がなく、パニック障害と診断されるケースが多い。まじめできちょうめんな性格の人に多いとされる。心理的、身体的なストレスが引き金となり、交感神経が興奮し、神経伝達物質ノルアドレナリンが過剰に分泌されて起こる、とみられている。人込みにでるのが不安になり、行動や生活が狭められる可能性があり、うつ症状がでたりすることもある。治療は、抗不安薬、抗うつ剤SSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)などの薬を用いる一方、呼吸法や精神療法などで心身をリラックスさせる。[田辺 功]
『貝谷久宣、不安・抑うつ臨床研究会編『パニック障害』(1998・日本評論社) ▽米国精神医学会著、日本精神神経学会監訳『パニック障害(米国精神医学会治療ガイドライン)』(1999・医学書院) ▽竹内竜雄著『パニック障害 追補改訂版』(2000・新興医学出版社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

パニック‐しょうがい ‥シャウガイ【パニック障害】
〘名〙 パニックの発作をくりかえす急性の不安神経症。強い不安におそわれ、めまい、動悸、発汗、口渇、呼吸切迫などを起こし外出恐怖、乗物恐怖を伴う。恐慌性障害。

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

内科学 第10版

パニック障害(心身症)
概念
 不安障害に含まれる精神疾患で,パニック発作(表1-6-9,DSM-Ⅳ-TRによる)を繰り返し,予期不安,広場恐怖などを伴う.胸痛や胸部不快感などの胸部症状や,息苦しさなどの呼吸器症状を伴うことから,最初に内科を受診することが多いので,鑑別疾患として知識をもっておくことが望ましい.
疫学
 パニック障害は決してまれな疾患ではなく,12カ月有病率は,米国2.7%,日本で0.5%,ドイツで1.8%であると報告されている.また,性差も報告されており,女性の方が男性よりも罹患率が高いという特徴がある.
臨床症状・診断
 パニック障害の症状の特徴としては,パニック発作(表1-6-9)の繰り返し,予期不安,広場恐怖,二次的なうつ病の合併があげられる.表1-6-9のパニック発作に示されるように,多彩な身体症状が生じるにもかかわらず,各種検査で症状を説明できる異常が検出されないことが特徴である.
 パニック障害の診断基準としては,米国精神医学会のDSM-Ⅳ-TRによるものが代表的である.DSM-Ⅳ-TRでは,まず,最初に,「パニック発作」と「広場恐怖」の定義を行い,その後,それらを用いて,「広場恐怖を伴わないパニック障害」と「広場恐怖を伴うパニック障害」との診断を行う形式となっている.ただし,2013年5月にDSM-5が発刊される予定となっており,パニック障害の診断基準も変更となる可能性がある.
 パニック障害の診断基準にもあるように,まず,原因となる可能性のある身体疾患を除外することが必要であり,患者の訴えが多いというだけで,安易に診断を下すべきではない.
病因
 現在までのところ,明らかな病因は同定されていない.遺伝的素因に関しても,さまざまな研究が行われ,近年はゲノムワイドな研究も行われているが,再現性のある結果は得られていない.神経学的な研究も行われており,ガンマアミノ酪酸(GABA)の受容体の減少や,セロトニン受容体の減少の報告もあり,後述する薬物療法との関連が想定されている.
治療
 1)患者教育: 診断後の重要なステップは,多くの患者が重大な身体疾患をもっているかもしれないという不安をもっているので,パニック障害が精神疾患により身体症状を呈しているということを説明することである.2)薬物療法: メタ解析では,SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と三環系抗うつ薬とベンゾジアゼピン系薬物の有効性が示されているが,ベンゾジアゼピン系薬物の効果は,前2者と比較してやや弱いという結果となっている.わが国では,パロキセチンとセルトラリンのみにパニック障害への適応が認められている.また,効果と副作用の観点からも,SSRIが第一選択とされているが,一般的に,治療効果発現までには,数週間かかることと,投与初期の副作用であるいらいら感の軽減のために,比較的効果発現の早いベンゾジアゼピン系薬物であるロラゼプ酸エチル,アルプラゾラム,ロラゼパム,クロナゼパムなどのベンゾジアゼピン系の抗不安薬も併用される.ただし,ベンゾジアゼピン系抗不安薬は,長期服用で依存を生じることが問題となっている. ただし,予期不安に対する薬物療法の効果は限定的であり,認知行動療法などの心理療法を併用する必要がある.さらに,パニック発作が消失した後に残存するような広場恐怖に対しても認知行動療法が行われている.3)心理療法: 認知行動療法の効果が報告されている.認知行動療法では,パニック障害に関する心理教育,思考の歪みを修整する認知再構成,恐怖を惹起する身体感覚や状況への暴露(回避行動の変化を含む)などである.また,恐怖を惹起する状況への暴露とともに,リラクセーション法を行うことが有効である.さらに,薬物療法と認知行動療法の組み合わせの方が,それぞれ単独の治療よりも効果的であったという報告もある.
予後
 薬物療法で50~70%で効果が認められるが,薬物療法終了後に,25~50%が6カ月以内に再発する.30%の患者のみ,寛解後数年間再発が認められない.そして,35%では著明な改善は認められるが,その後,増悪と改善を繰り返す.[吉内一浩・赤林 朗]
■文献
Engel GL: The need for a new medical model: a challenge for biomedicine. Science, 196: 129-136, 1977.
小牧 元, 久保千春,他編:心身症診断・治療ガイドライン2006, 協和企画,東京,
2006.日本心身医学会教育研修会編:心身医学の新しい指針.心身医学,31: 537-573, 1991.

出典:内科学 第10版
©Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は原書刊行時(2013年)の時点での最新のものです.常に最新の内容であることを保証するものではありません。また,権利関係の都合で一部表示できない図や画像があります。

六訂版 家庭医学大全科

パニック障害
パニックしょうがい
Panic disorder (PD)
(こころの病気)

どんな病気か

 パニック発作といわれる、急性の強い不安の発作を繰り返す症状を特徴とする病気です。

 従来は不安神経症(ふあんしんけいしょう)の一部に含めて扱われてきましたが、そのまとまった病像の特徴から、独立した病気として扱われるようになり、パニック障害と命名されました(1980年)。従来の不安神経症は、このパニック障害と慢性の不安状態が続く全般性不安障害(ぜんぱんせいふあんしょうがい)とに二分されたことになります(不安神経症)。

 パニック障害は、のちに述べるように、特別な原因やきっかけなしに急性に発症し、パニック発作を繰り返すことや、不安のため一人で外出したり乗り物に乗ることが困難になること(広場恐怖)、薬がよく効くことなどが特徴です。

原因は何か

 原因はまだよくわかっていませんが、心理的原因説は疑問で、脳内ノルアドレナリン系の過敏・過活動、あるいはセロトニン系の機能不全など、脳機能異常説が有力です。これらは薬の有効性の説明にもあてはまります。

 また実験的な研究から、パニック障害の患者さんは、乳酸、炭酸ガス、カフェインなどに過敏で、発作が誘発されやすいことがわかっています。過労、睡眠不足、かぜなどの身体的な悪条件や、日常生活上のストレスなど、非特異的な要因も、発症や発作の誘因(引き金、きっかけ)になることが知られています。

症状の現れ方

 パニック障害の特徴を表10にまとめました。表からわかるように、パニック発作では、突然の激しい動悸(どうき)、胸苦しさ、息苦しさ、めまいなどを伴う強い不安と、死ぬかと思うほどの恐怖に襲われ、多くの患者さんは心臓発作などを疑って救急車で病院へかけつけます。しかし、病院に着いたころには症状はほとんどおさまってしまっていて、検査などでも特別な異常はみられず、多くの場合そのまま帰されます。

 しかし数日を置かず、また発作を繰り返し、次第に予期不安(表10の⑥)や広場恐怖(同⑦)が発展してきます。発作を恐れて一人で外出できなくなったり、医師から何ともないといわれていても心臓を心配して運動をひかえたり、病院を転々として検査を繰り返したりするようになります。

 症状が軽く、一過性でおさまってしまう場合もありますが、よくなったり悪くなったりしながら慢性に経過する場合が多くみられます。また、半数以上にうつ病を伴ってくることがあるので、注意が必要です。

検査と診断

 表10に示した内容と同様の診断基準が定められています。突発性のパニック発作の繰り返しと予期不安があり、原因になるような身体疾患がないのが診断の主な条件です。

 この身体疾患を除外するために、内科的なさまざまな検査が行われます。尿、血液、心電図、場合によっては脳波検査などが行われ、心血管系疾患、呼吸器疾患、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)、低血糖、薬物中毒、てんかんなどが除外されます。

治療の方法

 治療法には、薬物療法と認知行動療法があります。

 通常は、まず抗不安薬(ベンゾジアゼピン誘導体:ソラナックスなど)や抗うつ薬(SSRI〔パキシル、ジェイゾロフト〕など)、その他を使ってパニック発作が起こらないようにする治療を行います。副作用のことも考慮に入れたうえで、発作が起こらなくなるまで十分な量を十分な期間服用し、発作がなくなっても6カ月~1年は薬を続ける必要があります(ただし、ベンゾジアゼピンは抗うつ薬の効果が出てきたら早めにやめる)。

 次に、不安が軽くなってきたら、今まで避けていた外出や乗り物に少しずつ挑戦し、慣らしていく訓練(曝露療法(ばくろりょうほう):行動療法の一種)を行います。また、ちょっとした動悸を心臓発作の前触れではないかなどと破局的に解釈する考え方の癖を直していきます(認知療法)。

 パニック発作は薬物でほとんど治りますが、予期不安や広場恐怖はその後も長く続くことが多く、これには認知行動療法を併用する必要があります。うつ病が合併した場合は、休養と抗うつ薬療法が必要で、うつ病の治療に準じます。

病気に気づいたらどうする

 パニック発作を経験したら、まず内科などで体に異常がないかどうかを検査してもらってください。異常がないのに何度も発作を繰り返すようなら、パニック障害の疑いがあります。

 正しい診断がなされず、過換気(かかんき)症候群心臓神経症(しんぞうしんけいしょう)自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)などの病名で、パニック障害が見過ごされている場合も少なくありません。これはと思ったら、精神科か心療内科の専門医の診察を受けてください。

 診断が確定したら、指示どおり薬を飲むことがまず大切です。薬が十分効いて不安が軽快してきたら、今まで避けていた状況へ少しずつ入っていく訓練をします。外見ではわかりにくい患者さんのつらさを家族や周囲の方が理解し、外出訓練に同伴するなどの協力も必要です。パニック障害の不安は気の持ちようなどではなく、病気であり治療の対象であることを、本人も家族も知る必要があります。

関連項目

 不安神経症過換気症候群(コラム)、自律神経失調症うつ病

竹内 龍雄

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
(C) HOUKEN CORP. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

EBM 正しい治療がわかる本

パニック障害
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 身体的な異常がなにもないのに、パニック発作(ほっさ)と呼ばれる特徴的な発作を突然おこす病気です。
 胸が締めつけられるように痛む、心臓がどきどきして脈が速くなっていく、呼吸が苦しくなる、めまいがする、手足がしびれる、冷や汗がでるといった症状が、数分から10分ほど続きます。
 「このまま死んでしまうのではないか」と思えるほど強い苦痛となることもありますが、パニック発作で死ぬことはありません。救急車で病院に運ばれることも多いのですが、ふつう病院に着いたころには症状がおさまっています。
 パニック発作をおこすと、次にまた発作がおきるのではないかという「予期不安(よきふあん)」におびえ、以前発作をおこした場所や、満員電車やデパートのなかなど、すぐに病院に行けない場所を避けるようになります。
 このため、仕事や買い物にでかけられず、社会生活に支障をきたします。
 自然に治ることもありますが、発作をくり返したり、予期不安のために社会生活に問題が生じたりする場合は治療が必要です。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 脳内の神経伝達物質の一つであるセロトニンがなんらかの原因で不足すると、不安や恐怖をコントロールしている部分のバランスが崩れて、パニック発作がおこると考えられています。
 予期不安から外出を嫌うため、ときに怠け者と誤解されますが、心のもちようや怠け癖からパニック障害になるわけではありません。

●病気の特徴
 女性にやや多い病気で、不安・緊張・過労などを背景に、自律神経の過敏な人がなりやすいと考えられています。
 20歳代、30歳代での発症が多くみられますが、40歳代、50歳代の人が発症することもあります。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]認知行動療法による治療を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 患者さんが困っている問題を習慣的な行動ととらえ、生活しやすくする行動を学ぶ治療が認知行動療法です。また、パニックになる原因にわざと暴露する、暴露療法も効果があるとされています。その他、筋肉をリラックスさせたり呼吸を落ち着けたりする方法も効果があります。(1)~(3)


[治療とケア]薬で発作を予防する
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)による治療が、パニック障害には第一選択薬として使用されます。うつ病も併発している場合、アルコールや薬物乱用がある場合は、三環系抗うつ薬も使用されます。長時間作用型のベンゾジアゼピン系抗不安薬も用いることが可能です。(1)~(3)


よく使われている薬をEBMでチェック

抗うつ薬
[薬用途]SSRI
[薬名]パキシル(パロキセチン塩酸塩水和物)(1)(4)~(9)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]デプロメール/ルボックス(フルボキサミンマレイン酸塩)(1)(4)~(9)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 信頼性の高い研究により、SSRIによる治療は、パニック障害の症状を軽減するだけでなく、発作の予防効果が示唆されています。通常第一選択薬として使用されます。
[薬用途]SNRI
[薬名]トレドミン(ミルナシプラン塩酸塩)(1)
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] SNRIは、SSRIと同様に、信頼性の高い研究によりパニック障害の症状軽減および再発予防効果が示されており、第一選択薬の一つとしてよく使われます。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬
[薬名]ソラナックス/コンスタン(アルプラゾラム)(10)(11)
[評価]☆☆☆☆
[薬名]メイラックス(ロフラゼプ酸エチル)(10)(11)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] ベンゾジアゼピン系抗不安薬もパニック障害に対する効果があります。とくに薬物乱用やうつ病を併発している患者さんには、ベンゾジアゼピン系抗不安薬に加え、抗うつ薬を使用することが推奨されます。

三環系抗うつ薬
[薬名]トリプタノール(アミトリプチリン塩酸塩)(1)
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 三環系抗うつ薬も、他の薬と同様にパニック障害の症状緩和や再発予防に効果があるとされています。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
病気を理解し、安心することが第一
 パニック発作からこのまま死んでしまうのかと思われる場合でも、生命にかかわる病気ではありません。まずはそのことを理解することが重要です。
 発作が日常生活に著しい支障をきたすほどでなく、1日になんどもおこるわけではないときには、病気を理解するだけで軽い発作はコントロールできるようになります。
 どのような状況で発作がおこりやすいのかを認識し、その前後を含めた心の動きを自分自身でコントロールできるよう、医師とともに話し合いましょう。患者さんが困っている問題を習慣的な行動ととらえ、生活しやすくする行動を学ぶ認知行動療法の効果は非常に信頼性の高い研究によって確認されています。

抗うつ薬や抗不安薬で発作を抑制
 カウンセリング的手法では解決できないほど発作が強かったり、たびたびおこったりするようであれば、パキシル(パロキセチン塩酸塩水和物)などの抗うつ薬を用いたり、あるいはソラナックス/コンスタン(アルプラゾラム)などの抗不安薬が使われます。
 これらはパニック発作を抑制する可能性が高いことが、非常に信頼性の高い臨床研究で示されています。
 また、薬があるから大丈夫といった安心感から、薬をもらっているだけで発作がおきなくなる例もみられます。
 薬を服用するとしても、信頼できる医師による診察をしばらく継続する必要があります。

(1)Stein B. M, Goin K. M, Pollack H. M, et al. American pyschiatric association. APA guideline on treatment of patients with panic disorder 2009.
(2)Barlow DH, Gorman JM, Shear MK, et al. Cognitive-behavioral therapy, imipramine, or their combination for panic disorder: A randomized controlled trial. JAMA. 2000;283:2529-2536.
(3)Barlow DH. Cognitive-behavioral therapy for panic disorder: current status. J Clin Psychiatry. 1997;58(Suppl 2):32-36.
(4)Sheehan DV, Harnett-Sheehan K. The role of SSRIs in panic disorder. J Clin Psychiatry. 1996;57(Suppl 10):51-58.
(5)Black DW, Wesner R, Bowers W, et al. A comparison of fluvoxamine, cognitive therapy, and placebo in the treatment of panic disorder. Arch Gen Psychiatry. 1993;50:44-50.
(6)Ballenger JC, WheadonDE, Steiner M, et al. Double-blind, fixed-dose, placebo-controlled study of paroxetine in the treatment of panic disorder. Am J Psychiatry. 1998;155:36-42.
(7)Leinonen E, Lepola U, Koponen H, et al. Citalopram controls phobic symptoms in patients with panic disorder: randomized controlled trial. J Psychiatry Neurosci. 2000;25:25-32.
(8)Michelson D, Allgulander C, Dantendorfer K, et al. Efficacy of usual antidepressant dosing regimens of fluoxetine in panic disorder: randomised, placebo-controlled trial. Br J Psychiatry. 2001;179:514-518.
(9)Otto MW, Tuby KS, Gould RA, et al. An effect-size analysis of the relative efficacy and tolerability of serotonin selective reuptake inhibitors for panic disorder. Am J Psychiatry. 2001;158:1989-1992.
(10)Lydiard RB. Panic Disorder: Pharmacologic treatment. Phychiatr Ann. 1988;18:468.
(11)Lydiard RB, Lesser IM, Ballenger JC, et al. A fixed-dose study of alprazolam 2 mg, alprazolam 6 mg, and placebo in panic disorder. J ClinPsychopharmacol. 1992;12:96-103.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
(C) HOUKEN CORP. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

パニック障害」の用語解説はコトバンクが提供しています。

パニック障害の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation