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パルボウイルス

栄養・生化学辞典

パルボウイルス
 細胞中で増殖するウイルスで,ヒトに感染し伝染性紅斑溶血性貧血などを起こす系統もある.

出典:朝倉書店
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内科学 第10版

パルボウイルス(ウイルス感染症)
(8)パルボウイルス(parvovirus)
定義・概念
 ヒトパルボウイルスB19は,パルボウイルス科パルボウイルス亜科エリスロウイルス属に属する単鎖DNAウイルスである.正式名称としてエリスロウイルスB19が提唱されているが,ヒトパルボウイルスB19(または,単にパルボウイルスB19)の名称が依然として一般的に用いられている.受容体は赤血球膜表面にあるP抗原で,P抗原保有細胞,特に赤芽球前駆細胞に感染し,増殖する.本ウイルスによって引き起こされる代表的な疾患が急性発疹性疾患の1つである伝染性紅斑(erythema infectiosum)で,頬部の発疹の性状からわが国では俗に“リンゴ病”とよばれている.英語ではerythema infectiosumのほかfifth disease,slapped-cheek disease,academy rash,Sticker’s diseaseなどの呼称がある.
 感染経路は飛沫感染で,潜伏期間は14~18日である.学童期を中心とする小児に好発する.また最近は輸血や血液製剤による感染経路の可能性も考えられている.
 通常は一過性の感染であるが,免疫能が低下した宿主では持続感染を起こすことがある.不顕性感染が多い.
病理・病態生理
 気道に感染したヒトパルボウイルスB19はウイルス血症を起こし,この時期には咽頭や尿からウイルスが証明されるが,その後特異抗体の産生とともにウイルス血症は消失し,発疹が出現する. ヒトパルボウイルスB19は赤芽球系の前駆細胞を標的細胞としており,体内ではおもに骨髄で増殖する.骨髄では本ウイルスに感染した赤芽球系細胞が破壊され,赤血球産生が停止するが,ウイルス血症が消失し発疹期になると回復する.
臨床症状
 伝染性紅斑の場合,感染後1週間ほどで微熱,関節痛,鼻汁などの感冒様症状を認める場合もあるが,多くの場合は前駆症状を呈することなく発疹が出現する.発疹はまず両側頬部に紅色の斑状丘疹として出現し,急速に拡大融合して,蝶形ないし楕円形の紅斑となる(図4-4-6A).その後2~3日で体幹から四肢に遠心性に広がり,四肢ではレース模様状,網目状の紅斑となる(図4-4-6B).発疹は10日前後で色素沈着や落屑を残すことなく消退するが,四肢の紅斑は長期間にわたり続く場合がある.予後は良好である.ときにかゆみを伴う. ヒトパルボウイルスB19は赤芽球に感染し,その増殖を停止させるため,溶血性貧血患者では急速に貧血が進行する骨髄無形成発作(aplastic crisis)を起こすことが知られている.また妊婦が感染すると胎児水腫や流産の原因になることがある.
検査成績
 発疹期に前後して,末梢血検査で網状赤血球の著減,著増が認められることがある.
 酵素抗体法により特異的IgM抗体,IgG抗体の測定が可能であるが,保険適応はIgM抗体の測定のみに対して認められている.IgM抗体は感染後10~14日で陽性となり,通常6~8週間持続する.IgG抗体はIgM抗体より遅れて出現し,終生持続する. 感染初期のウイルス血症を起こしている時期にはPCR法による血中ウイルスDNAの検出が可能である.
診断・鑑別診断
 地域や集団内での流行状況,特徴的な発疹から診断するが,確定診断のためには酵素抗体法により特異的IgG抗体のペア血清での有意な上昇を確認するか,あるいは,急性期に特異的IgM抗体を検出することで診断する.PCR法による血中ウイルスDNAの検出も有用である. 鑑別診断としては,発疹が類似している風疹が重要である.
経過・予後
 基本的には予後良好の疾患で自然治癒するが,溶血性貧血患者や妊婦の感染には注意する必要がある.
治療・予防
 特異的な治療法はない.かゆみや関節痛に対しては抗ヒスタミン薬,非ステロイド系抗炎症薬などの対症療法を行う. 発疹が出現する時期には感染力はないので,隔離の必要はない. 現在のところ特別な予防手段はないが,妊婦は流行時期に感冒様症状の者に近づくことを避け,万一感染した場合には,超音波検査などで胎児の状態を注意深く観察する.[岩田 敏]
■文献
Brown KE: Human parvoviruses, including parvovirus B19 and human bocavirus. In: Principles and practice of Infectious Diseases, 7th ed (Mandell GL, Bennett JE, et al eds), pp2087-2095, Churchill Livingstone, New York, 2010.Cherry JD, Schulte DJ: Human parvovirus B19. In: Textbook of Pediatric Infectious Diseases, 6th ed (Feigin RD, Cherry JD, et al eds), pp1902-1920, WB Saunders, Philadelphia, 2009.国立感染症研究所:感染症の話,伝染性紅斑.感染症発生動向調査週報(IDWR),2004. http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_23/k04_23.html

出典:内科学 第10版
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