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ヒステリー

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ヒステリー
hysteria
ギリシア語で子宮を意味する言葉で,古代には婦人病と結びつけられていた。 18世紀には J.M.シャルコーらが催眠術によって治療しようとした経験から,ヒステリーは暗示によって生じ,暗示によって消える心身の機能障害と考えられるようになった。その後,産業社会化や戦争という状況で,要求や願望と結びついた機能障害が多数みられ,賠償神経症,戦争神経症などの概念が生れた。他方,19世紀から始った変質説は,20世紀に入ってもヒステリー性格という概念を進め,性格における自己示性が強調された。また,精神分析の専門家は,自我防衛のために抑圧した本能的衝動から生じた無意識の葛藤が象徴的に顕現したものと考え,この機制を転換 conversionと名づけた。ヒステリーには,器質的裏づけのない運動麻痺知覚麻痺,知覚過敏,振戦,,内臓症状なども伴う。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ヒステリー(〈ドイツ〉Hysterie)
さまざまな感情的葛藤(かっとう)が原因となって起こる一種の神経症。実際に病気ではないのに痛みや運動・知覚の麻痺(まひ)、発熱・嘔吐(おうと)などのほか、健忘などの精神症状を訴えるもの。一般に女性に多いといわれたが、男性にもみられる。
感情を統御できず、激しい興奮・怒り・悲しみなどをむき出しにした状態。ヒス。「ヒステリーを起こす」

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

ヒステリー
神経症の一類型。古代から注目された神経症的表現であり,すでにヒッポクラテスは本症について正確な症状記載を行っている。英語hysteria,ドイツ語Hysterie,フランス語hystérieなどの語源は古代ギリシア語のhysteraすなわち〈子宮〉である。前5~前4世紀ごろの古代ギリシア人は,子宮が体内を動きまわるためにヒステリーが起こると考えた。ヒッポクラテスもプラトンもヒステリーの病因としてこの考えを踏襲している。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ヒステリー【Hysterie】
精神的な原因で、運動・知覚障害や意識障害を示す現象をいった語。
精神的な原因で一時的に生じる病的興奮状態の通称。ヒス。
虚栄心が強く、感情が変わりやすく暗示にかかりやすい性格。 -性格

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

ヒステリー
ひすてりー
Hysterieドイツ語
hysteria英語
語源は子宮を意味するギリシア語で、ヒポクラテスの時代に端を発し、当時は子宮の病という意味をもっていた。近代医学的領域の一つの概念として初めて提唱したのは、フランスの神経病学者ブリッケPaul Briquet(1796―1881)で、ブリッケ病ともよばれた。ブリッケの記載した特徴は、(1)女性に多くみられること、(2)発病は多くは20歳、ほとんどが30歳以前であること、(3)経過が一定で予測もできること、(4)いろいろな痛み、不安、胃腸症状を訴えること、(5)しばしば入院し、また手術をたびたび受けること、などであった。その後、フランスの神経病学者シャルコーは、このブリッケの記載に注目し、催眠法を使ってヒステリー研究を行い、ヒステリー患者のみが催眠にかかり、それは脳にある種の脆弱(ぜいじゃく)性があるからであると主張した。つまり、ヒステリーの素質論である。今日ではそれほど受け入れられてはいない。ヒステリーの理解に決定的な進歩をもたらしたのは、オーストリアの生理学者で神経科医のブロイエルJosef Breuer(1842―1925)の催眠誘導下でのカタルシス療法(感情の発散を伴った談話療法)や、それに続くフロイトの精神分析の確立であった。すなわち、ヒステリーは精神的葛藤(かっとう)が処理できず、無意識領域に抑圧され、その際の精神的エネルギーが形を変えて身体症状(転換ヒステリーあるいは転換性障害)や解離症状(解離ヒステリーあるいは解離性障害)となって現れたものであると解釈されるに至った。解離症状とは心理機能の一部が他と連絡を断たれて独自の活動を営む現象である。そして、フロイトによると、ヒステリーの病因は幼少時の両親と子供の三角関係、つまりエディプス・コンプレックスに由来すると解釈された。もっとも、その後の精神分析の研究によると、エディプス・コンプレックスの生ずるよりずっと以前の人生早期の母子関係に原因があるという主張が現れている。
 しかし、精神分析以外の立場の人もいて、ヒステリーの概念が完全に統一されているわけではない。ヒステリーという用語は神経症においてばかりではなく、「ヒステリー性格」や「ヒステリー精神病」などという使い方がこれまでされていて、概念の明確化が困難であるからである。また、ヒステリーの発生頻度や病像が文化や社会的条件の変化の影響を受けることも、ヒステリーの理解を困難にしている。戦争中や社会動乱下では、けいれん、失立、失歩など、目だつ身体症状が現れるが、今日の日本のような平和時では疼痛(とうつう)などが多い。前者を古典的ヒステリーとよんでいる。解離症状としては解離性健忘、解離性遁走(とんそう)(家庭または普段の職場から離れて放浪し、過去を想起できなくなる)、解離性同一性障害(いわゆる多重人格障害)、離人症などがあるが、最近では若い女性を中心に解離性同一性障害と診断される例が増加している。
 ヒステリーは女性だけの病気というのは誤解であり、戦争中、軍隊で多くのヒステリーが発生した。また、ヒステリー性格者のみがヒステリーにかかるというのも正しくない。ヒステリー性格の特徴は、(1)演技的で人の関心を買う行動、(2)自己中心性、(3)情緒不安定性、(4)誘惑・魅惑的、(5)言語の誇張、(6)依存性、などがあげられる。つまり、自己顕示性が強い性格である。なお、現在、精神医学領域ではヒステリー性格という用語をやめて、演技性人格障害とよんでいる。[西園昌久]
『エティエンヌ・トリヤ著、安田一郎・横倉れい訳『ヒステリーの歴史』(1998・青土社) ▽J・D・ナシオ著、姉歯一彦訳『ヒステリー――精神分析の申し子』(1998・青土社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ヒステリー
〘名〙 (Hysterie)
① 演技的で未熟な性格の人におこる神経症。見た目に派手な身体症状をおこす転換ヒステリーと、意識が解離して人格の統一が失なわれる解離ヒステリーがある。ヒステロは子宮のことで、かつては子宮が体内を移動しておこす女性の性的欲求不満と考えられた。解離性障害。
② 感情をおさえることができず、病的に泣きわめいたり、怒ったりすること。ヒス。
※扶氏経験遺訓(1842)八「男子に依卜昆垤児と謂ひ婦人に歇以私的里(ヘイステリー)と謂ふ」

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